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第三夜

こんな夢を見た。


与えられた自室にいた深夜に、

上にあるリビングから、物音がガタガタゴトゴトと聞こえた。

会社のリサイクル時にもらった椅子に座っていた私は、何事かと思い、

読んでいた本を机に置き、投げ出していた足をどうしようかと悩んでいた。


別に、なにが起きたわけではないだろう。

家で買っていた猫が、高いところに登って、

なにかを落っことしたというのが答えだろう。


明日直さなければならないようだ。

めんどくさい。


再び、薄暗く光をつけた中で、本を読み直した。


今、読んでいる作品は面白くない。

では、なぜ、読んでいるかというと、買ってしまったからだ。


なんとなく、ゴミ箱に放り込むのが惜しいのだ。

しかし、本当に面白くない。


半分も読み終わったというのに、

なにも伝わらない。どうなってんだか。

やっぱり過去の偉人の作品を読むのが正解なのだろうか。


しかし、そうなると、作品を普通の本屋で探せない。


本屋で探すのがいいというのに、

配達してもらっては、なにか劣る気がしてならない。


まぁ、つべこべ言わず読むか。


なにかあるかもしれない。


あまり集中できずに読んでいると、

また上から、ガタゴト、と聞こえる。


泥棒だろうか、とここでようやく、その考えが頭に浮かんだが、

しかし、上の階に取られるものはない。



片親が死んでから、

財産は、自身で管理することになっていた。


そして、親の財産はちょっぴりしか残っていないことを知っていた。

上の階には、取るものがないのだ。


いくら暴れたところで、なにも問題ないのだ。

その親も、一階にある寝室にて寝ている。


下に降りてきさえしなければ、問題は起こらない。


しかし、もし、下に降りてこられると、かなり困る。




さて、どうしようか。



かなり上の階で探しているようだが、

見つからないとわかると下まで探そうとしてくるかもしれない。


音を鳴らして、威嚇行動でも取ろうか。


いや、しかし、なにも取れなくて苛立っている泥棒を刺激すると、

どうなるかわからない。


ここは静観しておこうか。


そう思った矢先に、

階段を降りてくる、ギシギシという音がなった。


ふむ、終わったかもしれない。



動くのは、悪手な気がした。



ここは、やはり、堂々としているのがいいだろう。


有名な探偵者で見た気がする、堂々としてポーズでもとってみるか。

まぁ、それはつまり、今とってる、

この足を机の上に投げ出したポーズなのだけれど。


光も灯っているし、こっちに来るでしょう。


音を立てないように、ゆっくり通りてくる足音が聞こえる。

しかし、悲しいかな、うちは古かった。

どんなに注意しても、音がなってしまう。



階段の数と同じくらいのギシッという音が聞こえたから、

もう降りてきたのだろう。



しかし、こちらに来る気配がない。


寝室の方に行かれても困る。

とか言って、玄関の方に言ってもなにもなく、

風呂場を訪れても、やはりなにもない。


ここに来る以外に手はないと思うのだが。


この自室と壁で隣接している、洗面所でガサゴソいいだした。


光がもれているここに入ってくるのは恐かったのか。

ドアは開いてるというのに。

しかし、大胆だな。


もっと静かに、やるもんだと思っていた。

音が聞こえているし、隠す気がないのだろうか。


それとも、いらだちが頂点に達して、

音を立てて紛らわしているのか。



それは見つかるものもないし、当然であるが、なぜこの家を選んだのか。


冷静だな、自分。

かなり冷静だ。


この面白くない本でも読み直すか。



扉が開く音がした。

トイレを開けたようだ。


そして、そっと寝室のドアをゆっくり、ゆっくり開ける音がした。


やっぱり、面白くもない本は集中するのに適していなかった。


寝室に行かれるのは、いけない。

堪忍ならなくなった。


おいっ、そこを開けるな。


その声は、まあまあ大きく、聞こえたのだろう。

ドアが動く音が消えた。



こっちに来い。


この言葉も聞こえたのだろう。


走って、廊下を超えて、階段に行き着き、

ギシィ、ギシィっ、といわせながら、

急いで、階段を駆け上がっていく音がした。


上に逃げて何になるというのだろうか。


玄関から逃げ出せば良いのに。



ガタガタと強引に窓が開けられて、強引に逃げていく。




粋なポーズをとっていた私は、唖然とした。

唖然としていた私は、面白くもない本をまた、読み始めてしまった。


本を読み終わって、

明日の掃除が大変そうだ。と思ったのだった。

しかしは癖

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