②財源は国債からでも構わないし、国民から借りている割合は1.2%
誤解3:財源は租税からのみ行うべきだ
正解3:租税から財源が出ているわけでは無い。国債からでも構わない
筆者:よく、財政出動などをするという話が出る際に“財源はどこにある!?”と血眼になってまくし立てる方がいると思います。
質問者:まくし立てているかどうかは別として私もそう思います。
筆者:まぁ、普通のこれは誤解2とも関わる話なのですが、国債を発行して日銀と市中銀行が引き受けることで、日本政府が日銀に有している日銀当座預金口座に預金が増える、しかも数値上でのみ増え、それが実際に予算として使われているんですね。
そんな訳で“財源はどうするんですか?“の答えは“財源は日本銀行の担当者の指先一つで出来ます”という感じだと思います。それを政府が承認すればいいだけです。
質問者:しかし、それは周知されていないように思えます。どうして、黒字にしなくてはいけないという誤解が広まっているんでしょうか?
筆者:1つは先ほどのように一般家計と当てはめて考えていること。
2つ目はこれは歴史的に見て1970年代前半ぐらいまでは国債をほとんど発行することなく来ていました。
財務省の公表しているデータによりますと、90年代から国債が増えて、90年には約200兆円の残高が2000年には約400兆円、2010年に600兆円そして2022年には1025兆円とここ20年間で約600兆円の国債を発行しているんですね。
ですから80年以前は“財政黒字”若しくは国債残高が少ないという状況が長く続いたことから“財政赤字は悪いことだ”という固定観念が国民の奥深くまで刷り込まれているんだと思います。
しかし、今の状況では租税の中で押し込めようとすると必然的に国はその中に納まってしまい、今起きている有事に対して何も対応できないわけです。
質問者:そうなると租税の役割とは一体何なんでしょうか?
筆者:①貨幣供給量の調節、②所得の再分配、③通貨の統一、④海外資本が参入しないためや過度な寡占を防ぐための罰金などといった役割があります。
このうち②の所得の再分配についても、儲かっている人が少なければ、分配については財源が租税である必要はありません。
実は“租税が予算の全てを形成する“必要なんてどこにもない訳なんですね。勿論、予算を編成する上で全てが国債では流石にハイパーインフレや円安になってしまうリスクはあります。しかし、特に通貨発行権がある日本にとっては必ずしも必要ではない事なのです。
質問者:なるほど……。
筆者:特に逆進性の強い消費税は廃止したほうが良いですね。
質問者:それを聞くのは3回目です……。
筆者:なら今回はもう一つ加えましょう。租税にはビルトイン・スタビライザーという景気を自動的に調整する機能があります。④のようなものですね。
しかし、消費税においては、むしろ景気や消費を冷え込ませています。直前に消費税が上がる前の駆け込み消費があるのも多分に要素としてあると思うのですが、平均しても消費税が増税した割合以上に家計の消費は冷え込んでいるのです。
質問者:確かに、消費税が上がった時おかずも少し安いのを買おうとかそう言う発想になりましたね。
筆者:そうなんですよね。某政治家が“消費税が上がった分は大したことが無い“とか不謹慎な発言がありましたが、彼らには貯金と文通費が山とありますからね。一般庶民とは色々と違いますから価値観がそもそも違います。
誤解4 国は国民からお金を借りている
正解4 ほとんど国債は銀行・保険会社が引き受けている。国民からは1.2%のみである。
筆者:これは概要でも書きましたが、何だかニュースなどでは国民一人あたりいくらいくら借金を~とかそいういう記事をご覧になったことはありませんか?
質問者:ありますね。
筆者:最新では国民一人あたり983万円とからしいですね。まぁ分かりやすく1000万円としておきましょうか。
ところが、一般家庭で日本国債を持っている方はかなり少ないと思うのです。その考え方そのものが上記の流れを見ると根本的に間違いなんですね。定期預金などに預けている方が多いのは分かりますけどね。ちなみに、質問者さんは1000万円以上国債を持っている人をご存知ですか?
質問者:私もそんな人は知りませんし、1000万円と言ったら現金で持っている人すら少なそうです……。
筆者:そうなんです。まずそこに気づいて欲しいですよね。
実際に令和3年12月時点の日本の国債保有先というのを見て見ますと、日本銀行が48.1%、市中銀行が14.4%、保険会社が20.3% 年金基金が7.1%と90%がこれらで占められています。つまり「誤解2」の話の続きですと6割以上は信用創造で国債を発行しているんですね。
そして、家計はわずかに1.2%。金額にして約12兆7000億円です。ですから国民一人あたりの借金というのなら10万円ちょっとというのが正確な数字なんです。
ですから“国民1人あたりからから1000万円も借金をしている”というマスコミの報道は嘘では無いですけど真実を言っているとは思えません。
質問者:そうなると2020年に10万円給付が国民一律給付されたあの段階で……。
筆者:実は国民一人当たりにならした場合の借金返済は事実上終わっているようなものなんですね。
勿論国債を持っている方の返してもらう権利が踏み倒されて吹き飛んだわけでは無いので、あくまでも“国民一人あたり”というところを基準にした話です。
つまり、国家の国民への負担は国債発行においては現在の状況では無いも同然と言えるのです。
仮に国民負担があるとするならPB黒字化目標という旗印のもとでなされた幻想にすぎません。蜃気楼のようにユラユラと揺れているものを皆が騙されて間違った固定観念を植え付けられているに過ぎないのです。