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第15話 光属性の勇者マニア


テューラァの筋肉痛を診てもらおうと思っていたマッサージ師さんは用事があって出掛けていた。


そのためリプロさんの家庭教師でもある変な人が、代理になってくれたんだけど。




「改めて自己紹介をさせていただきます。私はフリーの治療士…マディク・レジオンと申します」



代理の治療士さんは、リプロさんの家につくなり『三人で話がしたい』と言い出したんだ……。



「のうフェンリア、何故浮かない顔をしておるのじゃ」



「なんかこの人さ…変な雰囲気じゃない?」



「そうか?笑顔も紳士的であるし普通だと思うが…」




そう言ってる割に僕の後に隠れてるんだよなぁ………テューラァは知らない人が苦手だから仕方ないか…。



「リプロお嬢様から勇者君の話は聞いていましたが、こんなに可愛い少年だったなんて驚きましたね~」



「ほら絶対変な奴だよ!男にたいして可愛いとか言うなんて!」



「おぬし、父上殿に可愛いと言われすぎて感覚がズレていないか?子供相手への可愛いは普通に褒め言葉じゃろ?」


「いやそもそも三人だけで話をしたいって時点で変だって…」



「ところでそろそろ本題に入ってもよろしいでしょうか?」


「おわぁ!!?」


「ぶ、無礼者!距離が近いぞ!」



僕達が小声で話しているところに…何故かこの人も小声でまざってきた。



「これは失礼しました~、内緒話は聴こえないふりをするのがマナーですね!」



つまり全部聴こえてたんだな…。




「実は私、勇者に興味があるんです。それもマニアなレベルで」



「は、はあ」



「各地の勇者を調べる事が生き甲斐でしてね……勇者に関する言い伝えやお告げ、現役勇者の武勇伝も大好物です!」



「その勇者マニアがフェンリアに何の用じゃ?」



「いえいえ、あるのは用ではなく興味です………この国の勇者であるフェンリア君は、どこか引っ掛かるのですよね~」



「なんじゃ貴様、我が国の勇者を侮辱しておるのか?」



「とんでもない!侮辱だなんて……しかし魔王が手を出さないこの国に、どうして勇者が生まれたのでしょう?」




そんなの僕が聞きたいよ…。



「何もせずにただこの国を見ている魔王と、勇者であるフェンリア君は何か共通点というか…繋がりがあるのでは?」



「別に…何もありませんよ」



「でしたら何故、魔王城に行ったにも関わらずあなたは無事なのですか?新人勇者がいきなり魔王と会うなんて、普通は生きて帰れませんよ?」



ってなんでそれを―


「失礼ながら、フェンリア君について調べさせてもらいました~」



「失礼だと思うならやめてくれません?」



「それでですねぇ!この国では、魔王と勇者ふたつの存在に秘密があるんじゃないかと思いまして……ですから、魔王城で起きた事を聞きたいのですよ」




こっちの話は聞く耳無しか。


………僕が普通の人間じゃないって気づいてるのか?




「どのように引っ掛かるというのじゃ?」



「他国の『太陽の勇者』『輝きの勇者』などとは違うタイプの様なので気になるのです」



「他の国には眩しそうな勇者が多いのじゃな。言っておくが、いくら光っていようと…勇者は宝石のような無機物な存在ではないぞ」



「もちろんです!勇者は無機物とは違う光を見せてくれますから……しかしフェンリア君からは、あまり光を感じませんね。むしろ闇の力が強いようです」



「…僕の得意な魔法が炎や闇に片寄ってるからだと思いますよ」



「なるほど!勇者なのに、生まれつき持っている魔力の属性に左右されているというわけですか~」


「悪かったですね。勇者らしくなくて」



「悪い事などありませんよ!これから光が増していく可能性だってあるのですから」



この人、変な奴を通り越して気持ち悪いな。



「さらに言わせてもらいますと~…勇者の必要性が無い平和なアステリシア王国に勇者の神託が降りた意味を知りたいのです」



「…勇者だからって他人にあれこれ話す義務は無いので、言えません」



「そうですか~、なら仕方ありませんね……トゥインクルチェーン」



「っ…!」




突然、僕の両手首を光の鎖が縛った。



「な!なんじゃその鎖は?!」



「これ、魔法だよ……光属性の」



「御名答!光の鎖で自由を奪う拘束呪文です」



「あの厄介な魔法か…一応補助魔法じゃが、こやつが使うと過激というか悪趣味というか…」



「へ??鞭の時も不思議だったけど趣味がどうとかって結局何!?」



「しまったァァァ!!!フェンリアが変な事を知ったら母上殿に申し訳ない!!」



「アハハ!キミ達、見ていて飽きませんねぇ…しかし」



「黙れ!!今すぐフェンリアの拘束をっ、と…け…」



「…テューラァ?」




テューラァは言葉を言い終わる途中で床に倒れた……両手を縛られてるから助け起こせない。




「ね、ねえテューラァ!どうしたのさ!?」



「ちょっとお邪魔なので、王子君こそ黙っててもらいます」



「おまえっ…さっきから何が目的だ!!」



「お話がしたいだけだと言っているでしょう……そうだ、せっかくですし私の光でフェンリア君の闇を浄化しましょうか?」



いよいよ気持ち悪いこと言い出したぁぁぁ!!!なんなんだよコイツっ!?



「光属性の勇者になれるのですよ?悪い話ではないでしょう?」



「よ、余計なお世話だ!!それに僕が狙いならテューラァを巻き込むな!」



「これは失礼。ですが遅かったですね、完全に巻き込んでしまいました…あの体力でどのくらいもちますかねぇ」



「え……まさか…」



「王子君のお茶にちょっとした毒を入れました。フェンリア君が私に勝つことができたら解毒剤を渡しましょう、というのはどうです?」





……………最初からそのつもりだったのか…。




「さあどうします?両手を封じられた勇者様?」


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