24日、始まり
不定期更新ですがよろしくお願いします
死に戻り、アニメや書籍なんかではよくあるジャンルだ
自分が死んだ瞬間ある一定の時間に戻る
記憶を保持したまま
想像したくも無い、痛みや苦しみを覚えたまま
また戻ってくるなんて
しかも戻るにしても死ななければ戻れないなんて地獄以外の何者でも無い
「おはよ!梶谷、調子どうだ?」
「渋谷、お前朝からうるさいなぁ」
「アハハ、ごめんごめん、にしてもお前元気ないけどどした?女にでもフラれたか?ま、元気出せよ、いざとなったら私がお前の彼女にでもなってやるぜ?金はきっちり頂くけどね」
こいつは一応の幼馴染、渋谷春音
今日はこいつに誘われてわざわざ朝から出てきたんだが
「誰がお前なんかと付き合わなくちゃならないんだ、金払われても嫌だね」
「なんだかんだ言っちゃって、本当は好きなんだろ?私の事」
「んなわけないだろ、大体朝に元気が無いのはいつもの事だろ、で今日は何すんだ?」
「あ、そうそう今日はね、海に行こうと思うんだ、ほら夏休みといったら海だろ?」
「海か、俺海嫌いなんだよな、なんか底から何か引きづり込まれそうでさ。」
「なんだよそれ、昨日そんな映画やってたか?映画でも無いんだからそんな事起きやしないって」
まあそうだ、海に引きづり込まれるなんてのはテレビ番組の心霊コーナーでも最早やってない、ありきたりなネタだが、何故か俺はそんな幼稚な事を考えてしまっている
なんというか本能で海を避けているようなそんな感じだ
だが、流石にそんな事で遊びを断るなんて馬鹿らしい
「あぁ、そうだな、こんな海沿いの街に住んでるんだ、泳がなきゃ損だな」
「だろ?じゃ行こうぜ」
「おい、ちょっと待てよ、海に行くなんて聞いてないから水着持ってないけど」
「あ、そっか、じゃあ今すぐ取ってきて」
「今から?」
「うん、今から」
こいつ、自己中心的というかなんというか
結局水着は海沿いの店で買い、海へと向かった
今考えればこの時既に僕は手遅れだったのだろう
「あっつー、日差し強いねぇ
ま、こんくらいが海水浴にはちょうど良いってもんよ!」
渋谷はそう言い終えると海へとまっしぐらに向かって行った
強い日差しに喧しい幼馴染
夏って感じだ
「おーい、梶谷!早くお前も来いよ!」
「あぁ!今行く」
そう言い海へ入る
ここら辺の海は透き通った綺麗な海で
比較的浅いので泳ぎが苦手な俺でも安心して泳げる
バシャーン
勢いよく海へ入り泳ぎを楽しんでいると
いきなり
ガシッ
と何かに足を掴まれた
「な、何が」
助けてと叫ぶための口は既に不自然に暗い水中へと引き込まれていた
下を見ると明らかに何かの手が足を掴んでいる
それも一つ二つではない、数多の手が足を掴んで離そうとしない
ここで異変に気づいた渋谷が俺を助けようとするが渋谷が俺の手を掴む前に下の影のような手がさらに深くへ引き摺り込んでくる
ここで俺の人生は終わりか
薄れて行く意識の中で俺は息苦しい死を感じていた
「おはよ!梶谷、調子どうだ?」
は?
「おいおい無視すんなよ、元気ないじゃん?
…どしたお前」
「あれ、俺、海で、え?」
「お前ほんとにどした?大丈夫か?」
俺はたしかに海で溺死した筈だ
一体何が、夢?
にしてはリアルすぎる、それに渋谷の第一声が夢らしき中で聴いたのと同じだ
「お前もしや熱中症にでもなったか?」
「いや、大丈夫だ」
大丈夫ではないが、ひとまず落ち着くためにそう答えた
「そうか、体調悪くなったら言えよ?」
「あ、あぁ」
夢ならこの後に渋谷が海へ誘ってくるが
「で、今日は何をするんだ?」
「あ、そうそう今日はね、海に行こうと思うんだ、ほら夏休みといったら海だろ?」
夢と同じ、という事はあれは予知夢というものか?いや、あれは夢というよりも
俺が既に体験したこと…?
死に戻り、アニメや書籍なんかではよくあるジャンルだ
自分が死んだ瞬間ある一定時間に戻る
記憶を保持したまま
想像したくも無い、痛みや苦しみを覚えたまままた戻ってくるなんて
しかも戻るにしても死ななければ戻れないなんて地獄以外の何者でも無い