⑧日本の2つの将来のシナリオ
質問者:では、最後に悪いシナリオと良いシナリオについてお願いします。
筆者:まずは悪いシナリオからいきます。あまり言いたいことではありませんが、実を言うと発生可能性で行けば今のままの流れで行くだけですから9割以上の確率でこのシナリオは起きます。最低でもこれに準ずるような形で進行していきます。
質問者:えぇ……。あまり聞きたくないですけど願いします。
筆者:まず現在のところ4月のCPI(消費者物価指数が)先日発表されましたが2.1%ということでした。2%を超えたのは7年ぶり、消費税増税を除けば14年ぶりということでした。一般的に言えばこの消費者物価指数上昇2%は理想的な数値で景気回復の基準の一つと言われています。
質問者:そう言うことでしたね。
筆者:ここから注目して欲しい点です。
ところがこの「2%上昇」の中身が問題です。エネルギー上昇の寄与分は1.4%、食料品上昇の寄与分が0.6%と、何とこの2つを除くコアCPIは+0.1%とほとんど変わらないわけです。この2つは円安と各国の輸出規制などがあって輸入金額が同じものを買っても高止まりしているためです。つまり景気が回復しているから2%上昇しているわけでは無いのです。
更に言うのでしたら、円安分の物価上昇分は海外の利益が増えているだけですからね。このCPI2%上昇はそのまま「日本国民の財布が2%貧しくなった」と言い換えても良いのです。
質問者:えぇ……大問題じゃないですか。
筆者:さらに日銀はこの円安問題を解決する気配すら無いですから、このままアメリカが利上げするたびに円安は進行、最低でも1ドル130円前後で推移していくことが予想されます。今値上げしていない会社も苦しくなって値上げしていくことでしょう。そうなると、継続的に「2%上昇」が達成される可能性は高いです。
ちなみに企業物価指数については統計を取り始めて以来最大の伸び幅の前年比+10%です。ですから、企業も値上げはしていますけど、全ての輸入価格の上昇を転嫁できていないんですね。だから今後も断続的に値上げは続くでしょう。
ところが、そんなにも国民や企業が苦しい状況であるにも関わらず財務省はこう言ってくるんですね。「景気は消費者物価指数2%が達成され続けているので回復基調にある。今こそ財政健全化のための増税が必要だ」と。
質問者:実際は2%ずつ貧しくなっているかもしれない状況なのに増税するんですか?
筆者:それはマスコミが報道しなければ分かりません。マスコミが一側面しか報道しないことによって多くの国民は気づけずに騙されます。ひとつ前の項目で勝手に名付けましたが“防衛費負担税”などと言って新しく税目を作って増税するでしょう。
既に2024年に“森林環境税”ということで住民税を払う人対象にプラス1000円されるのが確定のようですが、そんな感じでしらっと何かのついでに付与されて増税されるでしょうね。
そして増税を推進するとともに財務省はこう言います。「赤字部門をもっと民営化するべきだ」とね。
こうして、真実を伝えることなく国益を海外に売ることで彼らは利益を得ていくのです。
質問者:今後民営化されるかもしれないものは何かありますか?
筆者:現在進行中のものだと水道の民営化が全国各地で始まっていますが(各地方自治体が最終的に決めるので)、世界的に見ると民営化した水道事業を戻したりしています。それは、水道管工事などで水道料金が3倍に上がったといった例が存在したためです。
しかも、酷い話が日本の民営化は外資でも可能ということです。先行して民営化を行った宮城県はフランス国籍の外資が51%保有しているということでこのままでは外資に水道が乗っ取られる最悪の展開です。
今後、皆さんの地域でそう言った水道民営化の条例が可決されそうになったらすぐさま反対していきましょう。海外に自分の水道を好きなようにされてしまいます。
さらに日本政府は外資からの投資を活発化させようとしているんですから本当に笑えません。(対日投資促進のための会議が5月に行われた)
質問者:自分の地域が水道第3倍なんてことになったら嫌ですものね……。
筆者:ですが、民営化ということは“利益が上がらない部門を無理やり利益を上げる”ということですから必然的にそうなります。
また東京都では今年にも都立病院の民営化もされようとしています。これもまだ可決されていないので何とも言えませんが海外外資が参入できるのでしたら怖すぎます。
そして将来あり得そうなこととしては「教育の民営化」です。公立小中学校にも“無償化“が事実上無くなり、より地域差や教育格差が広がっていく可能性があります。また、”海外にとって不都合な教育”というものがされなくなる危険性が上がります。それは日本の国益に反することに繋がる可能性は高いです。
質問者:そこら辺が狙われているんですね……。
筆者:何でも言いますがこれらも「民間と同じように国の財政を黒字化しなくてはいけない」という固定観念が全ての根幹にあります。
さて、次に確率はかなり低いですが理想的なルートで「PB黒字化目標」が来年ぐらいに撤廃されたと仮定して話していこうと思います。
質問者:暗い話ばかりですから少しでも明るい展開を期待したいです。
筆者:まず今の日本国民で一番困っているのは“可処分所得の減少”です。そんな中で明日からできる経済対策としては、消費税減税(廃止)とトリガー条項解除です。
ちょっと給与の上昇となると各々の企業の意思決定もあると思うので、少しハードルが高いと思うので、この2つをやることによって事実上の“給与アップ”と同じ効果を狙います。
質問者:なるほど、今の商品でもかなりの割合で消費税加算前の金額が表示されていますからね。それにプラス10%か、そのまま買えるかでは全く異なりますからね。
トリガー条項ってよく言われていますけど、これについてはどういう効果があるんですか?
筆者:トリガー条項というのはガソリン税の減税の話です。本来でしたら、170円を超えた場合は約25円の減税されるはずでした。しかし、東日本大震災によってその条項は凍結されてしまったわけなんですね(導入された2010年から一度も発動していない)。
質問者:えー、そうなると条文で存在しているのにそれが適用されていないということなんですね?
筆者:そういうことです。ガソリン代が下がることによって車を持っている人が楽になるだけではなく、陸上運送によってプラスされている代金分、小売価格などが安くなることが期待されます。つまり、国民全体に好影響を与える減税になるのです。
質問者:それなら尚更すぐにでもトリガー条項発動して欲しいですね……。
筆者:自ら銃の先に詰め物をしている感じですかね(笑)。
次に中期的な戦略として注目したいところとしては、食料安全保障です。正直な話、コ〇ナ補助金などが徐々に終わっていき職に就けなくなる人が出てくると思うんです。そこで、それらの人々を農業に参入できるようにするための初期投資の補填。既存の農家が新規参入者に教えることに対する支援金なども出していきます。
質問者:今の状況ですと、なるべく自国内で食料を自給できるようにした方が良さそうですね。
筆者:次に、核兵器を撃たれた時の対策のための核シェルターを作ります。地下鉄があるところは空気を清浄する機械や食糧の備蓄をします。これを言うのは僕のエッセイでは4回目ですが、依然として政府が議論される気配すら無いので無限に言い続けます(笑)。
そして、軍事力を強化し中国や韓国に対して実効支配されている地域を奪還していきます。特に、豊富に眠っている日本近海の海洋資源を自分自身で採掘していくことで国内生産力の拡大や競争力の強化、輸出力増強に繋げます。そして、子育て支援を欧米最高クラスまで上げていきます。
また、民営化したもので経営が難しいものはむしろ公営化に戻します。最低でも民間と公営の共同経営を行い存続を目指します。
また給与アップのための補助金を本格的に開始します。これで諸外国との所得格差をなくしていきます。
質問者:何だか明るい未来に見えてきました!
筆者:そうでしょう。日本にはまだまだ可能性が大きく秘められていると思います。何と言っても真面目で誠実な国民性がありますから本来なら世界をリードするにふさわしい“器“を持っていると思うんですよね。
ですが、自分自身で「PB黒字化目標」という名の”縛りプレイ”をすることによって次々と自ら日本を解体していこうとしています。
質問者:私も最初聞いたときは“まさか”と思ったんですけど、話が進んでいくたびに事の深刻さを感じました……。
筆者:よく、国債を発行することで「将来世代への負担が増す」などと言ったミスリードがあります。
でも僕が思う真の「将来世代への負担」を敢えて言うのでしたら、国益を海外に売り切ってしまって、日本国内にあるあらゆるものが日本国民自身で制御できなくなってしまう時です。しかし、それが多方面で徐々に進行しているのもまた事実です。
これは今が日本が日本で無くなってしまうのか、それとも再浮上するのかその瀬戸際の段階だと思っています。
最後にこの問題について僕よりも詳しい方々を紹介して周知の一環にして欲しいという話を結びにしたいと思います。