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領主の決定

 俺達がランク上げの依頼を成功させて第五級傭兵にランクアップした数日後。

 街に戻った次の日にメンテナンスに出していた長剣を受け取り、シャルと一緒に広場のベンチに座ってゆっくりしていた。


「なんか、やっとのんびり出来るね」

 

「それはな」


 この世界に転移して面倒事やグレイスの街の崩壊で精神的に余裕がなかった。

 なので俺達は宿屋に籠る以外でのんびりしていると通りかかる人達の会話の中で有力情報を聞く。


「おい、聞いたか? この街の領主様がグレイスの街に現れた魔物討伐を決めたらしいぞ」


「その話は聞いたわよ。なんでも、スタンビートを抑えたら国から多額のお金が出るみたいね」


 ……ふむふむ、興味深い内容だな。俺はシャルに視線を送り向こうも頷いたので立ち上がる。


「依頼とか出されてそうだし、総合組合に行ってみるか」


「うん」


 俺達はガードアントと上位種へのヘイトを溜めながら総合組合に向かって歩く。

 

 総合組合に到着して傭兵部門の依頼票を確認すると、予想通りグレイスの街解放戦の依頼があった。


「参加条件は無いし報酬は1人銀貨10枚。これだけ見ると()()()()依頼に見えるね」


「そうしないと人が集まらないからだろ。それにガードアントは対策を知っていれば倒す事は難しくはないからな」


 それにガードアントと上位種への対策は考えていたので俺達は解放戦の依頼を受付に持って行く。

 

「はい、これで受付が終わりました。出発は5日後になります」


 今回の作戦はかなりの戦力が集まるみたいで達成余裕と思っている人も多いが、俺達は出来る限りの準備を進める。

 そして、準備が終わり出発する時を待つ。


 5日後、俺達が集合場所に到着すると既に大勢の人達が集まっていた。


「これならガードアントの大群にも勝てそうだね」

 

「だな。今でも数千人いるんじゃないのか?」


 やる気がある人、無い人関わらずこれだけの人が集まったので内心では助かったと思い、シャルと雑談していると少し遠くで置かれている台に金ピカの鎧を着たオッサンが登り口を開いた。


「わたしはガトレスの街の領主であるガートン・クペイスだ。さて、諸君達は何故ここに集められたかもう理解しているはずだ! そう、グレイスの街を壊滅させた魔物の大群を殲滅する為だ!」


 なんか暑く語っているが、内心では国から貰えるお金の事を考えてそうだと思いながら演説を聞く。


「グレイスの街が壊滅した事でガトレスの街の重要性は増した。ここで殲滅出来たらこの街は更に発展するだろう。諸君達にはその手助けやして欲しい。では、わたしからは以上だ」


 領主の演説が終わり、俺達は用意された場所に乗ってグレイスの街に向かう。


 馬車に乗って休憩を挟みつつ、グレイスの街が見えた時には日が暮れかけていたので殲滅戦は明日になった。


「さてと俺達もテントを建てますか」


「うん。それに周りの人達も建て始めたね」


 早く建てないと場所が無くなりそうだったので手頃な場所でテントを建て始める。


「飯の方は支援してくれる人達が準備してくれるみたいだから俺達はテントを建てたらのんびりしようか」


「そうだね」


 テントを建てる作業に少しずつ手間取ったが、完璧に日が沈むまでには建てられたので夜ご飯を食べた後に中に入る。


「ふう、明日には殲滅戦が始まるのか」

 

 ここで余計な事はあまり思いたく無いが、何かが()()()()()

 ただ、その引っ掛かりが分からないので悩んでいるとシャルに声をかけられる。


「ユート、何か気になる事があるの?」


「まあな。でも、その引っ掛かりが上手く言えない」


「うーん。上手く言えるようになったら話せばいいと思うよ」


 シャルは毛布にくるまって横になったので俺も同じく毛布にくるまり寝っ転がる。

 そして、次の日の朝。俺達の勝負の日が始まった!


 朝起きて準備を整えて戦闘職が集まっている場所に集合して、領主の号令と共にグレイスの街の中に入る。


「情報通り、ガードアントと上位種だ。さっさと殲滅するぞ!」


「「「おぉ!!」」」


 傭兵達を率いているリーダーの掛け声で俺達は街に潜伏している魔物を倒して行く。


「これならいけるか」


 傭兵の1人が油断したその時!民間からガードアントが飛び出し叫んだ傭兵を噛み殺した。

 その光景を見た他の戦闘職は一瞬固まった。


「……こ、コイツら!!」


 傭兵を殺したガードアントは近くにいた戦闘職に討伐されたが、まるで()()()()()()()()()を魔物がしたので驚く。


「ただのガードアントにしては知恵があるな」


 恐らくデカアリの影響でコイツらも賢くなったのかもと思いながらガードアントの殲滅を続ける。

 そして、俺達が術中にハマっているとは思ってもいなかった。


 ガードアントや上位種の討伐が上手く行きかなり数を減らした筈、そう思い込んでいた。


「リーダー! あちこちからガードアントが地面から出てきました」


「……なんだと!?」


 なる程、相手の巣穴に引き込まれた感じか!と感心しているいる場合ではない!と思い、俺は襲って来たガードアントを斬り伏せ周りを見る。


「この数、さっきいたガードアント達は囮だったのか!」


 俺達が討伐したガードアント達の倍以上の数で攻撃されたので、戦闘職の人達がドンドン死にコッチは劣勢に立たされる。


「最初は少数で油断させておいて、時が来たら大群で落とす。この事を魔物にやられるとは」


 リーダーが大剣でハードアントを叩き切っているが、相手の数が多すぎるので手が回ってない状況。


「お前ら! ここを乗り切って上手い酒を飲むぞ!」


「「「はい!!!」


 まさかの酒でやる気を出す人達にガードアント達も心なしか驚いている感があるが、俺達には余裕が無いのでひたすら倒す。


「ユート、他の人達も何とか立て直して来たね」


「ああ、シャルもガードアントを倒せているな」


 俺はハードアント攻撃を躱し、ガードアントにぶつかって固まっているところを横から長剣で切り裂く。

 

「このまま殲滅出来たらいいが……」


 俺は倒したガードアント達を見て不安を覚えながら戦いを続ける。


〈補足〉ハードアント

 ガードアントの倍の大きさで甲殻の強度も上がっている上位種。強さ的には第四級傭兵が連携しないと倒すのが難しい程度。

 

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