偉業
次の日学院に行くと騒がしかった。何事かと思っていると「あっ、来たぞ!」と囲まれてしまう。なんか知らない大人が沢山いる。
「何事ですか?」
「キミがダンジョン実習初日でクリアしたネロ=ヴァッサーくんだね?」
「はい、そうですけど」
「キミは将来どう言う進路に進もうとしているの?」
「クリアした時の感想は?」
「キミは一人で攻略したの?」
「キミは‥‥」
うざったい、何だコレ?マスコミの囲み取材かよ!ん?マスコミの囲み取材なのか?
「あー、すんません。通してもらえますか?」
「あぁ?キミは質問に答えないつもりかね?」
「早く答えろよ!」
こいつら、何だ?答えるも答えないも俺の自由だろ?ムカついたのでスコールを降らしてやった。ビショビショになって帰れ!
俺の服だけ乾かして歩き出す。そもそも学院に許可取ったのか?俺が何したってんだ。何で俺の登校の邪魔をするんだ。
教室に入るとクリフが寄ってきた。あの大人達は何だったのかと聞いてみると
「ネロの偉業を嗅ぎつけて取材に来たみたいだよ」
「いきなり囲まれて何かされるのかと思ったよ。失礼な言葉もぶつけられたし」
「なんかしちゃった?」
「スコールを降らせてずぶ濡れにしてやった」
クリフが顔に手を当てて上を向く。あれ?ソレ、あちゃーのやつじゃない?え、またやっちまった?のやつ?
「新聞とか週刊誌に色々書かれそうだよ」
「あぁ、なんだ。見ないから大丈夫だよ。退学になるとかだと嫌だけど」
「ネロはそう言うところも強いよね?」
それで俺の偉業とやらがどれくらい凄い事なのかクラスのゴシップ好きそうな奴が教えてくれた。学院の歴史150年で初めての事。あの天才と称された白い魔導士ですら初回クリアは出来なかったとか全然分からん。誰だよ、白い魔導士?白魔導士じゃねーのかよ。ちなみにトップ10にピーター兄が入っているらしい。それはすごい、さすがピーター兄。つーか150年前からずっとやってんのかよ。
あとあのミノ太は倒さなくてもいいらしい。ある程度良い勝負が出来たら満足して単位をくれるらしい。倒す奴もあまりいないらしい。
学院長からの呼び出しだ。この状況で研究バイトじゃないだろうけど。
「朝のマスコミどもの件さ、すまなかった」
「でしょうね。アルバイトが良かったですけど」
「はは、この状況でそれはないよ。しかしキミの偉業は本当に偉業なんだ。何かの機会に表彰しようと考えていてな」
「えーめんどいからいいです」
「いや、ダメだ。こっちの気持ちも汲んでくれ。表彰も何もなかったら学院が叩かれる」
「えー、あ、あのミノ太は先生なんですか?」
「ミノ太って。アレは私の従魔だよ。アレは戦いが好きでな、あそこで戦いを挑み続ける事を選んでそういう契約を交わしたんだ。どうせだから実習の役に立つ様他の契約も組み込んだ。説明してくれただろう」
「不意打ちすんなって言われましたね」
「実戦においては不意打ちは有効だけどな。不意打ちはあいつが楽しくないからだろうな。戦うのが好きで勝つのは好きじゃないみたいだ」
なんか逆の事言ってた炎と氷がくっついた敵キャラいたなぁ。
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