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山奥の洞窟


 山奥の洞窟の奥、蝙蝠のはためきと水滴の滴る音が響く鍾乳洞の一角でエインは、一人静かに座り込んでいた。


 ここで来るかどうか、それが何よりも重要だった。


 女神の信徒には、ある特徴がある。


 それはあの呪と悪意の果てにたどりつたエインの確信だった。


 王子としての生活、そのあとすぐに勇者としての生活が始まった。 そんな彼だからこそ、この異常事態に気が付かなかったのだった。


 しかしここで確信と共に一つの疑問が生じた。


 今までの冒険を思い返せば共通点は見えてくる、しかし明確な違いを確信できるほどの情報が今のエインには不足していたのだ。


 可能性は十分にある。


 思い当たる節もある。


 しかし、確信に至るほどの情報ではない。


 ゆえに、この確認が何よりも大切なのである。


 これがもし成功するのであれば… この戦いにおいて大きな希望が見えてくる。


 彼の思い描く絵図の成功率が格段に上昇する。


(だから来い)


 エインは洞窟の岩に腰掛け、ただひたすら待つ。


 そして――


 足音、すたすたと、一定のリズムで、その者は来た。


「…うー」


 ランは、意思のない瞳を彷徨わせながら、エインの前で足を止めた。


「……」


 ここは王国から400キロメートル離れた標高1200メートルを誇る山岳地帯の一角である。


 心の壊れた僧侶が、この場所に現れた。


 それにはどれほどの苦労があっただろう。


 それは想像に難くない。


 しかしランは来た。


 エインは、込み上がってくる感情を御しきれず天を仰ぎ拳を強く握りしめる。


 エインがこの洞窟にこもって5日後のことであった。


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