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⑦「PB黒字化目標」を正当化する法案

3,悪しき法案 財務省設置法、財政法


質問者:「PB黒字化目標」を推進や正当化するする法案が存在するんですか?


筆者:ありますね。まず 『財務省設置法 “第一章 第三条 (任務)』です。

『財務省は、健全な財政の確保、適正かつ公平な課税の実現、税関業務の適正な運営、

国庫の適正な管理、通貨に対する信頼の維持及び外国為替の安定の確保を図ることを任務とする。』

これの特に「健全な財政の確保」に違反するのではないかということです。


質問者:確かにその文言だと国債を大量に発行しようとはなりませんよね……。


筆者:また、MMTが推進する人達にとって一番の悪法と言われている財政法第4条には、

『1)国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。

但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。

2)前項但書の規定により公債を発行し又は借入金をなす場合においては、その償還の計画を国会に提出しなければならない。

3)第1項に規定する公共事業費の範囲については、毎会計年度、国会の議決を経なければならない。』

 と特に1項が「公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない」とありますから、基本的に税金などの収入でやりくりして下さいね。ということを言っているわけですね。


質問者:へぇ~、こんなに明文化されていたら確かに国債を発行しようという話にはなりませんよね……。ましてや世間一般的に赤字の方が悪い状況という考えがありますからね……。どうしてこんな法案があるんでしょうか?


筆者:そもそもこの条文はGHQが作るように積極的に要請したのではないかという話があります。年代としても昭和22年に制定されていますから戦後すぐです。

「PB黒字化目標」は21世紀に入ってからできたものでこの法律を具現化したような目標なんですね。これを改正できなければ例え、黒字化目標を撤廃しても一時的に過ぎません。財政法4条を根拠にして財政内容を改善していこうという姿勢は変わらないでしょう。


質問者:どうして、GHQが日本の予算の編成について口出しをするんですか?


筆者:そもそも、GHQは当時の日本に対して「再び戦争を行えないようにする」ということを念頭に様々なことをやっていました。皆さんもご存じとは思いますが、教科書であるような憲法の新制定、財閥解体、公職追放、農地改革など多岐にわたります。その一環として“戦争をするためのお金“というのを事実上制限しようと考えたのです。


質問者:なるほど、先立つものが無ければ戦争を行うことはできませんからね……。


筆者:確かに侵略戦争はいけませんが、現在自衛能力すらないのは問題です。

 この一件についてGHQに責任を押し付けたりする考えもありますが、僕はその考えには賛同できませんね。確かに最初にそう言う制度を作ったのはGHQではありますが、その後の運用については日本がいか様にしても良いはずです。特に朝鮮戦争の際の再軍備の機運が高まった時などにアメリカを説得してこの2法案の改正を行っても良かったと思うのです。


質問者:そうなると今のこの“戦争“について多くの人が考えているこの状況はアメリカの承諾を得ることのできるチャンスではありませんか?


筆者:そうなりますね。ただ同時に、財務省は防衛費増額のための“防衛費負担税“などと言って何かにつけて”黒字化目標“を掲げて増税を仕掛けてくる可能性もあります。この攻防についてもチャンスでもありピンチでもあると言った状態です。


質問者:でも思ったんですけど、今発行されている建設国債や赤字国債もこの法案を根拠にダメなのでは無いですか?


筆者:いえ、建設国債や赤字国債については財政法4条1項但し書きに『但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる』とあります。これの例外的な法案として赤字公債発行特例法というのが2020年までは毎年のように更新されていました。


質問者:例外が毎年更新って言うのも何だか変な話ですね……それで、今のお話から気になったんですけど、2021年からはどうなっているんですか?


筆者:2021年からはコロナなどの緊急事態が発生した時に法案が成立しないと国債を発行することが出来ないことから、赤字公債発行特例法は2021~25年度に赤字国債を発行できるように現行法で5年間まとめて延長するようになりました。


質問者:そこの柔軟性を持たせるならもっと柔軟な財政出動をして欲しいですね……。


筆者:全くもってその通りです。ちなみにですね。財務省は2025年までの「PB黒字化目標」を高々と掲げています。

恐らくはこの赤字国債発行特例法の次の改正が必要がある期限に合わせての目標ということなのでしょう。財務省は少なくとも2025年には赤字国債を発行せずに税制のみで国家財政を成り立たせようとしています。


質問者:なるほど……2025年までに「PB黒字化目標」が達成されてしまったら日本は危ないんですね……。


筆者:まぁ、それより前にさっさと2つの法案を改正して財務省改革をするのがベストですね。

そこに向けては、国民一人一人が気づいて政治家にモノ申す姿勢が大事になってくると思います。財務省と政治家の自浄作用に期待していては何も変わりません。

 さて、次の今回の最後の項目では、今後起こりうる日本の悪いシナリオと良いシナリオ2つを見て行きます。そして、どうすれば良いシナリオに繋げることが出来るのかについて考察していこうと思います。

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― 新着の感想 ―
[一言]  マジで何回読み直しても、財務省設置法に溢れる『財政健全化』は残酷です。  そもそも、わかってる人たちからすれば、 『緊縮財政から積極財政に転換しろ! 財源は国債発行して日銀が買い取れ!』…
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