表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/9

⑤「PB黒字化目標」は日本国を自ら縛り上げている

2,「PB黒字化目標」は”負の連鎖”の出発点に位置している


質問者:何だか一般的な誤解は解けたような気がするのですが、ところでこのPB

黒字化目標は具体的にどんな悪影響を及ぼしているんでしょうか?


筆者:そうですね。少しずつ悪いところはおぼろげに見えてきたと思いますけど、悪いところのみを抽出した話というのは無かったと思うのでそこに絞って話していこうと思います。

 まず「PB黒字化目標」のお題目の下でなされる政策としては「緊縮財政」があります。

 これによって、起こることとしてはまず必要な個所に必要なだけ資金が回らない可能性があります。


質問者:特に今は原油高や円安で輸入価格が上がっている中で給料も上がらない状況ですからね。

でも、一つ思ったんですけど、「PB黒字化目標」維持を狙う人たちからしてみたら既に国債を発行し尽くしているのでは? といった意見もあると思うんですけどどうなんですか?


筆者:なるほど、そう言う意見もありますよね。ただ、円安は進行していますし経済成長もしていません。お金を使えば解決できる問題が解決していない現状では“国債発行はまだまだ足りない”と言わざるを得ないんです。

 デフレを脱却し、なおかつ国民の給与が他の先進諸国並みの給与上昇まで至った時に初めて財政出動を辞めるべきなのだと思います。


 ちなみにですね物価はCPIをみると3月は0.4%、4月は2%台まで上がるようなんですが、コアコアCPIはむしろ下がっているみたいなんですよね。コアコアCPIは2020年中ごろからほとんどマイナスで、3月はマイナス0.7%だったようです。対してCPIは2022年から1%前後上昇している感じです。


質問者:何ですかそのココアかコアラみたいな名前……。


筆者:ココアでもコアラでも無いですよ(笑)。

コアコアCPIとはCPI(消費者物価指数)から食料(酒類を除く)、エネルギーを除いた指標のことです。この指標は生活必需品以外の享楽費を現していると言われています。

享楽費の上下は主に給与の増減が反映されていると言われています。

つまりコアコアCPIがマイナスだと給与手取りが下がっているということを意味します。

その状況下で物価指数が上がっている状況というのは最悪のスタグフレーション(物価が上がって給料が下がる)が起つつあるということを現しています。

少なくとも円安による影響は価格転嫁ではなく給料の減少によって補われているという可能性が高そうです。


質問者:え……それなら今の日本経済は最悪の方向に向かってるんですか?


筆者:ちなみにスタグフレーションの兆候は去年からありました。

なぜなら菅政権が行った携帯電話引き下げなども影響していまして影響が無くなるのが4月分からです。今月ようやく反映されたのですが、CPIは実質+1%ほどで2021年度は見ないと正しい評価はしにくいです。

 そう見ると2021年度はほとんど1%弱インフレで推移し、コアコアはマイナスという感じなんですね。


質問者:なるほど、それが表面化し始めたのがごく最近ということなんですね。


筆者:そうですね。いずれにせよ、「インフレ率2%が達成されたから財政出動しない!」とか言うのが最悪の展開です。

 実際のところは輸入価格が上乗せされて増えているだけですからね。国内企業物価指数は前月比ではプラス1.2%。17カ月連続の上昇だったようで前年同月比では10%上昇だったようです。

今のCPI上昇は海外の方の収入が増えているだけで日本人の収入は減っているんです。


質問者:あの……ところで、既に財政赤字が極まっているのではないかという話もありますがその点はどうなんですか?


筆者:確かに日本はGDP比で見ても世界的には異例な国債発行額だとは思います。しかし、経済成長をここ20年間ほとんどゼロだということ。そして給料も一切上がっていない(手取りは保険料や消費増税でむしろ減ってる)という事実があります。

 これらの出来事を打開するためにはもっと政府としては動かなければならないわけなんですね。

 これがインフレや国民に対する国債発行割合が高いなら話は変わります。ですが、実際は何も起きていないわけです。


以前の投稿では公共事業(核シェルター建設含む)、雇用対策(非正規雇用を減らす)、食料自給率向上、少子化対策、減税などに資金を投入しようという話をさせてもらいました。


正直なところ、今後は食糧危機などもっと国難と呼ばれる事態が訪れるような気がします。

※詳しくは『迫りくる食糧危機』をご覧ください https://ncode.syosetu.com/n3513hp/


今のうちに色々と手を打っておかないと手遅れになりますね。もっと昔からやっていれば少ない金額で済んでものでもどんどん傷口が広がっていっている印象を受けます。


質問者:なるほど、それでそう言った財政出動を行う必要があるのにPB黒字化目標が邪魔をしているという訳ですね。


筆者:また「PB黒字化目標」により国益は害される傾向にあります。

 まず、政府財政を黒字化しようとするためにはどうしたらいいと思いますか?


質問者:えーっと、売り上げを増やすか費用をカットするかだと思います。


筆者:そうでしょうね。売り上げについてはいったん置いておいて、費用のカットという話になりますと“採算が合わない”ものを民営化しようという話になります。規制緩和や公務員の解雇し外注すると言った流れもこれに類する流れにあたります。

民営化などを行うと、赤字部門については、一時的には良くなるかもしれませんが長期的に見ると料金の引き上げや地方の軽視などが行われます。これは民間としては利益最大化のために当たり前に行われています。


質問者:ですが、“採算が合わないことをやる“というのが国の仕事なのでは無いですか?


筆者:素晴らしい着眼点です。そう、“採算の合わない部門”を民営化し“強引に黒字にする“ということはどういうことか? 簡単に言うと元公務員だった人の給与がカットされるか採算の取れない場所は閉鎖していきます。こうすることによって”会社の利益”のために“国民の利益”は減少していくのです。

質問者:本末転倒ですね……。


筆者:また、自由貿易の拡大が行われつつあります。日本のノウハウや日本人の利益は外資の参入によって海外へ流れていってしまうことになります。そして利益最大化のために日本人の利益を民営化企業が海外へ売りさばいてしまうという流れが流れ作業的に行われています。


質問者:なるほど、「黒字化目標」があると日本の国益が次々と売られて行ってしまう訳なんですね?


筆者:そうです。まさしく、この黒字化するという目標は日本の癌細胞と言っても過言ではありません。

よくゲーム実況動画などで“縛りプレイ“とか言って自ら制限をかけてゲームをしているのがありますが、日本はまさしくあの状態です。ゲームの縛りプレイなら高度なスキルや知識・経験を活かしているのを見て面白いですが、国家財政において”縛りプレイ”をされても、国益が害され、国民が苦しむだけで面白味は皆無です。

 

質問者:ゲーム実況動画についてはよく知りませんが、自ら手を縛りあげているというのは分かります。


筆者:そもそもPB黒字化しても何百年もかけないと返済しきれないんですよね。租税収入などで完済しようとするなら1円も支出に使わなくて、1円も国債を発行せず、すべて国債返済に使って、初めて20年以上かけて完済するような状況です。


質問者:それは全く現実的では無いですね……。


筆者:そうですよね。それならもう財政出動に舵を切ったほうが良いと思うんです。日本国民の多くは「黒字化しなければ財政破綻する、将来世代への負担になる」と勘違いしています。それをまた国民が支持していることが質が悪い問題です。ほとんど騙されていると言っても良いです。

こういった勘違いを無くしていき、「減税や財政出動せよ! 国益を海外に売るな!」と少なくとも国民の声としてドンドン上げていかなければいけません。

 こういった勘違いに気づいたのなら、まずは自分の家族。そして親友や知り合いなどの周りの人に広めていって欲しいのです。そう言って声を上げていけば政治家も“これは動かないと大変なことになる(票を入れて貰えなくなる)”と危機感を抱くようになるのです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 一つ、笑い話(ジョーク)を言えば、『PB黒字化目標』を掲げている財務省は、『財政が黒字になることを嫌がる』だろうな。と思います。 だって、今まで『国の借金が多いんだから、何かをしたいなら何か…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ