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妹との百合のみちへ

 妹の部屋は妹本人ほどきれいじゃないが、やはりかなりきれい。家具がほとんどない。ベッドがあって、簡単なデスクと椅子があって、本棚があって、それ以外は一瞥でみえない。一瞥で、ね。そういうことは今あまり関係ないけれど。


「って、花が言いたかったことは?」


 部屋を入ったあと、私がベッドの上で座っていて、向こうで椅子に座っている妹へ続きを促す。


 ちなみに、いま妹が着ている服は少し短すぎる黒いスカート、黒いロングソックス、オシャレな白いセーター。私も同じ格好している。数ヶ月前に一緒にこの服買ったし。


「ああ、そうだったね。言いたいことがあるって言ったね、わたしが」


「自分が言い出したなのに覚えてない? なによ、それ」


「ほんの少し緊張してるだけよ。そもそも、姉ちゃんも少し前かなりひどい様子だった気がするんだけどね...... 一体何があった?」


 私達の兄へ告白してた、そしてふられた。なんて、妹に言えるわけがない。真実をちょっぴりだけ磨くか。ちょっぴりだけよ。


「花が戻ってきた前に、今日、好きな男子に告白してた。すぐにふられたん。それだけ。そんなに気にすることじゃないよ。それより、私の可愛い妹よ、話のは結局何だったけ?」


「それは、それはね、ええと、姉ちゃんといつか一緒に出かけようかな、と......」


「いいよ。私、学校以外にほとんど暇だし。そんなに緊張するほどのことにはあまり思えないが」


「そうね。そんなに緊張するほどのことじゃないんだね......」


 妹の様子が何故か怪しくなってる。足を組んだり、手を組んだり、ソワソワしている。


「姉ちゃんがふられたので、前向きな態度がいいかなみたいな、練習したほうがいいかなみたいな、新しいことを試したらいいかなみたいな......のような考えがあった」


「それで? ほかの男子と付き合おう、練習して、ってこと?」


「こんなに早く好きだった人以外の男子と付き合える、本当に思うの?」


「そんなわけないよ」


「そうね、それ! それ! わたしが、それ言ったかった。いま、姉ちゃんが男子と付き合うわけがないでしょう」


「確かにそうなるね」


「ならば、女の子と付き合えば?」


「え? どうしてそうなるの?」


「だって、この前わたしが可愛いのは、姉ちゃんが確かに言ってたでしょう? 女の子が可愛いと思ったら、女の子と付き合ってみたらいいじゃない?」


「それは花だけよ、全部の女の子が可愛いって意味で言ってないよ」


 もちろん可愛い女の子が他にもいるけれど、私の妹ほど可愛い人がそうそういないと思いたい。


「ああ、そうだったか。ならば、姉ちゃんがわたしと付き合えば?」


「いいよ」


「これは意外と簡単だったね。で、明日、デートしよう?」


「いいよ」


「姉ちゃん、わたしがなに言ってるのかちゃんと聞いてる?」


「聞いてない。でも花となら、何でもいいとおもうから大丈夫」


「そうか、そうか。それで、明日デートしよう、って言ってた。わたしたちが。いい?」


 デートか。妹との。なんか楽しいそう。


 待って......この状況はなんか変な気が思ってならない。何はわからないが、何かが絶対におかしい。


 まあ、いいか。それについては後でもっと考えよう。


 それで、妹とのデートか。面白いね。


「言ってたでしょう? いいよ」


 それで、予定を立っていて、いろいろなことを確認する。


 多分、全部が始まったのはその日だった。


 私たちの恋愛への道が、ここで始まった。


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