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最適化さレタ戦略

「あー」


 ばちゃりと不器用に突っ込んだスプーンが、スープの入った皿をひっくり返した。


「またこぼして」


 ルドルは布巾で汚れたテーブルを拭く。


「うー」


「……」


 握るようにスプーンを持ち、ぼうっと虚空を見つめる妹をルドルはふと見つめてしまった。


 そして溢れ出す思い出を前に、ルドルは何度目かわからない後悔をする。


 ドアが鳴る、ルドルはハッと顔を上げると、


 こんな時間に誰だ? と訝しみながら扉を開け、そして目を見張った。


「エイン……てことは」


「いや、魔王は殺してない」


「? 魔王と戦わなかったのか?」


「いや、戦った」


「…? じゃあ一週間も何をしていたんだ? それにどこかやつれて見えるぞ」


「…少し外に出ないか? 話がしたい」


「…」


 ルドルはちらりとランを見た。


「だめか?」


「いや、10分待ってくれ」


 十分後、ルドルの家の前に立つ二人。


「……ランは大丈夫なのか?」


「ああ、睡眠呪文で眠らせてある」


「そうか……じゃあ、場所を変えるぞ」


「は?」


 エインの転移呪文により、二人は空へと飛んだ。


「…ここは?」


 森の中、洞窟の前に転移したルドルは尋ねる。


「まず、俺の話を聞いてくれ」


 エインは話す


 アウルとイリスがどうなったか


 魔王と戦ってどうなったか


 魔王と戦ったあと何があったか


 どうやって魔王の城から抜け出したか


「……」


 話が終わったあと、ルドルの顔は引きつっていた。


「最初は持久戦を挑むつもりだった、連戦の中で攻略の糸口を掴む予定だったんだ……体の痛みには耐えられると思った……。 だが…あれは……あの拷問は……想定外だった」


「…」


「だけどそのおかげで一つの策が思いついた、成功すればあの拷問どころか拷問そのものを回避できるし最初の策よりも勝率だって上がるはずだ。 それを試すのに、一流の神系呪文の使いてであるお前の力が必要なんだ」


「……一体何をする気だ?」


 捕まった際のリスクの回避と魔王の攻略、その二つを同時に満たす戦略があるのだろうか?


 戦わないこと以外に?


 現状の条件で考えれば絶望的に思えた。 ルドルは測るようにエインを見つめる。


「ついてきてくれ」


 ルドルはエインの後を追って洞窟に入った。


「ここは、これまでの冒険で手に入れたアイテムを秘密裏に管理している、その中のこれを使おうと思う」


「! これは――」


 それを見たルドルは目を瞠り、勇者の策、その全容を理解した。



 勇者脱走の翌日


 魔王の間


 その扉が、勢いよく開け放たれる。


「……!」


 王座に座る魔王は、目の前の存在を勇者と認めながらも目を細めた。


 禍々しい漆黒のスカルフェイス、刺々しい闇色の鎧が全身を覆い、両手には妖気を纏った刀と剣をそれぞれ握っている。


 いずれの装備にしても、魔王にして悍ましいと感じさせるほどの呪力を纏っていた。


「貴様…勇者か?」


 魔王は、勇者らしくもない勇者へ対して、問う


「――ウ゛ォオオぉぉぉおおおおおおオオオオあああ゛おぉぉぉ」


 エインは、獣のような雄たけびを上げると魔王へ向け切りかかった。


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