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告白しようときめた

 私、盛愛優内という16歳の女子高生には、好きな人がいる。私より二年年上の、尊敬と自慢の、いつも優しくしている兄貴。盛大介という名前の。ちなみに、盛愛優内はさかいあやなと読まれている。覚えなくていい。何か一つ覚えたいなら、兄の名前と、私と兄の愛だけでいい。


 まだ告白していないのだけれど。かなり怖いだから。それはそうでしょう。誰かに告白するなんて、特に自分の兄に、無理でしょう。


 だから今自分の部屋にいたり、ベッドの上でうつむいたり、まだ告白していないことを後悔する。手にはスマホがある。友達に相談しようかと。このようなことについて、信用できる人...... いないのか。特に私の好きな人は兄という問題について、誰かと相談するのは意外に難しくなるかも。


 相手の正体を省いたら? とりあえず、友達へメッセージ送ってみた。


 この内容で。


「好きなひとがいる。告白したいけど、どうすればいいのか全然わからなくて、モヤモヤしてる。どうしたらいいの、教えてね」


 少し待っていてと、返事がなかなか来なかった。もう一つ送った。


「助けてよ」、を書いていた。


 今回は返事がほぼすぐに戻ってきた。


 内容は、「なぜわたしがしてるとおもうの」


 それだけ。


 やっぱりだめだったか。


 こうなった以上、選択肢は一つ。


 自分の能力だけを頼りにして告白すること。


 よし、行こう! 


 第一歩、兄を見つけること。


 部屋にはなかった。あとはキッチンくらいかな。もちろん家は私の部屋と兄の部屋とキッチンがあるだけほど狭くないんだけど、兄がいる場所は大抵自分の部屋とキッチンの二つだけ。


 キッチンにはちゃんといた。テーブルの隣で座っている。


 背が高い、短い黒髪、すごくイケメン。完璧な男、女の子なら皆が愛すべき存在なんだ。私の意見だけだけれどね。


 声を出してみる。


「あの......」


 兄が振り向いた。少し不審な動きで、驚いた顔をしている。


 いや、少しと言ってだけで全然足りない。すごく振動してるだと言っても過言になっていないほど動揺してるように見えている。何故はわからない。


 それを見たのでさすが少しくらい迷っていたけれど、いま後退ったら次の機会がいつなるのかは知らないからできるだけはやく勇気を絞り出したほうが良さそう。


「僕になにか御用がある?」


「大介に言いたいことがあって、ちゃんと言ったほうがいいと思って、ええと......だからここにいる」


「言いたいことって?」


「実際に、私は......」


 さすが言えない。言ったらどうなるの分からないし、私がそんなに勇気も持っていないし......


 いいえ。


 言える。


 行動することを決めたとき、言い訳は全部無くなっていた。


 残るのは、これだけ。


「大介のことがしゅしゅ......好きです。付き合ってください」


 キッチンが静かになっていた。一瞬で。


 逃げようかな。でもどこに? 同じ家に住んでるよ。棒みたいに立てながら返事を待つしかないんですよね。


 やっと兄が答えてくれました。


「ごめんなさい、でも流石に君と付き合えないんだ」


「私達は兄弟から?」


「いいえ、ただに僕が...... いや、たしかにそうだよ。妹に付き合えるわけにはもちろんいかないだよ」


 やっぱりそうだったか。当たり前の、すでにわかりきったこと。しかし、告白したかった。多分ふられるのは分かっていても、気持ちを一度だけちゃんと言いたかった。


 自分に、その言い訳めいたような言葉を言い聞かせる。


 希望が、やはりあった。なければ最初言おうなんて思っていない。小さな希望だったが、希望がちゃんと存在していた。


 数秒前まで。


 雫が頬を伝わって、静かに床へ落ちる。


 私が、泣き始めた。


 兄は何も言わない。それは、正解だった。この状態で、彼から言える慰めになりえる言葉は多分ない。


 そして、大きな音量のノックがキッチン中に響いた。キッチンの中からではなくて、その外の玄関から。私がびっくりして、涙を拭くように頑張っていた。だめだった。最近泣いたことは多分うまく隠せない。


 誰かが家を入る音を聞こえた。


「ただいま、姉......うわあ、なにかがあった?」


「いいえ、私がただ兄に...... 」


「姉ちゃん、お兄ちゃんになにかされた? それ、ひどいよ! お姉ちゃんが泣いてる程なんて、お兄ちゃんはさすが最低ですね」


「いいえ、これはあくまで私だけのせいですよ。でも、ありがと。おかえり、花」


 盛花。私の一年年下のかわいい妹。むちゃくちゃほど長くて赤くてきれい髪、手足はかなり細い、そして私より少し背が低い。他には、ずるいほどの美人。顔もすごく可愛い。


 私たちはとても似ているんだけれど。私のほうが少し背が高い以外は、ほとんど同じ見た目をしている。姉妹だからね。


「ああ、そうか。とにかく、戻ってきたばっかりけど、お姉ちゃんは時間がある? 言いたいことがある」

「いいよ」


 花は私の手を引っ張っていく。


 私の後ろでかなり混乱している兄を何故か無視する形で、私と花が花の部屋へ向かっていた。


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