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大ピンチと仲間の大切さ

 レイクアリゲーターを相手に有利に戦いを進めていくが、ここで湖の方からドバッとした音がした。


「な、なんだ!?」


 俺が湖の方を見ると今戦っているレイクアリゲーターとは別の個体が3匹も出て来た。


「おいおい、まさかの向こうの増援かよ……」


 増援が欲しいと言ったが、魔物の方に増援をおかわりしろとは言ってないぞ。と心の中で突っ込む。

 

「この状況はかなりキツイな」


 撤退しようにもレイクアリゲーター達が連携して来るのでなかなか逃げられない。

 

「ハァ、ここが俺の墓場になりそうだな」


 俺は自分の計算違いを恥じながら時間稼ぎの為に長剣を握りしめる。


「アイツらに合わせる顔がない」


 俺の目の前には大口を開いたレイクアリゲーターがいた。


 ーー


 手負だったレイクアリゲーターはなんとか倒したが、残った3匹相手に大苦戦していた。


「チイィ!」


 思わず舌打ちしたが、状況はドンドン悪化するので体力が奪われ地面は畑で足場も悪いので転びそうになる。 

 それでも戦い続ける事、体感時間で一時間後。村の方から岩の槍が飛んで来てレイクアリゲーターの目に刺さり絶命させた。


「この岩の槍は」


 俺はレイクアリゲーターの攻撃を躱して飛んで来た方向を見ると予想通りの人物達が立っていた。


「ユート、村の人達に伝えて避難してもらったよ!」


「オレ達がいる事を忘れないでくれ」


「なる程、貴方は1人で抱え込む癖があるのね。それならアタシ達が支えないとね」


 コイツらはバカでは有るが俺の仲間だとこの時に認識が出来た。


「お前らは本当にバカだな」


「その言葉はユートにも返すよ」


 シャルが生きているレイクアリゲーターに素早く攻撃を仕掛けるが鱗に阻まれる。

 

「ヤッパリ硬いね。でも、対策は考えているよ!」


 シャルは身を翻して相手の攻撃を回避して首下に潜り短剣で斬りつけ、暴れたところでグランのロックスピアが首元に深く刺さり絶命させる。


「貴方達にいいところはやらないわよ」


 残った1匹は剣と盾を使って堅実に戦っていたシンクの横から俺が斬撃系武術のアッパーカットで顎を斬りつける。

 斬りつけられたレイクアリゲーターは反撃と尻尾で叩きつけて来たが、俺とシンクは左右に回避してグランのロックスピアで体勢を崩した後に俺達3人で集中攻撃して倒す。


「ふう、なんとか倒せたか」


 俺はボロボロになった体の痛みを感じながらへたり込んでいるとシャルに胸ぐらを掴まれる。


「ユート! 君はボク達を残して死ぬつもりだったのかい!?」


「待て待て、流石にこの状況は予想出来ないだろ!」


 シャルに前後にガクンガクンと揺らされるが、何とか言い分を伝える。


「俺だってレイクアリゲーターがここまで現れるとは思ってなかったんだよ。それにお前らを残して死ねると思うか?」


「……本当に? ユートは自分の保身に走っていると思いきや危険な場所に突っ込んでいるから信用出来ないね」


「それはお前もだろ」


 俺は何とか胸ぐらから手を離して貰い、状況の説明をしたら3人はキレた。(相手は村長)


「そもそもあのハゲ村長が悪いと思うけどみんなはどう思う?」


「オレもそう思った。正直、低級傭兵にやらせる内容ではないだろ!」


「アタシもあのハゲ村長を殴りたくなったわ」


 よし、コレで矛先はハゲ村長に行ったので安心しているとシャルが俺を見ながらある物を渡して来る。


「ユートは回復ポーションを飲んで宿で安静にしていてね」


「あ、あぁ」


 シャルの威圧感に負けた俺は回復ポーションを受け取り宿屋に向かう。

 そして、村長宅に向かった3人は責任追求(内容は伏せる)をして適性(多額)の報酬がもらえる事になった。


 レイクアリゲーターは村に運び込まれて、肉は食べられるらしいので村人達に振舞われた。(お金は村長が負担して宴会が開かれた)

 俺は鱗や牙といった素材を回収しつつ、ワニ肉を切って調理している人達の元に届ける。


「傭兵さん達はゆっくりしていてもいいのに」


「いや、ここにいないとあのバカの酒比べに巻き込まれそうなので……」


 ちなみにあのバカというのはシンクの事で、この国では16歳からお酒が飲める為、周りの人を誘いまくったアイツが村にある酒をがぶ飲みしては村人を負けさせるゲームをやっていた。


「別に巻き込まれてもいいんじゃないの?」


 ワニ肉を渡した主婦のおば……お姉さんにそう言われたが、それ以外にもいけない理由がある。


「いやいや、調理する人が少なくて手が回ってないのにここを離れる訳にはいかないでしょ」


 今日倒したレイクアリゲーター4匹の大きな肉が、全部無くなるレベルで食い尽くされているのにここを離れたら手が回らなくなると思い手伝っている。


「さてと、俺は戻りますね」


 このまま長く離していると間に合わなくなりそうなので俺はレイクアリゲーターの解体に戻る。


 そして宴会は朝まで続き、酔い倒れている人達に毛布をかけながら俺も寝ようと思った時に誰かに抱きつかれる。


「ユート、ムニャムニャ」


 その相手はシャルで俺の隣で寝ていたが、コッチが寝っ転がると腕に抱きついて来た。


「コイツな」


 俺は抱きつかれてない方の手で頭を撫でながら睡魔に負けて瞳を閉じていく。

 そして、ファングボアの依頼……では無くてレイクアリゲーター討伐を終わらせる。


〈補足〉カメールの村

 人口は約2500人の中規模の村。特産品はジャガイモやサツマイモなどのイモ類。それと近くに大きな湖があり、その水もおいしいと評判。

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