九尾の狐
デカイ声がダンジョン内に響く。なんかヤバい雰囲気。
「さっきから何をしておるか？我がゴーレムも倒しよってからに」
「え？ゴーレム倒しちゃマズイんすか？」
しまった、思わず言い返してしまった。無視して出られなくなってしまうかも。
光の粒子が浮遊して集合すると、人の形、正確には獣人の形になった。前世の和服を着た黒髪ロングの美人だが、耳と尻尾が狐だ。しかも尻尾が九本ある。そしてデカイ、2メートルくらいある。
「九尾の狐？」
「ほう、我を存じておるか。物知りな事じゃ、忘れられてもおかしくはないからの」
「妖怪じゃん、和服も珍しいな」
「左様、物の怪の長と言っても過言ではないがの。この服も知っておるのか？其方ほんに博識じゃな」
「玉藻の前さんでしたっけ？」
「そんな偽名まで良く知っておるの、感心じゃのう」
「さっきから旦那がなんか言ってるけど、全然わかんねぇ」
「ネロ、その女大丈夫ニャ？普通の登場じゃないニャ」
「ハッ！其方、よくもゴーレムとダンジョンを傷つけてくれたの！それとさっきから魔力を吸い続けておるのに、其方何故倒れんのじゃ？」
「んーと、魔力がいっぱいあるから？」
九尾の狐が手を伸ばして来て、魔力を吸い続けてる。どうしよう、抵抗した方がいいのかな？ミスリルも拾ったし、用事済んだから帰りたいんだけど。
「お腹空いたんで、帰っても良いですか？」
「なっ？其方まだ魔力が切れぬのか？」
「旦那、その女に魔力あげない方がいいんじゃないか？」
「碌でもない事になりそうニャ」
それもそうかも。魔力の流れを完全に止めると九尾は魔力を吸えなくなった。
「なっ！吸えなくなった。其方はどうなっておるのじゃ？」
「魔力の流れを止めた。まずは理由を聞かせろ、何の為に俺の魔力を吸う？」
「魔力を貯める必要があるからじゃ、お主が来てからの短時間で尻尾一本分の魔力が溜まった。残りは七本じゃ」
「魔力を貯めてどうするんだ？」
「この世を支配し、我が物とする。魔力の提供者じゃ、其方は可愛がってやるぞえ」
「なるほど、わかった、帰るわ、じゃあな」
誤字脱字ありましたら報告お願いします。
