水毒病の治療
「長老様、水毒病ってご存知ですか?」
「水毒病? 木がかかる病じゃ。それがどうした?」
「どうやって治すんですか?」
「木に水の魔法をかけて、木の水分を全て入れ替えるのじゃ。が、まさか‥‥‥?」
「すみません、さっき世界樹を『鑑定』をしてみたらそうみたいで‥‥‥」
「⁉︎ なんと? 本当か!! そんな‥‥‥」
長老様がガックリと膝を落とし、両手を地につく。周りのエルフさん達も呆然としている。
「世界樹の水分を全て入れ替えるなど‥‥‥到底不可能じゃ‥‥‥」
「世界樹の水分を全て入れ替えれば良いんですよね?」
「不可能じゃと言っておる!! 全て入れ替えるなど全員の魔力がもってしても足りぬ!!」
「俺なら出来ます‥‥‥やり方を教えて下さい」
「なんだと‥‥‥? お主は一体‥‥‥」
方法は思ったより簡単だ。木の維管束に傷を二箇所付けて一方から水魔法を送り込み、もう一方から汚れた水を出すという治療法らしい。
詳しくないけど、人間で言うと人工透析みたいだな。
「ダメで元々ならお主に頼ってみるか‥‥‥。任せて良いのじゃな?」
「お任せください!」
準備は出来た。久しぶりに魔力全開でやるか。
「少し離れててください」
ブォン!!!!!!!!
「よし、両手を当てて、『水生成』!!」
ギュオォォォーーーーーーーー!!!!
「こんな感じでよろしいでしょうか?」
「‥‥‥あ、ああ」
「じゃ、このまま続けますね。お腹空いたときは食べさせてもらっても良いですか?両手が離せないので」
あれ? 無視された?
空腹でやれってか?
え? 誰もいない?
さっきまで居たじゃん!
もう一方の傷口からは、汚れた水が出てくる、出てくる。
あれ、コレって出てきた汚水で溢れちゃうんじゃないか?
大丈夫かな?
「ネロ! 少しペースを落としてくれ! 汚水で溢れてしまう。汚水を地面が吸ったら、結局意味がない!」
そうだよな、汚水のまま地面が吸ったら、また世界樹が根から吸ってしまうよな。
「じゃあ、浄化します!」
出てくる水を綺麗する。右手で水生成、左手で水浄化。一人で上下水道みたいだなぁ。
ふと前世の事を思い出した。あまり楽しい事が無かったなぁ。死に方も悲惨だったし‥‥‥。
思い出したら少し涙が出てきた。手が空いてないから涙が拭えない。
すると、横から見ていた長老が背後に周ると、フワッといい匂いがする。どこかで嗅いだ事のある匂い‥‥‥
ギュッ!
え⁉︎ なんで?
なんで今抱きついてんの?




