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シスコンという言葉

「......そのような流れで、遅刻してた。質問は?」


「だいぶ分かったと思う。でも、なにか変の発言が今の話に混ぜてた気もする。聞き間違いとかなのかな?」


 長い黒髪といじっていながら、天野ちゃんの栗色な瞳がわたしに向いてきて、天野がそう質問していた。


「そ、そうね。きっとその通り」


 わたしがなぜかすごくへんなところで口走ったのは、なぜか話すながら全然気づけなかった。しかし指摘されたと、すぐに分かる。わたしがすごく変なことを言い表している、という事実を。お姉ちゃんが一体どうしてブレーキをかかってくれなかったの? 聞いていない? 


 横を向いてと、そこに赤面なお姉ちゃんがいる。


 聞いてるじゃん。いいね。そして可愛い。


 わたしがぼーっとしてしまうと、天野ちゃんが自分の声でわたしのさらなる思考の回路を遮てくる。


「いいえ、やっぱり聞いた、すごく怪しい言葉は、ね。まあ、別にいいけど。花ちゃんと愛優内ちゃんが二人ともすごいほどシスコンはもうとっくにバレてるよ。今更もんく言うつもりなんてあるわけがない。逆に考えたら、まだ付き合ってないなんて実際にかなりすごいじゃないかな? 付き合ってみたら? 私、応援するよ」


「良い提案だね、それは。お姉ちゃんがどうと思う? せめてデートひとつくらいやってみたらいいかな?」


「もちろんいいよ。今日は最初からデートする予定だったんだけど......」


「これとそれは違うよ。今聞いたのは、そのあとにもうひとつのデートについて。二回目のデート、ゲット! イーエイ!」


 それで、お姉ちゃんがなんか怪訝そうな顔になる。


「ちなみに、天野ちゃんがさっき言ったけど、私がシスコンって、どういう意味?」


「不明点がないと思うけど?」


「いや、納得できないね。一体なぜ私が、シスコンなんて、それはなんなんだよ」


 お姉ちゃんが天野ちゃんが言っていたことを否定しようと頑張っているみたいけれど、わたしが言えば、お姉ちゃんはシスコンのは、すごく納得できる。昨日お兄ちゃんとすこしへんな話していたのもあったけれど。ああ、そうね。わたしがそれ聞いた。全部、最初から。外で待っていて、わたしにとっていいタイミングで家を入って、戻ってきたばかりふりをしていた。


 まあ、外で待っていたといえ、ほんの5分くらいだった。そして偶然でお姉ちゃんとお兄ちゃんが話していることを聞いたからだけ。


 それより、お姉ちゃんの否定がかなり貧弱なものである。わたしも、天野ちゃんも全然信じてあげないし。


「わたしがいえば、お姉ちゃんがシスコンのはすごく似合うよ。お姉ちゃんがやっぱりシスコンだと思う」


「そのはずは...... というより、妹からシスコンと呼ばれてるとなんか変な気分になっちゃうね」


「もっと言われたい?」


「あのね、そこで喋ってる三人、授業がもう始まってますよ」


 教室の前から、そういう指摘が飛んできた。


 前を向いてと、確かにそのとおりだった。


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