第十九夜
こんな夢を見た。
「別の世界に行けるならどんな世界がいいと思うかね」
私の、小説を愛する、久しぶりに会った友に言われた。
その時、私は考えた。
どんな世界がいいのだろうか。
ふぅむ。
殺人の絡むミステリー小説の世界には生きたくないな。
そう思った。
しかし消去法で答えるのも、なかなか芸がない。
ココは、やはり、
「時代小説かな。おっと、
江戸時代に生きたいかな」
「そうじゃなくて、別の世界よ。
江戸時代じゃ、今の世界じゃない」
おお、そうか。
じゃ、SFで答えろってわけだ。
でもSFってあまり知らないんだよぁ。
「ぼんやりと答えてもいい?」
「いいよ」
「設定もつけていいの?」
「いいよ」
なるほど、ではどうしようか。
設定マシマシで行こうか。
しかし、自由な発想。
むぅう、うなれ、私の発想力。
「ドラえもんはだめですかね。」
「だめです」
「ははぁ」
だめなのか。
こう、どこがいいかと言われても、思いつかん。
自由と言われるとわからん。
「じゃあ、そうね、
私がモテモテになる世界でよろしく頼むわ」
「相手がブサイクでも?」
「あんた何言ってるのよ。そんなわけないじゃない」
「でも性格悪かもよ。
あなたがお金持ちで、資産を狙っているだけかもよ」
「そんなのやよ」
「あなたは、全っ然好きじゃないかも。
よく言うじゃない、美醜じゃ測れないものがあるって。
ただのストカーになるかもしれないじゃない。」
「それもそうかもね。」
じゃぁ、何がいいというのだろうか。
「魔法が放てるといいかも。
火の魔法と氷の魔法。かっこいいと思わない」
「そうかもね。
でも、人は近寄りがたくなっちゃうんじゃない」
「そこは隠すのよ」
「自分を隠しながら、生きるつもりなの?」
「運命の人が現れたら、明かすのよ」
「そんな人現れないでしょ」
「そこは、現れるという設定で」
「無しよ」
「無しかぁ。
じゃ、友子は、どんな世界がいいっていうのよ。
私の生きたいところ否定するくらいなんだから、
さぞ、高尚な世界なんでしょうね」
「私ぃ?そうね。ふふふ。
どんな世界に行きたいだろうと思う?」
「知らないわよ。ほら、さっさと言いなさいよ。
さっさと言う」
友は、躊躇いがちに、スカートの裾を持って言った。
「私は、、
騎士になって、カリスマのある王の、剣になりたいわ」
「ちょっと何いってんだか、さっぱり」
「私、今、満たされていないの。
私を満たしてくれるようなお人がいれば、
その人の騎士となりたいの」
これは、、
欲求不満ですね。
「じゃ、私に仕えなさい。
秘書を雇おうと探していたところなのよ」
「えぇ!?」
まぁ、嘘であるが。
友は、かなり驚いているようだ。
「では、不束者ですが、よろしくおねがいします」
はぁ。
ぼけか、本気かわからん。
困るわ。
しかし、よく考えてみろ、私。
秘書のいる生活。
それは、悪くないものじゃないか。
それが、友でも。
「給金は、全然出ないけどいいの?
食事代くらいは持つけど」
「ははぁ、ありがとうございます。
とりあえず、仕えさせてください」
「じゃ、一ヶ月だけ。」
「じゃ、まず、
お金渡すから、アイスでも、くってきてください」
「不満貯まると、革命起こすから。
かっこいいことも、命令してよね」
かっこいい命令って、なんだ、それ。