料理革命
本日短めでっす
「本当に申し訳ありません!!」
一夜明けた翌朝、魔人種の彼らは、飯が食えない僕の状況を聞くなり顔を真っ青にし、一同一糸乱れぬ見事な土下座をしていた。
「ダンジョンコア殿が飲食出来ない身とはつゆ知らず、暴飲暴食の挙句、感謝の言葉もなく寝入ってしまったこのご無礼、面目次第もありません!
本当に…本当に申し訳ありませんでした!」
-- いやいや、百年以上ぶりの故郷のご飯だったんだろ?それなら我を忘れてしまっても仕方がないよ。
-- 食事不要なのも僕の問題なんだから気にしないで。
「そーそー。マスターさんが飯食えねぇのはしょーがない事なんだから。
まぁこんなうまいもん食えないなんて気の毒ではあるけどねー。あんぐっ。
くぅ~!この肉の旨味が溢れる感じ…。
堪らないね!うまい!」
くっ…すごいうまそうで滅茶苦茶ムカつく。
いい加減その耳障りな食レポやめないと、お前をひき肉にするぞダイダロス。
依然ハンバーグをパクパクと食べ続けてる部隊長殿をメイドに持っていかせ、場が静かになったところで改めてスミス達に向き直る。
-- さて、じゃあ君達の今後についてだけど、前に話した通り領民としての開放を念頭に、僕の保護で下に入ってもらうって事で大丈夫かい?
「はい!願ってもないことです!よろしくお願いします!」
「「「「「よろしくお願いします!」」」」」
今度は土下座ではなく感謝のお辞儀をする魔人種一同。
よし、これで公国の進んだ文化を領内へ自然に取り込める。
昨日聞いた感じでは公国の食文化は僕の知識にあるそれと比較的近い。
今までは味見も碌に出来ないから言い出せなかったけど、彼らがいてくれれば僕の知識を食文化の発展に利用できる。
彼らも奴隷から解放されてWin-Winというやつだな。
-- じゃあ早速だけど王国語の勉強から入ろうか。
-- レナ、手配をお願いできる?
「任せて頂戴。
勉強の方針としては他の元奴隷と同じにするの?
流石に教室は分けようと思うけど」
-- いや、聞いた感じ彼らの知識水準は奴隷どころか下手な領民より高いだろう。
-- 変にこっちの教育を埋め込んでも悪影響を及ぼす可能性が高い。
-- 国語の授業が完了したら、彼らの要望を聞き仕事を割り当てようと思う。
-- もちろん教室は分けてくれ。
「なるほどね。わかったわ。」
彼らは後に王国史上最大の食文化革命を起こし、近代食の創始集団として王国中に名を轟かす。
もちろん僕も異世界の知識でそれを全力でバックアップしたのだけれどそれはまた別のお話。
…僕は飯食えないし。




