実食 出産
「なるほどね‥‥‥。大変だったわね」
シャルに説明。
その間にナタリーが世界樹の実を食べやすく切ってくれた。マリアがみんなを集めてくれた。
「ナタリー、マリア、ありがとう。じゃあみんなで食べようか。いただきまーす」
パクッ!
!!!!!!!!
これは美味い!!!!
桃のような、葡萄のような、林檎のような、梨のような不思議な甘味と酸味‥‥‥。
「ニャー!美味すぎるニャー!!」
「止まんねーぜ、旦那」
「まっこと美味ですなぁ!」とリヴィア
「美味の極み‥‥‥」とヨウコちゃん
「こんな美味しいの、初めて!!」とマリア
「幸せです~!」と、ナタリー
シャルは
「こんな美味しいもの食べたら、悪阻なんて吹き飛んだわ!ありがとう、ネロ!」
と言ってくれた。
良かった‥‥‥。
この笑顔の為に頑張ったんだからな。
リヴィアには特別に一つ持って帰らせた。子供達にも食べさせてやってくれ。
それからはしばらく穏やかな日々が過ごせた。
季節も変わり、肌寒くなってきた。
マリアとナタリーも順調に妊娠した。
産まれるのは、勿論まだ先だけど。
薄曇りの秋の日、
「ネロ、みんなとドクターを呼んで! 産まれそう!」
「! わかった。待ってろ!」
ローズとサラを呼んでみんなを集めてもらった。俺はドクターを連れてくる。
ドクターはうどんを食ってたが、ミストドアで強制移動。
「そんなに直ぐには産まれんよ。まだ大丈夫だから、うどんを食わせてくれ」
「そんな伸びたシャル食って、うどんの出産に何かあったらどうするんだ!!」
「お主、少し落ち着け‥‥‥」
「ネロ、大丈夫よ! 落ち着いて、どうどう」
「ネロくん、大丈夫だから。私も手伝います」
「うぅー、痛ーい! ネロ! エリクサー!」
「おう! 任せろ!!!!」
本気でエリクサーを生成したる!
10本か? 100本か?
こちとら水神じゃ!
なんぼでもできるでぇ!!
「落ち着いて、ネロ! 普通、出産でエリクサーなんて使わないわよ!」
「エリクサー、多い!! ネロくん邪魔だからしまって!」
「エリクサー‥‥‥、そんなものがあるなら帝王切開でええじゃろ!」
「痛ーい! エリクサーちょうだーい!!」
大騒ぎの出産だったが、無事に男の子が産まれた。
「オギャー、オギャー」
「おぉ、よしよし」
誕生から三ヶ月、母子共に健康。まぁ、エリクサーがあるので、不健康だとしても健康に出来るのだが‥‥‥。
「ネロ。毎日、抱っこしてるわね。可愛い?」
「そりゃ可愛いさ、俺とシャルの子供だもの」
「可愛いって。良かったねー、ハイド~」
「くちゅん」
くしゃみも可愛い。
息子には「ハイドール」と名付けた。ラテン語?の水 ハイドロ(ハイドル)をもじったものだ。呼ぶ時はハイドが多い。ビジュアル系バンドの人では決して無い。
一応水神の第一子だから、水に関わる名前にしようと思ったのだ。
こっちの世界では珍しい名前で、そういう語源も話したら大変にウケが良かった。
ハイドはスクスクと順調に育っている。
「マリアとナタリーの方も行ってあげてね」
「わかってるよ。もう少ししたらな」
マリアの部屋に来た。
「ネロ、すごく何か食べたいんだけど‥‥‥」
「食べ悪阻ってやつだな。俺特製の水ゼリーはどうだ?」
「それ、飽きた。食べ応えないし」
「じゃあ、水グミをどうぞ」
「じゃあそれでいい‥‥‥。あんまり動けないし、つまんない」
「ナタリーは家事してるぞ、運動になるぞ」
「失敗するのが目に見えてる‥‥‥」
「まぁ、それもそうだな」
いつも元気いっぱいのマリアは、思い切り動けないのが苦痛らしい。
「ネロくん、お昼大丈夫だった?」
「ナタリー、君は少し休んだら?」
「動いてないと、調子悪くなりそうで‥‥‥」
「まぁ、無茶はするなよ」
ナタリーは働き者なので、動いてないと落ち着かないらしい。安定期らしいからそれなりに動けるようだが、戦闘しないナタリーは普段の生活の範囲なら問題ないらしい。
因みにあのうどんドクターは、王国一の産科医らしい。日本の産婦人科医とは少し違うのだろうが‥‥‥。
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