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誠意の形

本日二話投稿です

-- 多分に予想を孕むけど今回の私兵団の件って実はシルル家が真の黒幕だったんじゃないか?

-- んで、本来生き残れるはずのないレナ嬢の生存からここの異常性に感づいて、王国軍あたりからの聞き込みで確信したと。

-- で、レナ嬢はこのダンジョンに爵位持ちとして滞在する事で、ここを名目上王都管理下に置き、王国軍から守ってくれようとしてるってところかな。

-- どこまでこれが持つかはわからないが、シルル家とやらがなんかしらの大義名分を得るまでは耐えられる。

-- そういう意図であってるかな、お嬢様?


「ご名答。流石の慧眼ね。目、無いけど。」


ほっとけ。



-- そうなると君の居住はとてもじゃないけど断れないな…。

-- 君がいなくなるとそれだけで僕のリスクが跳ね上がる。


「あら、それは私も同じよ。

シルル家との縁談を蹴った以上、意地でもここに置いて頂かないと宿なしになってしまいますから。


あなたに命を救って頂いた恩を私は忘れていません。

これでも可能な限り、私とあなたの立場はフェアになるようにしましたのよ。」


…確かに。

彼女が僕を貶めようとするなら、あるいは自分に利がある様に仕向けるなら、他に取りうる方法はいくつもあっただろう。

例えば王国軍にダンジョン内部の構成を暴露し、王国軍をけしかけて制圧する事もできた。

(まぁそうされた場合に備えてダンジョンの構成を根本的に変える準備もしてはいたが)


そうせずとも、シルル家の縁談を保留にし、先に僕にこの相談を持ち掛け、その結果次第で行動してもよかっただろう。


しかしそうはせず、自分の不利を承知でシルル家との縁談を潰し、それどころかダンジョンに権力での盾を用意してくれた。

その上で彼女は何の武装もせず、護衛すらダンジョン外に置き、身一つで僕に向き合っている。


ここまでされたなら…。

僕は、彼女を信用したいと思う。



-- わかった、僕はあなた方を歓迎しよう。

-- 敬称は何といえばいいかな?爵位をもらったんだろ?


「わたくしたちを受け入れていただき感謝いたしますわ、ダンジョンマスター殿。


一応爵位は迷宮伯という例外爵位を賜ったわ。

一代限りの臨時爵位で、私の代で正統な爵位を賜れなかったら返上しなければならないけどね。

でも敬称はいらないわ。こうなった以上、私とあなたは一蓮托生。

互いに互いが必要であり、立場は対等のはずよ。」


-- まぁ確かに…正論だな。


「ご理解いただけたようで何よりで。

じゃあ早速だけど、あなたの名前。教えてもらえるかしら?」


-- 僕の名前?


「そ。【ダンジョンマスター】ってのはあなたの役割の名前であって、あなたの名前じゃないでしょ?

あなたは私のマスターではないから、私がマスターって呼ぶのもおかしいし。

だからあなたの名前、教えて頂戴?」


僕の名前…。

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