死に戻って
どうやら俺は、″死に戻り″とやらに出くわしてしまったようだ
幼馴染の渋谷は嫌なくらいに眩しく笑っている
そんな渋谷が誘ってきている海
俺が現状確認できている死に戻りの現象が起こった唯一の場所にして第一の死に場所
しかし、死に戻りが何かしらの条件下でのみ発動するのであればその条件を調べなければいけない
死に戻りは本来の生命のサイクルではありえない異常なのだとすると、それが周囲にどんな影響を及ぼしているか想像もできない
それにもし、死に戻りの発動条件が俺の死の場合、俺は死ぬことが出来ない事になる
それに気掛かりなことはまだある
前世で俺を殺してきたあの手
あの手がまた俺を狙って来るかもしれない
あの黒い手が一体どういう目的で動いてるのか、死に戻りに関係があるのかそれらも調べなければならない
やるべきことは山積みだが
まずはあの手の正体を掴み対処する事にしよう
黒い手が幽霊やそれに準ずる存在なのだとすれば、神社に行けば何かわかるかもしれない
行く価値はある
「おーい、おーい梶谷?聞いてるか?」
「?あ、あぁごめん、ちょっと用事を思い出したんだ、海はまた今度な」
「そうか、絶対次は行こうなー」
「わかった、ごめんな!」
そう謝りながら俺は長い上り坂を走り始めた
この村に唯一の神社、始司神社は笑海山を登ったところにあり非常に古くから存在する歴史ある神社だ
そこの神主は時たま村の住人の悩みを聞いていたり除霊をしたりと、信頼できる
あの黒い手も除霊できれば良いのだが
そう神社までの長い道のりを歩く
瞬間ー
自分の見ている世界が逆さまに感じると俺は胸にかすかな痛みを抱えていた
薄れゆく意識の中、最後に見たのは自分の胸から腹を貫く無数のあの黒い手だった