水神様との邂逅
「知らないとこだ。」
天井がないのでそう呟く。
空はくもっているのとは違う白い空。
体を起こして周りを見る。
空の上か?
下には雲が見える。隙間から見える青は海か?
あまり乗ったことは無いが、飛行機からの景色に近かった。
「その通り」
聞いたことのない心地よい声。ええ声や。
「ありがとう」
え?何?俺なんか言ったっけ?
「いや、君の心の声が伝わって来るので」
??
マジ?心読まれてるの?
やばくね?なんかそういう妖怪いたよな?
サトリだっけ?
「ちゃうわ‼︎‼︎」
怒られた、すんません。
あなたは誰?
「あーすまんすまん。ウチは君たちの世界で言うところの神様に当たる存在かな。」
やばい、やばい。
自分で神様とか言っちゃう人いたよ。
関わっちゃダメだよな。離れなきゃ。
うちの地元にもいたよな。
「待たんかい‼︎ てか離れんなや‼︎」
はいはい、というか足も身体も無いし、逃げられませんでした。どうしよう。
「コホン、水上修一くん。君に伝えることがあります。」
名前もバレてる、諦めよう。
ハイ、なんでしょう?
「大変申し訳無いが君は死んでしまった。
だが今回イレギュラーな死亡だった為、君を異世界に転生することになった。」
キタコレ、テンプレ。
いわゆる異世界転生モノチートハーレムウハーと言われるやつですね。
「まぁ、それも出来るけど。」
独り身で暇だし、給料も低かった若い頃、ラノベは読んでたんだよ、まぁ今でも何気に読んでいたけど。
「話が早くて助かるわぁ。それとお詫びと言ってはなんだけど、ウチの能力を使えるようにしてあげるわ。転生先では役に立つと思うで。それとテンプレで申し訳無いけど、アイテムボックスと鑑定能力もつけてあげよか。」
ありがとうございます。助かりますねぇ。
「この程度で喜んでくれたらありがたいよ」
転生先はどんな世界なんですか?
「君の好きなラノベのような世界観のところや。名前は『エウロパ』。魔法もあるしモンスターもおる。獣人もエルフもドワーフもおんで。」
おお、ほんとラノベだな。
「基本的に国家間は平和だし、何人か先輩達も送っているからそれなりに文明は進んでる。魔王を倒せとかも無いし、好きに過ごしてええで」。
先輩達がいるのか。
マヨネーズで大儲けとか、リバーシ大ブームとかは難しいかな。色々試してはみよう。
言葉や考え方も違ってくるんでしょ?
「そう、だからそこの世界の言葉、考え方もインストールしてあげよか」
優しいなぁ。(自称)神様はどんな能力なんですか?
「ウチは水神、水に関わることは大体可能かなー?
地球の知識を活かした活用法も可能だと思うわ。あー、そろそろ時間やで?」
おお、すごい。他には何か‥‥‥?
「いや、それ以外はあんまり」
えっ?水だけ?
あ、なんか変な感じになっていく。
「時間や。行ってら〜。気張りや〜。」
水だけかぁ。まぁ使えなくはないかな?
まぁ碌でもない死に方だったし、生まれ変われるなら楽しみではあるな。
しかしなんで水神様、関西弁だったんだ?
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