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不思議果物


 シャルの症状を改善するべく、その果実を取りに行くことにした。ただ、名前も場所もわからない。知ってそうなのはナタリーかな?


「それは、世界樹の実のことかもしれないわね。世界樹の場所まではわからないわ」

「誰か知ってそうな人はいないかな?」



「そうね、伝説の木だし‥‥‥。昔の御伽話レベルの話だから。昔の話に詳しい人なら‥‥‥」



 昔の話に詳しい人‥‥‥。

 つまり長生きしている人か‥‥‥。

 うーん‥‥‥

 定食屋の女将さんか?

 串焼きのおっちゃんか?

 あまり老人って知り合いにいないなぁ。



「お? ネロじゃん。久しぶり~。元気してた?」

「あ、お久しぶりです、クロエさん。元気ですよ。クロエさんはいかがですか?」



「アタシはチョー元気よ。なんか考え事してたの?」

「そうなんですよ、昔のことをよく知っている人って‥‥‥‥‥‥。すみません、クロエさん。昔の話ってお詳しいですか?」


「アタシ? まぁそこそこは‥‥‥。どれくらい昔の話? アタシじゃあ思い出せるかはわかんないよ?」


 クロエさん、エルフじゃん。多分この国で一番の長生きしてるよな?

「ネロ? アンタなんか変な事考えてない?」

「いえ、クロエさんはいつまでも美しいなぁ、と」



「まぁ、エルフだし、見た目は変化ないからね。少し前に肌が褐色の女性がいたのよ。あの人とかチョー憧れ! だって可愛いっしょ?」

「‥‥‥はい、そっすね」

うん、よくわかんねぇっす。


「で、何が聞きたいの?」

「シャルがつわりなのか体調が優れなくて。聞いたら世界樹の実? が、そういうのに良いらしいので。その辺の話、ご存知かなぁって‥‥‥」


「世界樹の実かぁ。あんまり思い出したくはないんだよね。昔住んでた集落の話なんだけどさ」

「なんかあったんですね?」


「アタシ、集落がつまんなくてさぁ、色々やらかして追い出されたみたいな?まぁ色々あるよねー。あはは~」

 

暗い話なのに明るいなぁ‥‥‥。エルフの感覚ってわかんないなぁ。


「でも、良いよ。手紙書いてあげる。場所も教えるね」

「あ、ありがとうございます」


「隣の国の帝都にいる魔術ギルドに行ってみて。そこの知り合いが詳しい場所教えてくれるから」

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