⑥財務省はどうして「PB黒字化目標」を掲げているのか?
質問者:ですが、筆者さんの思っているようなことが財務省の高学歴の官僚さん方が理解していないとは思えないのですが。どうして「PB黒字化目標」を掲げているんでしょうか?
筆者:財務省の権益の問題、そして法律の問題と大きく2つの問題があります。
ここではまず財務省が権益があるということを触れていきたいと思います。
質問者:財務省が「PB黒字化目標」を掲げていると具体的にどんなメリットが存在するんですか?
筆者:まず他の省庁を“従える“ことが出来ます。なぜなら予算を握っていますからね。
例えば防衛費について最近話題なったことでスト
(出所:財務省2022年4月20日発表資料『防衛』)より
<陸上戦⾞・機動戦闘⾞(地上戦闘)
【 ウクライナの戦⾞・装甲⾞に対する戦い⽅ 】
○ 物量で勝るロシア軍に対し、ウクライナは⽶国製の携帯型対戦⾞ミサイル「ジャベリン」等を使⽤して激しく応戦。多くの戦⾞・装甲⾞の破壊に成功。
○ 戦⾞や機動戦闘車と比較して、ジャベリンは安価な装備品であり、コスト⾯において、両者はコスト非対称。物量で勝る敵⽅に対抗するために、対戦⾞ミサイル等を活⽤することはコストパフォーマンスを高める可能性。>
とあります。簡単にまとめると「戦車は値段が高いからジャベリンで良いだろ」とかそう言っているわけです。確かに対戦車についてはジャベリンで良いかもしれませんが、実際に占領された地域を奪還する際には戦車など強力な装甲を持つ地上戦力でなければなりません。ジャベリンに防御力や対生物・化学兵器耐性があるようにはどうしても見えません。そもそも役割が違います。
このように“価格が高い“というだけで却下されてしまうのです。
質問者:なるほど……上手いこと防衛省が自分の主張できていないだけなのかもしれませんけど、何だか酷いですね……。
筆者:それも防衛費予算を増やそうという流れがあるのにこうやって腰を折られる感じです。更なる増税を要求してくるだけでしょう。このように他の省庁の予算に対して介入することが出来ます。
次に財務省が減税をやりたくない理由を紹介します。
質問者:確かに消費税などの減税をやってくれた方が一番経済効果がありそうですよね。
筆者:本来ならばそうです。しかし、そうはなりません。これも財務省が関わっています。
結局のところお金を集めて配るのが官僚機構の一番権力としての原泉になります。
そして配る相手先も“自分たちを良くしてくれた”所により多く配るのです。それにより自らの発言力を増強させます。
また、権力を持つことで天下り先を良いところに行けるようになったり、新しく創設したりと様々なことをできるようになります。ですからなるべく増税して自己の権益を増長させたいのです。そのためには“黒字化を目指し”て集めた金を“ばら撒く“これをやり続けるのです。
質問者:ひぇー、時代劇に出てくる悪代官みたいですね……。
筆者:それは適切な表現かもしれませんね(笑)。財務省はとにかく既得権益を手放したくないんです。この既得権益は手放したら最後、権力を解体させられることは目に見えています。
ですから「PB黒字化目標」が例え嘘だと分かっていても財務省が自ら辞めることは決してしないでしょう。これを崩すためにはやはり政府からの働きかけが無ければ崩すことが出来ません。
質問者:ですが、政府はどうして働きかけをしないのでしょうか?
筆者:国会の答弁や法案作成に関しては官僚が大きく関わっています。特に内閣が作った法案はかなりの確率で官僚が関わっています。議員立法もありますが、実は内閣法案(官僚法案)の方が7割から8割ぐらいを占めているんですね。そんな中で予算を司る財務省の機嫌を損ねるようなことになったらどうなりますか?
質問者:あぁ、なるほど……法案を作ってくれなくなると。
筆者:さらに国会答弁についても、ほとんどが官僚が作成しています。まぁ、ほとんど出来レースですからね(笑)。そんな訳で、国会も内閣も法案も事実上は財務省が握っているわけなんですね。財務省にボイコットされては国会運営に関わるということなんです。
質問者:なるほど……他の省庁に発言力がある財務省が陣頭指揮を取れば集団省庁ボイコットもあり得ますね……。これは財務省改革が必要になりますね。
筆者:ですが、政治家も勉強不足なのかそれとも財務省から権益を受け取っているのか知りませんが、非常に動きが緩慢です。勿論、財政出動を行うように働きかけたり減税をするように訴える政治家さんもいらっしゃいます。
ですが、具体的に「PB黒字化目標」撤廃や法律の改正には至っていないというのが現状なのです。正直なところ、地元に帰って選挙活動の延長線上にある活動をする暇があるのなら法案や答弁を自分で作って官僚支配からの脱却を目指して財務省を解体して欲しいです。
質問者:それであれだけの議員報酬や経費が貰えるんですからね……。
筆者:別に本当に仕事をしているのでしたらあの報酬金額や待遇でも問題ないと思うんですよ。ですが、実情はとてもそうには思えません。日本の国益に反することばかりをやっています。
選挙系の仕事は秘書や地元後援会に任せて議員は本来の業務を全うして欲しいように思います。
質問者:国会は特に法律を作る場の筈ですから本当にそうして欲しいです……。
筆者:何で外注しているんだって話ですよね。当選したいという思いが強いんでしょうね。結局は利権社会なのが全てなのだと思います。次の項目では具体的に改正したほうが良い法案について説明します。