クリスの頼み
「で、依頼というのは調査、討伐関連なんだ。サンドワームって知っているか?」
「名前だけは‥‥‥」
学院の授業、モンスター学で確か聞いた。砂漠に多くいて、水に弱いモンスターだった気がする。クリスさんに確認してみる。
「概ねその通りだ。だが最近この辺りにも出没するケースが増えていてな。奴は人を襲うだけでなく、土地の水分を減らす厄介極まるモンスターだ」
「そこで俺の出番と‥‥‥」
「察しがいいな、その通りだ。世界樹の件の水魔法は尋常では無かったからな。指名依頼させてもらったという訳だ」
「わかりました。どうすればよろしいでしょうか?」
簡単に言うと、サンドワームの巣穴にスコールを降らせるだけなんだが、コイツが結構な距離を移動するらしい。
最近多く発生しているのはあまり大きくはないそうだ。唯一帝都付近の村で大物が発生したらしいが、名も知らぬ冒険者に討伐されたらしい。
時期的には前回俺が来た時らしいが、是非その人に話を聞いてみたいな。きっと水魔法の使い手だ、水魔法トークしたいじゃないか!
「とりあえず見つかった場所に赴いて、雨を降らせたりして倒せばいいですね」
「そうなるな。一応コレを渡しておこう。魔術ギルドの開発した通信機だ」
「お、助かります。これで連絡取れば便利ですね」
使用法を聞いてテスト通話。問題無いな。
「しかしなんで魔術ギルドが俺に依頼を?」
「私が推薦したからだ。冒険者ギルドは別の候補者に依頼を出すと言っていた。あいつめ‥‥‥」
あいつ? なにかありそう‥‥‥。
聞かない方がいいかな?
「ネロ! 頑張ってくれ! 冒険者ギルドの候補者よりも多く討伐してくれ!」
「何かあったんですか?」
「冒険者ギルドのギルマスはいつもこちらを下に見てくるのだ。あいつめ‥‥‥。今回の依頼は帝国府からなんだが、うちと冒険者ギルドの両方に依頼があったのだよ」
「なるほど、今回の件で鼻を明かしてやろうという訳ですか‥‥‥」
「話が早いな。その通り。私のためにも頑張ってくれ」
「あ‥‥‥はい」
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