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非日常に振り回される、在り来たりな日々の冒険譚  作者: SUNA
第一章 こんな日々の冒険譚
4/51

3 憲兵舎へのご案内 ~まだ終われない1日~

 2/26に大部分の修正をさせて頂きました。


内容は変わりませんが、一部文章や表現が変わっている個所は在ります。



 3 憲兵舎へのご案内 ~まだ終われない1日~


 ドワーフ族の憲兵のお兄さんに付いて案内された憲兵舎での一室、雰囲気は取り調べ室より応接室に近いか?


〈リア、悪いけど姿を隠して貰える?〉


〈了解ー〉


 リアに姿を見えなくして貰ってフードを外し、指定されたソファーに座った所でお茶が目の前に置かれた。


「良かったら飲んでくれ。自分は聴取担当のコルト、宜しくな。それで取りあえず、状況の確認をいいかな」


 向かいに座った憲兵のコルトさんに勧められそれを手に取り、一口。


「状況と言われましても……自分は冒険者をしている者でアカクラと言います」


 一応身分証を呈示してあったが改めて名乗る。


 疑わしい行動は避けないと、心証を悪くして拘束時間が伸びても面倒だからね。


「今日この街に着いて宿を探すのに街を歩いていました。その途中であの女性に声を掛けられて、撒こうと歩いているうちに無意識に人目を避けてしまったらしく、あの路地へ。その後もしつこかったので女性を伸してしまいました」


 嘘は言ってない、伸したのはリアだけど自分で伸したとは一言も言ってないし、その位は良いよな?


「ふむ、通報の目撃内容とは一致するか。女性も一撃で伸されていて、過剰な暴行も加えられた形跡もないし、女性の持ち物や装備にも手を付けた様子もないから物取りでもないな、君に悪意があってあの女性を誘った風でもないのは分かった」


 これで無罪放免なら助かるのだが、今はもう23時半を回るところか、思ったより時間を食った。


「君には災難だったな? 言い寄られて困るなんて、贅沢と言えばそうだが――っと、済まない」


「いえ、大丈夫です。お気遣い有り難うございます、それで自分はどうすれば?」


 どんな行為でも過ぎれば唯の迷惑ってね。


 まぁ一般的にいえば、あれだけのプロポーションの女性に迫られて断るなんて贅沢者め! といった所か。


 だが、自分なんかを相手に本当にそういう気分になれるものか? 揶揄う目的のが強そうだけどな。


「あー、大丈夫か? 目が大分虚ろだったが……」


 普通に心配されてしまったが、自分はそんなに遠い目をしていたのか?


「いえ、済みません。ちょこっとあの女性の強引さを思い出してしまいまして……」


「うん、本当に大変だったんだな。それで、君の処遇だったかな? 状況は確認も取れたし、どちらかと言えば被害者だからな、気を付けてくれで放免と行きたいのだが、こんな時間だし、今から宿を探すのは大変だろう? あの女性も同じ建物内にいる状況でもよければ、このまま泊ってくれても構わないが、どうする?」


 なんて嬉しい申し出、でもいいのだろうか。


「自分は助かりますが、本当にいいんですか?」


「構わんよ、今回の様なケースも含め直ぐに帰れないような場合に貸し出している部屋はあるからな。唯本当に部屋だけで、食事は済まないが自分で用意が必要だが」


 ならばここはお言葉に甘えてしまおう。


「そんな事でしたら構いません。ではお願いしもいいでしょうか?」


「ああ。ならこっちだ、部屋に案内しよう」


  ◇ ◇ ◇


 立ち上がったコルトさんに付いてそのまま憲兵舎の中を歩き、2階へ。そのまま暫く進んだところで1つの部屋の前で立ち止まった。


「ここだ。狭くて済まないが、ベッドのシーツもちゃんと変えてあるし掃除も毎日してるから安心してくれ」


 ドアの鍵を開け扉を開いて見せてくれた室内は、確かに広くはないが別段狭い訳でもなく、何より言葉の通り清潔そうな部屋だ。


「色々お気遣い有り難うございます。もし良かったらコレ、夜食にでも食べて下さい」


 部屋の鍵を受け取り、代わりに取り出したのはよく映画とかであるピクニックとかで見かけるようなバスケット、中には野菜とハムやチキンやツナを挟んだサンドイッチが入っている。


 たまに参加する野良PTで出すことが多い一品なので、量は10人前の普通の食事分と実際に何人居るかは知らないが軽食にはなるだろう。


「有り難いが、いいのか?」


 中を確認したコルトさんは、さっきの自分のと同じような言葉で聞いて来た。


「はい、構いません。ご迷惑をお掛けしたお詫びと、部屋のお礼には足りないかもしれませんが」


「いやいや、こっちは仕事だし。でも、有難う。遠慮なく頂くよ」


「では、自分はそろそろ」


「あぁ、ゆっくり休んでくれ」


 そう言って閉じられた扉に鍵をかけ、一気に疲れが込み上げる。


 人目もなくなったので、外套と装備を早々に解除しアイテムボックスに仕舞って、ラフな格好でベッドにダイブ。


「部屋は助かったけど……何でこうなったかな? あの一角ウサギへの対応か? それとその後の対応か?」


「主のは、もう体質?」


「そうですね。もう人が居る所はある程度絡まれる覚悟が必要か、出来れば極力近づかないに限ります」


 それは自分でも分かっているのだけど、街に近づかないって無理だしなぁ、なら絡まれる覚悟をしておけって事なんだけど、それもどうなんだろう。


「自分なんか放って置いてくれていいのに。逃亡生活みたいなのは嫌だから、出来れば普通の冒険者の様な冒険がしたい」


「主、疲れてる、もう休もう」


「そうですよ? そんな時に考え事してもいい事は浮かびません」


 二人の優しさは嬉しいけど、これも本来は普通じゃないんだよな。


 折角買った夜食ぐらいと思っていたが結局そんな気分にはなれず、空腹度はログアウトしている間は減らないので、次のログインでもいいか。


「ありがとう。なら、もう自分は休むよ。リア、これ良かったら食べてくれ」


「はーい」


 さっき買ったものはリアに渡して、自分はベッドにもぐりこむ。


「リア、ジルお休み」


「「お休みなさい」」


 そんな二人の声をバックに自分はログアウト。


 戻った現実は24時少し前と結構な時間だ、明日も仕事だからこっちでも寝てしまおう。


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