九尾の狐②
「待て!待つのじゃ!なんでそうなる?」
「俺の魔力を吸って悪い事するんだろ、そういうのはダメだ。だからあげない」
「ダンジョンとゴーレムの件は不問にする故‥‥‥」
「いや、俺冒険者だぞ。モンスター倒すのが仕事だし」
「ならば致し方無し。多少勿体ないが、素っ首刎ねてやろうぞ、そこに直れ」
「やだよ、なんで大人しく死ぬ感じで言ってんだよ。つーか、やんのか?本気だな?」
本気で魔力を展開した。九尾とついでにローズ、サラまで吹っ飛ぶ。
「‥‥‥(尻尾二本分じゃ此奴には勝てん)冗談じゃ、お主の魔力は底無しじゃの。今の我では勝てぬわ、お主に従おうではないか」
「いや、良いよ。ここで大人しくしてろ」
(側に居れば、いずれは九本分の魔力が溜まるじゃろう。それまでの我慢じゃ)
「左様に冷たく言わんでも良かろうに。我の負けじゃ、付き従わせて欲しいのじゃ、好きにして良いのだぞ」
「いえ、間に合ってますので」
(なんと冷たい奴じゃ)
「そこな娘らも何とか言ってたもれ」
「いや、ないニャ」
「これ以上増えても困るよな」
(なんとこのおのこ、どれほどの娘を囲っておるのじゃ)
「後生じゃ、助けておくれ」
「なんかさっきと言ってる事が違くない?」
「ネロの側にいたいのニャ?」
「おそらく、旦那の側だと魔力が溜まりやすいんだろうぜ」
(ギクッ!なんと勘の鋭い娘じゃ!)
「其方、ネロと申すか。こんな事を言っては何じゃが、お主の魔力に惚れ込んでしもうたのじゃ」
スーッ
(ん?なんじゃ?寒気が‥‥‥)
「ネロ、この女、殺すニャ」
「生かしておいても碌でもない事しかしないぜ」
「思いついた!こんなのはどうだ?」
「何ニャ、ネロ?」
「契約!」
光の粒子になり、再び九尾の形に。一回り小さく、150センチくらいになった。顔も幼くなった気がする。
「放っておいてもいずれ魔力が溜まったら悪い事するだろうから、ここで俺の眷属にしちまえばいいかと思って」
「旦那、でもそれって‥‥‥」
「また増えたニャ?」
「あ‥‥‥」
はい、増えました。




