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治療完了


「すまぬ、ネロ殿。何故抱きついたのか、自分でもわかりませぬ。邪魔をしたのは私の方でありました。心より謝罪致します」

「いやぁ、別に‥‥‥」


 まぁ絶世の美人に抱きつかれる事は普通に嬉しいよね。嫁達には内緒だけど‥‥‥。



「治療に関しても、どう礼を尽くせば良いか検討もつきませぬ‥‥‥。如何様にも望みを言うて下され」

「あー、じゃあ世界樹の実を少し分けて頂けたら‥‥‥」



「そんな‥‥‥、この里の救い主に左様な物では礼になりませぬ。例えばこの里のおなごを二、三人娶られては‥‥‥」

「いえ、結構です(キリッ)」

 なんでこの世界はすぐそういう話になるんだ‥‥‥。


「不服ですか‥‥‥。では私が‥‥‥」

「お母様!!!!?」



「お母様‥‥‥?」

 長老ってクリスさんのお母さんなの?

 じゃあクロエさんも?


 はぁ~、エルフはみんな美形だけど、この親子は特に綺麗だと思った。親子かぁ。


「クリス、あんた長老代わりなさい。私、ネロ殿について行くから」

「お母様!口調が素になってる!」


 普段はあんな感じの話し方なのかな‥‥‥。


 クリスさん親子が揉めていたら、天から声?音がした。



『ありがとう』



 その場の時が止まる‥‥‥。

 エルフさん達は、左膝をついて右手を握って胸に当てる。


「ネロ殿、同じ様にお願いします‥‥‥」


 長老様からこっそりと伝えられる。

 あぁ、なんか偉い人が来るのかな?


『ボクを助けてくれたのは誰?』

「こちらのネロ殿にございます」

長老様が答える。


『ネロくんはそこにいるヒューマン?』

「いかにも」


『じゃあ、そっちに行くね!』


 俺の目の前で、光の集合体がヒトの形を成す。

 しばらくすると、緑の髪、翠の眼のふわふわした服を着た可愛い少年が現れた。


「ボクはユグドラシル。簡単に言うと世界樹の精霊体だね。ネロくん、助けてくれてありがとう!!!!」

「あぁ、い、え。別、に‥‥‥」


 あぁっ!注目を集めてるぅ~!!

 目立つからやめてぇー!


「ふふっ、どうしたの? 変な話し方だね?」

「あっ、いやっ、ふす、そっ、そのっ‥‥‥」


「キミはボクの命の恩人だよ。何か御礼をしたいんだけど、どうしたらいいかなぁ?」

「‥‥‥‥‥‥」

 だ、誰か助けてぇ‥‥‥


「恐れながらユグドラシル様、ネロ殿は世界樹の実を欲してございます。差し上げて宜しゅうございますか?」

「えぇー、そんなもんでいいの~? つまんないなぁ、もっとこうないの~?」


「私もそう言ったのですが、固辞されまして‥‥‥」

「ふーん、あっ、そうだ! ボクの枝を分けるのはどうかな? 土に植えれば、いずれ同じ様に生えてくるよ」


「おぉ、それが宜しゅうございましょう。ではそう言う事で‥‥‥」


 俺はまともに話していないが、何かが決まったらしい。

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