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レイクアリゲーター

 次の日の朝。カーメルの村の天気は晴れてたので俺達は身支度を整えた後、依頼主の村長の元に向かい細かい内容を聞き始める。


「お前さんらが依頼を受けてくれた傭兵達か。いかんせん若いのう」


「えぇ、俺達が受けられる依頼だったのでここに来ました」


 ここで舌戦が始まると長くなりそうだったので、早めに打ち切って改めて依頼内容を喋ってもらう。


「最近この村周辺でファングボアが畑を荒らしているのじゃ」


「荒らされているのは爺さ、痛い! シャル、アタシのお尻を引っ叩かないで!」


 パチーンと大きな音がシンクのお尻から鳴って本人は涙目になっていたが自業自得なので無視して話を続けて貰う。


「すみません、このバカには後でお仕置きをしておきます。それよりもファングボアは何匹くらいいるのですか?」


「村人達からの情報では最低でも3匹はいるそうじゃ」


 ふむふむ、そうなると子持ちの可能性もあるのか。俺達は村長からの情報を聞き、家から出て一度宿屋に戻って話し合いを始める。(話し合いが終わった後、シンクはシャルに耳を引っ張れて別部屋に連れて行かれてお仕置きされていた)


 少しして2人が部屋に入って来たがシンクがお尻を押さえていたので、何をされたかは検討が付くけどあえてここは無視して本題に入る。


「さて、ファングボアの事の話し合いを進めたいが大丈夫か?」


「大丈夫だよ」「大丈夫だ」「……うん」


 シンクが半泣きになりながら喋るので内心では笑っていたが、なんとか顔に出さないようにして続きを話す。


「現場を見に行かないと分からないが、少数の魔物が村を襲いに来たなら自警団で済みそうなのに()()()()()()()()()()()()()()()()がどうも引っかかる」


「だよね。でも、ボク達みたいな低級傭兵を釣っても意味があるのかな?」


 意味か……。傭兵達が低級だと都合がいい事か。俺達はその事で悩んでいるとグランの表情が変わり口を開いた。


「例えばだが、オレ達を囮にして魔物を釣り出すとかか?」


「うーん。その線もありそうだけど釣り出してどうするのさ」


「それは……」


 このままだと話がズレそうなので戻そうとした時、シンクが何かを思い付いたようで目が見開いた。


「アタシも何個か思い当たる節があるけど、実際に現場を見てみないと分からないわね」


「それはそうだろうな」


 俺達は現場を見てから考えるで満場一致したので、宿屋の部屋から出て目的地に向かう。


 現場である畑の周辺を回ると荒らされた畑に壊された木の柵、大きな足跡が目に入った。


「ねぇ、この足跡の大きさは依頼であったファングボアよりも明らかに大きいよね」


「だな……」


 ガドレスの街の受付の人に聞いたファングボアの大きさは約2メートル前後で足跡の大きさもそこまで大きくは無かった筈だが、実際に足跡を見ると60〜70センチは軽くありそうだった。


「アタシもファングボアなら討伐した事があるけど、ここまで大物は見た事が無いわよ」


「オレもだ」


「……そうなると、ファングボアでは無い大型の魔物になるのか」


 大型の魔物で思い出すのは前に戦ったデカアリだが、サイズ的に同じかそれ以上の可能性も普通にある。

 俺はこの辺にいないかをシャルに周りの安全確認をさせる。


「うん、この辺にはいないよ」


「了解、それならよかった」


 俺は心の中でホッとしているとグランが不思議そうに質問して来た。


「ユートさん。魔物の正体が分からないのは怖いけど、そこまで気にする事?」


「悪いが俺は気にする。その理由はコレだ」


 俺は土に隠れて見づらかった()()()を近くの畑から掘り出す。


「ファングボアは毛皮が生えていると思うが()は流石に生えてないだろ」


「「「…………」」」


 俺が拾った鱗は濃い緑だったので土に隠れて他の人達は見づらかったみたいだ。(ちなみに俺が気づいたのはたまたま足で蹴ったから)

 

「この鱗を持つ魔物で1番高い確率で出て来そうなのは……」


「あの、オレも危険なのはわかった」


「ならやる事は『グオォ!!』……」


 この村の人達を非難させるか街から増援を呼ぼうと思ったがタイマン的に遅かったみたいだ。


「え、何か大きな叫び声が聞こえたわよ!?」


「……悪いな俺も普通に聞いたぞ」

 

 俺達が村と反対の方を見ると近くの湖の中から鱗がびっしり生えている魔物が現れた。

 大きさは5メートル程で見た目はワニそのものだった。


「アイツはレイクアリゲーター。ランク的に言うと中の上くらいよ!」


「え、という事は逃げた方がいいのか!?」


 パニックになる俺達をよそにレイクアリゲーターはダッシュでコチラに近づいて来る。


「いやいや、何処がファングボア!? というか、こんな話は聞いてないぞ!」


 ここまで接近されたら逃げれないので、俺は腰から長剣を引き抜き迎撃をする。


「チイィ! コイツも硬い」


 硬さ的にはハードアントに近いと思いながら回避優先で戦う。


「ユート、ボク達も援護に入るよ!」


「いや待て、シャル達はこの事を村の人達に伝えてくれ」


 レイクアリゲーターが村に侵入して荒らしまくったら被害がかなり大きくなる事は明白なので、俺が時間を稼ぐから非難してくれと伝える。


「でもユー「俺の職業を忘れた訳では無いよな!」……了解」


 俺はシャルを睨みつけて意見を無理矢理ゴリ押して村の方に行かせる。


「さてと、濃い緑色のワニ。俺と楽しもうぜ」


 俺は噛みつき攻撃をして来たレイクアリゲーターに落ちていた木の柵の破片を口の中に放り込み悶絶させる。

 そして、油断したところに俺は長剣を使い右目を潰す。


「柔らかいところは柔らかいよな」


 正直、デカアリを倒した時みたいに斬撃系スキルのランペイジ・ストライクを使えれば早く倒せそうだが何故か使えないので回避メインで戦う。


「確か、ワニは首の下の皮膚が柔らかいんだったか?」


 前のデカアリの方が攻撃パターンとしては厄介だったので、この程度の攻撃は十分回避出来る。

 俺は相手の隙を伺って斬撃系武術・ソニックスライドを使ってレイクアリゲーターの右足を切り裂く。


「コレで倒し切れるな」


 俺はこの時レイクアリゲーターは1()()だと思って油断していた。

 そして、その油断はこの先の戦況を悪くしていく。


〈補足〉シンク 職業は騎士見習い 年齢は19歳 (女)

 見た目はクリムゾンレットの髪色に赤目。

 身長は178センチ、体重は?




 

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