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第5話 古代の遺跡

-----------------------------------------------

【神様視点】


目の前から青年が転生していった。


「あの子は大丈夫でしょうか。」


どこまでも白さが広がる空間で、目を見張るほど綺麗な女性が心配そうにつぶやく。


(普通ですと、死のうとするとブレーキが大抵の方はかかるのですが、あの青年はそのブレーキがかかる気配が全く感じられませんでした。

滅茶苦茶めちゃくちゃに心がでいて、精神の崩壊がすぐにでも起こりそうでしたが処置が間に合って良かったです。)


あの壊れかけの精神では、死を決意した考えを変えることはほとんど不可能。

心が壊れかけだと、前向きな考えのために大変な労力が必要であり、余程のことがなければ戻ってこれない。


(この部屋の精神安定効果だけでは、わずかの間しか持ちませんでした。

ですので、特別な紅茶を飲んで貰ったのですが、効いて本当に良かった。)







神庭ゴッドガーデンの紅茶』


天界の神の庭で作られた貴重な紅茶。

豊穣神が自ら、神の雫と聖域の土、天陽てんようの光、福音ふくいんの風によって育てた。

収穫した後に厳選するため、一年で手に入るのはとても少なく大変価値が高い。

飲んだものに天国にものぼる精神の安らぎを与え、心の奥にある善の意識を刺激する。

気力がき上がる、あきらめないで希望を持つ、昔の優しさを取り戻すといった心を癒す効果がある。

あまり飲み過ぎると中毒になりかねない美味しさがあるため、飲むことができる量は決められている。


レア度:77







「あの青年の願いの源である【未知への憧れ】。

これは希望の塊のように思えましたが、同時に危険の塊だと感じました。」


【未知】とは未だ知らないものである。

それを体験したことがない、つまり安全なのか危険なのか全く分からない。

とてつもなく危険で命に関わるようなことだったとしても、体験するまでは分からない。


(【未知】とは死の危険とコインの裏表の関係です。

あの青年は、いまだに心のどこかで死を望んでしまっている。

紅茶だけでは、心を立て直すことはできましたが癒すことはできませんでした。)


神様は一度目をつぶり、深呼吸をして暗い雰囲気をはじき飛ばした。



「ですが、防御に優れた【土魔法】を選ぶ、生きたいと思う気持ちはあるようで安心です。

攻撃スキルが少なく、一人での旅ではまた落ち込むかもしれませんので最後の転生場所にチャンスを。」


転生場所の街の東には、3000年くらい前の古代の遺跡がある。

遺跡の奥に眠っている存在は周りを巻き込むものであり、とても強力な力を持っていて、試練を乗り越えれば力になってくれるはず。


「少女を助けて貰った恩返しがまだでしたので、【翻訳】の上位スキル【超翻訳】に変えておきました。

龍人語の碑文を読むことができ遺跡を攻略するために必ず役に立つスキルです、あの青年には頑張って貰いたい。」


(ただ、試練を受けさせて貰えるかが心配ですが。さて次は・・)


神様は気持ちを切り替えて、どこかへと消えていった。





【超翻訳】

言語であるなら翻訳可能。

秘境の種族にのみ伝わる言語から、神聖文字まで対応している。


Activeアクティブ Skillスキル

自動変換じどうへんかん≫、≪読解どっかい≫、≪聴音ちょうおん≫、≪発声はっせい≫、≪筆記ひっき≫、≪on/off≫


-----------------------------------------------



俺は宿から出て通りに出た。

通りは朝 6:00 なのに大勢の人が行き来しており、とても活気がある。


「すごいな!

色んな人いて、ただ見ているだけでも面白そうだ。」


見たことがない服や防具を着ていて、どれもこれも新鮮だ。

そのうえ人ではない種族もいて、ついつい尻尾や耳を目で追ってしまう。


髪や肌の色もたくさん種類があり、綺麗な色をしている。

金髪の人が特別に多いって訳でなく、赤や青といった髪色の人も大勢いる。


「どこから見て回ろうかな。」


俺は通りを人の流れに任せて歩き出した。


通りにある光が強い場所は、ギルドか魔道具のお店っぽいな。

露店ろてんで掘り出し物を探したかったんだけど、まだ時間が早いから食料関係しか出ていないか。


「あれも欲しい、がお金は節約しないとすぐに無くなってしまう。

気をつけて使わなければ・・・」


道具店や市場、薬屋などを回り、旅に必要な道具を買い集める。




• マント、ゴーグル、ウエストポーチ、光魔石こうませき付きランプ

• 入れ物付き低級ていきゅうポーションセット10本、毒消し薬3、ぎ取り用ナイフ、魔石ライター、ペンとメモ用紙、方位磁石、地図、ただの袋、鏡、歯ブラシ、おけ

• 紅茶用セット、魔力式コンロ、ナイフとスプーン数本、菜箸さいばし、鍋、ボウル

• お菓子、肉とパン一週間分、塩などの調味料、香辛料、小麦粉、食材


計  50732 G

残り 9268 G




「やべ・・・、ついつい買いすぎた気がする。

いやでも、どれもこれも旅に必要そうなんだよな。」


まあいいっか。

んだことは気にしない。


決して道具店のお姉さんがお勧めしてくれたからではない。


ただ、狐耳で胸はでかかった。


もちろん全ての荷物は圧縮し整理して、鞄とウエストポーチに閉まっている。

鞄は袋から出して、元の大きさに戻し背中に背負せおい、ウエストポーチは腰に着けた。


露店や通りにあるお店を見て回って分かったことがある。


露店ろてんで売られている朝ご飯の値段は、だいたい300 G (中銅貨1枚)だった。

宿屋の値段が一番安くて2000 G らしいので、3000 G あれば一日なんとか生活はできる。


つまり、後三日は生活できる。

けどお金を稼ぐ手段を見付けるまで、あんま時間がない。


聞いて回ったところ、この街のそばにダンジョンと遺跡があり、遺跡は攻略済みだがダンジョンはそこまでレベルは高くないらしい。

腕に覚えがある旅人や冒険者はパーティを組み、ダンジョンで魔石を手に入れてギルドで換金するのが、すぐにお金を稼ぐ方法らしい。


他の方法はお店でアルバイト、ただし12歳の子供ができることは少ない。

または、露店ろてんで何かを販売する、ただし商業者ギルドに登録必要。



(ん? あれは何だ?)


いろいろ見ていていると、ひときわ大きな光に気づいた。

太陽の輝きかと思っていたが、よく見ると太陽の下にとても大きな輝きがあった。


「もしかして、あれが神様が言っていた理由かな。

違うかもしれないがあの光は気になるな、調べよう。」


そうと分かれば情報を集めることを優先だ。

ひときわ明るい建物があったので、ギルドだと思い後回しにしていた。


ギルドに近づいたところで、魔眼の効果範囲を街中では2mに設定する。

多くの光が重なり結構けっこうまぶしかったので、できないかなと思ったところ設定できた。


ギルドの建物は魔物と剣が交差こうさする絵の看板を取り付けており、いかにも古めかしい無骨で頑丈な作りだ。

すぐ横に大きな空間があり、馬と馬車や見たことがない生き物がいる。


ギルドの扉はかなり大きく開けるのに大変そうに見えたが、ちょうど開いたので扉をくぐり中に入る。


中に入ると視線が集中してかなり驚いた。


(うおお! めちゃくちゃ緊張する。)


すぐに視線は外れたが、心臓が縮み上がるような雰囲気を感じて鼓動が速くなる。


「ここがギルドか。」


中を見渡すと案内受付を見付けたので、相談しに行く。

受付にはいかにも仕事ができそうな女性が座っており、耳がとがっているのでたぶんエルフだ。


「すみません、この街の東のことについて聞きたいんですが、できますか?

それとギルドの登録をお願いします。」


「はい、大丈夫ですよ。

この街の東でしたら、攻略済みの遺跡 『龍人の祭殿』 があります。

登録の前にギルドについて書かれたこちらの冊子を読んで頂けますか。」


受付のお姉さんは優しく笑いながら子供に戻っている俺にも対応してくれた。

渡してくれた冊子は少し厚みがあり、何度も読まれたのか少し丸みがついている。


「ありがとうございます!

この冊子を読み終わったら、どこに行けばいいですか?」


「あちらにある登録受付でもいいですが、こちらでも対応可能ですよ。」


「じゃあ、また来ます。」


俺はギルドの壁際にあるソファーに座って冊子を読み始めた。


冊子によると、ギルドではステータスを調べてくれるらしい。

ただ、今まで思ってたステータスと違っていて、能力をより詳しく調べるらしい。




ステータス

◆ 基本: HP、身長、体重


◆ 精神: 気力、精神力、知力、魔力量


◆ 肉体: 腕力、足腰、対衝撃、対斬撃、持久力、体幹、器用さ




これらの項目を魔道具で調べることができるそうだ。

ただ偽装する道具やスキルもあるため確認のために、テストは行う。


他にも冒険者ギルドといっても、部門ごとに分かれている。


■ 冒険者ギルド:ダンジョン部門、遺跡部門、クエスト部門(街からの依頼)

■ ランク:G 〜 S まである。クラスが全て規定値より高くないといけない。

■ クラス:部門ごとに0から9まで設定されている。



それで、重要なことが書かれていた。

ギルドに登録するのには、スキルを全て公開しないといけない。


( 【固有スキル】 も公開する必要があると書かれている・・・。

どうしよ、あんま知られてくないんだけど、隠しても機械で調べられたらばれてしまう。)


他には、知識と実力の試験がある、犯罪履歴を調べる、身分証の確認、最初はGランク(クラス0)からスタート、登録料が 5000 G と書かれていたが、これらはあまり問題ではない。


知識のテストの本がそばの本棚にあったので確認したが、倫理的なことや常識、マナー、注意点なのですぐに覚えられそうだった。

実力の試験は、スキルを本当に使えているかを調べる試験だが、レベル3があれば問題はないと書かれてあった。


「そう、問題なのはスキルの公開だ。

危険なスキルでない限り秘密にすると書かれてあったが、信頼できるのか・・」


この世界でのギルドの実力や信頼が分からない。

もし、上部は腐敗していて魔眼の情報が広まるような組織だったら、命の危険が出てくる。

魔眼は特殊な儀式を使えば移植が可能。


そんなことはないのは店で話を聞いていて大丈夫なのは分かっているが、まだ怖さがある。

【固有スキル】が隠し通せると思っていたが、そこまで甘くなかった。


どうやら前までは調べることはできなかったが、性能が上がりスキルの情報が増えて調べることが可能になったようだ。

それと、昔に隠して登録した人が法律を破り問題を起こしたため、隠すのはダメになったと書かれている。


(どうする?

お金を稼ぐ手段を見付けるのは最優先だ。

ギルドに登録するのが一番速くて、確実だ。 ただ・・。)



俺はかなり悩んだが今回は登録しないことにした。

もう少し話を聞いたり、図書館などで情報を集めてから考えることにする。


「登録はやめておきます。

冊子ありがとうございました。」


「わかりました、冊子をお預かりします。

もし登録したくなったら、また来て下さい。

それと、これが街のことと遺跡について書かれた情報になります、良ければ使って下さい。」


受付のお姉さんが文字が書かれた紙を渡してくれる。


「いいんですか!

本当に助かります。」


「いえいえ、調べれば分かることですから。

ただ今回だけですよ、次からは有料ですからね、フフ。」


そう言って、お姉さんは微笑えんだ。


俺は少し恥ずかしくなったので、頭を軽く下げ、足早にギルドを出た。

ギルドから出て、東門を目指しながら貰った紙を確認する。




■ 街ザルツブルク: 東に遺跡と森、南にダンジョンと街道、北は山、西は平原と街道


■ ダンジョン: クラス 2  『ゴブリン×ゴブリン』

とにかくゴブリンが出る、宝はお金と鉄の武器


■ 古代の遺跡: クラス 0  『龍人の祭殿』

かなり昔の遺跡、壁に龍人が何かを祭っている絵が描かれているためこう呼ばれる。龍人語で書かれているため今まで誰も読めていない。各地に龍人の遺跡は残されている。


■ クラス:危険度。スキルレベルが同じまで高くないと対応できない。


■ 龍人:帝国ができた頃から姿を消した。帝国の初代皇帝が龍人に執着。龍人たちは捕まらないように、人が来ない秘境へと移ったと言われている。長命で、龍の鱗を持っている。


■ 龍人の遺跡:各地にある龍人たちが残した遺跡で、複数見つかっている。壁には龍人語だと思われ文字と絵。宝がある場合とない場合がある。




遺跡までは簡単な道があり、魔獣も森の奥にいるらしいので安心できる。

俺は身分証を見せ東門を出て、歩いて10分ほどの場所にある『龍人の祭殿』に着いた。


見た目はおごそかな雰囲気がある神殿だ。

白い石は作られて長い年月が立っているが、特別な保護がかかっているらしく植物のつるこけは生えているが欠けていたり壊れている様子は見えない。


石段を上がったところに入り口がある。

扉はなかったのでそのまま中に入っていく。


「外から見ると中は暗かったが、案外明るいな。

これが紙に書かれていた文字か・・・、あれ読めるぞ!?」


外からの光で壁の文字を読んだが、問題なく読める。

入り口の文字だけかと思い奥に行くが、奥に書かれた文字も読むことができる。


(何でだ・・・?

もしかして、龍人語って日本語で読むことができたとか。)


■ 龍人語: 龍人たちが使用する言語。龍の鳴き声がもとで作られており、文字が複雑。発音も龍人以外の種族には発音することがとても難しい。日本語ではない。


「すごい、ラッキーだった。

これなら、何か分かるんじゃないだろうか。」


魔眼の設定を戻して遺跡を観察すると、光は遺跡最奥のかなり下にある。

かなり大きな光で白色の輝きを放っている、白色はたしか人などの生命体だったはず。


(もしかして、上位生命体や精霊が込められた武器があるんじゃないか・・!)


俺は誰も読めない文字を理解し、宝物がるのが確信できたのでかなり興奮してきた。

心の奥から気力が湧き上がってくるのを感じる。


壁の絵や文字は龍人の生活や、帝国から逃げていることを伝えているのだろう。

どうやらここは神をまつる祭殿ではなく、昔に龍人が使っていた宝物庫であったらしい。


遺跡の最奥は入り口からさほど離れていなかたので、すぐに着いた。


奥には広い空間が広がっており、今までいた空間と雰囲気が違っている。

終点の壁には文字だけが書かれており、俺は読んでいく。


調べると以下のことが分かった。



【条件】:人ではない肉体、悪意を持たない精神、死を恐れない心

◆ 壁に魔力を流しながら、転移呪文トランスを唱えれば扉は開く



「やった、見付けた!

これで下への道が開くはず!!」


俺は壁に手を着けて、魔力を流した。




ーー≪転移トランス






フォン



青年の姿がぶれて消えた。


























≪精神≫

 気力 :頑張っていける力、生きていく源 これが高いと、勇敢、成長が速い

 精神力:精神異常耐性、恐怖やつらい状況でもどこまで自己を保てるか

 知力 :賢さ、思考速度、記憶力、魔法の威力に影響する

 魔力量:本人が持つ最大の魔力値。


≪肉体≫

 腕力 :攻撃、上半身の筋力

 足腰 :速さ、下半身の筋力

 対衝撃:防御、内臓の丈夫さ、骨の堅さ、脂肪量

 対斬撃:防御、皮膚の硬さと厚さ、筋肉密度

 持久力:肺活量、心臓の強度

 体幹 :姿勢のバランス力

 器用さ:手先の器用さ


≪種族特徴≫

 人   :気力が高い傾向 他は平均的 個性で分かれるが、全体的には中くらい

 獣人  :足腰、持久力、体幹が高い 腕力は中 精神力、知力、魔力量は低

 ドワーフ:腕力、対衝撃、対斬撃、器用さが高い 足腰は中 

 エルフ :精神力、知力、魔力量が高い 気力は低














第6話 遺跡の最奥


今日の夜にUPします! 

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