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良くあるフラグ

「その侵入者の容貌を教えてください、マスター。即刻八つ裂きにしてまいります。」


こっちの現状を伝えた瞬間、スグハから剣呑極まりない声色で、物騒にも程がある返答が返ってきた。


-- 待て待て、なんでいきなりそうなるんだ。


「当然でありましょう。我らがマスターに刃を振り下ろし、私たちの寄る辺を台無しにした罪、今すぐにでもその血肉で贖ってもらわなければなりません。

マスター、命令を。次に月が昇るまでには、賊のそっ首を叩き落とし、御前に並べて御覧に入れます。」


「スグハ一人でなんてずるいわ!

マスター私にもお命じくださいませ。今生全ての苦痛を足し合わせて尚余りある地獄を賊に味わわせて見せます。」


…まずい。二人から伝わってくる雰囲気がガチだ。


-- 僕は報復をするつもりはないよ。

-- 仮にするとしても二人の手を借りては、虎の威を借る狐の様であまりにみっともないだろう?


正直今回の敗北はこっちの準備不足によるところが大きい。

襲撃に伴う損害より学ぶ事の方が多かったし、報復なんて負の感情を抱くほどじゃないんだよな。


「しかしそれでは侵入を抑止できないじゃありませんか!

やはりここは侵入者にガツンと鉄槌を叩きつけなければ!」


-- 抑止しすぎてしまってもまずいんだ。僕がダンジョンコアとして経験出来ないと今後の有事に対応できない。

-- それにあまりに過大な戦力で応戦してしまうと、人間社会から本気で討伐されちゃうだろう?

-- 二人は常人よりはるかに強いんだから、それはまずいよ。


「それは…そうかもしれませんが…」


-- それよりも、今回の件で僕に欠けている事が色々見えてきた、まず戦力の多様性を高める為に、取得したモンスターの情報があれば送ってほしいんだ。


「…わかりました、賊の件は一旦保留いたします。

ただ身元だけは調べさせてください、誓って許可のない襲撃は致しません。


モンスターの情報に関しては先日討伐依頼がありまして、その依頼でスケルトンとスピリットの情報を、討伐過程の副産物としてラッシュボアの情報を入手しています。」


スケルトンは自身の骨から武器を作り出し、それを使用する骸骨のモンスター、スピリットは物理攻撃無効の幽霊のモンスター、ラッシュボアは突進を得意とする猪のモンスターだ。


-- わかったよ。じゃあその方向で。

-- モンスターの情報については今持っている分でいいから送っておいてくれ。

-- ラッシュボアについてはコアを作らないかもしれないけどね。


当然の話だがダンジョンは屋内だ。

屋内の限られたスペースでは、ラッシュボアの能力を発揮するのは難しいだろう。


-- 現状のモンスター情報はそれで全部?


「いえ、もう一つあるのですが…。

他と比べてあまりに強いモンスターでしたので、我々もあまり余裕が取れず諸元取得を行ったのが討伐後でして…

死体から取得したためか情報が一部破損しているのです。


モンスター名はわかっているのですが、破損による影響がどのようなものかがわかっておりません…。

どうされますか?」


-- うーん…。それも一応もらおうかな。コアが作れるかどうかだけでも試してみるよ。

-- …というかそもそも君たちから見て強いモンスターなんていたの?なんてやつ?


「はい、地竜(アースドラゴン)です」


-- ………地竜って相当やばい奴なのでは…?

-- 竜でしょ?


「まぁ確かにそれまで出会ったモンスターとは比べ物にならない強さでしたが、討伐が不可能という程ではありませんでした。

タオヤメと二人がかりでしたし。」


「ええ、そうね。

とはいえ多分普通の人間であればそれなりに手こずると思いますわ、マスター。

1体あたりに5000人で何とかというところでしょうか?」


災害クラスじゃねーか。


-- …それを二人で討伐したの?周りの反応とか大丈夫?


「街も対処に苦慮していたようで、大変喜ばれました。

何やら近く討伐を祝って街を挙げての祝祭を行うそうで、その際にここら近辺の領主や貴族も来るようです。

報酬も過分なほど頂けたので、当面衣食住には困らないかと。」



…うーん。

なぜかはわからないけど僕の直感が警鐘を鳴らしている。

『テンプレ乙』と

端的に言って超不安。なのだが。


-- とりあえず状況はわかった。

-- 一応頭の片隅に置いておいてほしいのだけど、もし二人の理解の外で色々面倒くさくなって投げ出したくなったら、行動に走る前に教えてちょうだい。

-- そうならないことを祈ってはいるけど、念のために。


「…?

仰っている意味が解らないのですが…。」


-- ごめん、例の異世界の記憶からの直感的なものみたいで、正確に説明できない…。

-- 嫌な予感がする。程度に思っておいてほしい。


「はぁ…。わかりました。何かあったら報告いたします。」


-- うん。おねがい。


まぁ今僕に出来る事と言ったら、ダンジョンの補強と改善を急ピッチで進める他ないか…。


僕に対する心配りが時々色々諸々度々ずれてるこの世界の神様…。

どうか二人が面倒事を引き起こさないよう見守っておいてください!



ちなみに二人から貰った地竜の情報だが、モンスターコアに刻印しても何も変わらなかった。

神様曰く、強いモンスターであればあるほどコアの起動には時間が掛かるらしいので、とりあえず放置して経過に任せることにした


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