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第4話 現状把握

お待たせしました!

「・・・ん。」


まるで、長い間寝ていたかのような眠りから起きた。

体を起こしたが頭が働いていないので、目をつむり深呼吸する。



頭がだんだんとはっきり覚醒してきた。


目を開けると、自分の体と白いシーツが目に映った。

どうやら、今までベッドで寝ていたらしい。


横の窓はカーテンは閉まっているが、間から光が差し込んでいる。

その光が頭があった位置にかかっているので、それで目が覚めたようだ。


「確か異世界に送って貰ったはずだ。

俺は今どこにいて、この世界ではどういう扱いなんだ?」


スキルの確認とかやりたいことはある。

でも、まずはどういった状況に置かれているか把握しないと。


体を見ると神様が言っていたとおり、防具をつけている。

防具は全体的に黒色の革製で、所々に銀色の留め具や線が入っていて格好いい。


防具の下には、灰色の目が粗い服を着ている。

裸足で、見えないが下着はあるようだ。


防具をつけて横になっていたので腰がつらいと思ったが、腰には何の問題もない。

腕を回すと、前より元気よく動かせる気がする。


部屋の中央には手紙が乗った小さなテーブルと、壁は赤茶色のレンガ、左側に洗面台、右側はドアで、六畳ほどの大きさだった。

テーブルの下には袋と剣、盾、杖、弓、がまとめて置かれている。


ベッドから下りて手紙を手にとって、中身を確認する。

やはり神様からの手紙のようだ。


「さてと・・」



『拝啓 風切様


 まず最初に大事なことを伝えます。

今まで送った人たちはスタート地点を決めていたのですが、今回はこちらが適切だと思う場所に決めました。

もし貴方が願いを叶えるための決心が嘘でないならば、必ず貴方の助けになります。』



「あ、スタート地点を選べるの忘れてた。」


助けになるってどういうことだろう?



『貴方の持ち物は、【スキル】を使用するための武器と道具一式。

戦闘初心者が使うのに適した防具と、こちらの世界での標準的な衣服。

袋の中に道具一式と着替え1日分、旅の簡易セット、身分証、お金が入った背負うことができる鞄。

お金は60000 G 、大銀貨1枚(50000)、銀貨7枚(7000)、大銅貨5枚(2500)、中銅貨4枚(400)、銅貨10枚(100)。

【圧縮の指輪】は、指輪箱に入っています。

それと、袋の中に特別プレゼントがあるので見て下さい。』



特別プレゼントが気になったので袋を開く。

中から良い香りがしてきて、奥に箱が入っていた。


箱は片手ぐらいの大きさで、底は深くない。

不思議なことに閉まっているのに、光が箱からもれている。


いや。これは、【探求の魔眼】の効果だ。

箱の中身がレア度が高い物で、光が箱の板を超えて輝いているのかな。


「これが、魔眼で見える光か。

眩しくはないが、けっこう明るいんだな。」


目をこらすと、神様が言っていた中身が白く見える≪透視≫ができた。


何かが箱の中に引き詰められており、光っているのが見える。

全体的に青色の光を放っており、これは薬品の色だったはずだ。


「ポーション・・・?

いや、瓶に入ってないから違うな。

一体、これには何が入っているんだろう?」


中身を知りたいので、蓋の留め金を外す。

空けてみると、良い香りがする茶葉が箱に詰まっていた。



『白い部屋で貴方と飲んだ紅茶をプレゼントします。

紅茶のランクは一段階ほど落ちますが、天界の名品です!

心の中で欲しいと思われていたので、お参りされた20000円分の紅茶を箱に詰めました。

もし新たに欲しくなった時は、銀貨1枚(1000 G)で3回分の茶葉を購入可能です。』



「紅茶か!」


あんなに貰ったので失礼かと思い、紅茶は頼まなかった。

またあの美味しい紅茶を飲めるかと思うと、とても嬉しい。


しかも、買うこともできる。

1000 G と結構高いが、あの味はそれぐらいしても文句はない。


茶葉を少量手に取り、≪鑑定≫を発動。





『至高の紅茶』  


飲むと、気力が上昇する。

精神的に落ち着き、前向きに物事を考えるのを助ける働きをする。

体力等の回復効果は無いが、寝る前に飲むとよく眠ることができ、疲労を取り除ける。


レア度:20





「こういう風に見えるんだ。

ゲームのようで、かなり見やすい。」


紅茶の上の空中に半透明な板が現れ、名称と説明が書かれている。


なるほど、死んだと言われた後、この紅茶の効果があったから、そこまで心が沈むことがなかったのか。

やっぱり神様からしてもらったことが多い。


それでレア度による光の見え方なんだが、どうやら、レア度は0から100まであり、レア度が高ければ高いほど、光の大きさが大きくなって遠くまで届く。

ただ、対象に近づいたら光の中に入るのではなく、光は小さくなっていき、見るのに適した間隔を保ってくれるようだ。


今も紅茶の輝きの中に入る距離にいても、光は箱の周りにとどまっている。

また、光を消すように意識すれば、輝きはおさまって普通に見えるようになる。


それにどうやら、レア度が低いものは見ようと思わないと見えない。


紅茶を意識して、光をおさえた。



『それで現在地は、大陸中央部にある王国の領域内です。

王国首都の南東にある小さな街の宿屋にいます。

おそらく目が覚めるのは早朝だと思います。

鐘が二回鳴る 6:00 から朝ご飯が一階で食べれますよ。』

  


手紙に書かれていたのは以上だ。



「鐘が鳴るまでに、神様から何を貰った調べるか。」


手紙は読み終わったので、次に持ち物の確認をする。

テーブルの下に綺麗に整理されていて、どれも新品のような輝きを放っている。


「やっぱり、剣って格好いいな。」


一番気になる武器から手に取ってみる。

剣なんて触ったこともなかったから、すこし憧れていた。


重さは、1〜2 kg ほどで、刃はまっすぐ。

木の柄は片手で持つような長さで、刃渡りは 60 cm ぐらい。


ーー≪鑑定≫






『片手剣』


重さは比較的軽く、片手で振るのに適している。

一般的には、右手に片手剣を、左手に盾を持つのが初心者の基本スタイル。


レア度:1





「これが、片手剣か。

案外軽いな、今の俺でも片手で振ることができる。

そういえば【剣術】は取らなかったけど、旅の簡易セットに入っていたのかな。」


盾も用意されており、剣の【スキル】はないが旅をするための装備としては最適なのだろう。

他の武器や袋に入っている鞄の中身や持ち物を確認した。


虹色の光が見えていたので、袋の奥を探して指輪箱を取り出す。

虹色といっても7色ではなく、少しずつ色が変わりながら綺麗な輝きを放っている。


指輪箱の中身は思った通り、【圧縮の指輪】だった。

黒色の飾りはないシンプルな作りだが、斜めに線があり、そこから金色の下地が見えていて、魅力的である。

指輪を右手の中指にはめた。



所持品:

• 鞄、大きな袋、着替え1日分、タオル、水筒、裁縫セット、包丁、まな板、フライパン、紙皿 20枚、紅茶箱

• 片手剣、盾、魔法杖、弓、矢 30本

• 麻の衣服、下着、靴、防具、財布、身分証、【圧縮の指輪】




あれ? そういえば、【圧縮の指輪】の機能で持ち物を軽くすることができるんじゃないか?


片手剣を持ち上げ、さっそく試してみる。




——≪圧縮(コンプレッション)≫ 1/1000


シュン






「これは!?」



説明を聞いたのと、実際に試してみるのでは大違いだ。

ほんの2秒で変化は終わり、元の形と全く同じで、精巧な作り物に見える。


片手剣は、手のひらに収まるサイズまで小さくなった。

長さが6 cm、横が 2 cm、厚さは 1 cm にも満たない。

重さも、まったく感じないほどで、一円玉を持ったみたいだ。



計算すると、 1/1000 は 縦、横、深さをそれぞれ十分の1の長さまで圧縮しており、重さは元の千分の1、片手剣だと1〜2 g まで軽くなっている。


機能は面白そうだと思っていたが、ここまでとは思わなかった。

ここまでの性能があるなら、荷物を全て合わせてもポケットに入る大きさまで圧縮できる。


「財布や身分証を取り出しやすい場所にしまって、他はまとめておくか。」


とりあえず、全ての荷物を身につけることにした。

剣や盾、弓、矢、魔法杖の武器を圧縮したのを、ハンカチぐらいの大きさにしたタオルで包み、上着の内ポケットにしまう。

財布はそのままで右ポケットに、身分証も圧縮しないで左ポケットへ。

鞄は袋の中に入れた状態で圧縮して、ベルトにくくり付ける。

指輪の光を意識しておさえる。


よし、これで全部だ。

後することは、食事かな?




いや、大事なことがあった。

転生したんだ、新しいエルフの体の確認をしないと。


ちょうど、鏡付きの洗面台が部屋にあったので鏡をのぞき込む。


「ラッキー!

顔は、元のよりかっこよくなってる!」


大きく変わったのではなく、彫りが深くなり、スマートになっている。

アジア系の顔から、ヨーロッパ系との間ぐらいに少し変わったようだ。


目は青色で、髪は金色。

背は、床の距離からして小さくなったかもしれない。


そういえば、鏡に映る顔もどことなく昔の自分を見ているようだ。


「あー、あれか。

向こうに送る人は12歳で統一していますって言ってたな。」


12歳か。

体の成長時期であり、自我の確立が始まる年齢でもある。


「ちゃんと鍛えれば、この世界で生きていくうえで大きな力になるはず。

世界中を旅をするんだから、特に足腰を鍛えて行こう。

それと魔物との戦闘もある。

死にたくないから、本当に鍛錬して筋肉をつけないとな。」


ひとまずやることは終わった。

ふと気を抜くと、お腹がすいてきた。



ゴーン、ゴーン



鐘の音が二階聞こえた。

どうやら六時になったようだ。


「ちょうどいいな、朝ご飯を食べに行こう。」


テーブルの上の鍵を手に取り、部屋の扉を開けて外に出る。

今いるのは階段そばの部屋だったらしく、目の前に階段が見えるので下へと降りていった。






香ばしい、いい匂いがする。

お肉が焼ける音、話し声、大勢の足音の喧騒が聞こえてきて、周りの熱気にあてられる。


新しい世界に来たんだ、そう実感させられる光景が食堂に広がっていた。


透き通るような銀髪、先端に輝く石が付いた背丈よりも長い杖、背は高く耳はとがっている女性がテーブル席でお茶を飲んでいる。

その正面には、かなり色が濃い茶髪、背中には見るからに凶悪な斧、背は低く体型は逞しく、顔は見るからにおっさんの男性が肉を頬ばっている。

少し離れた席には、吸い込まれるような黒髪、動きやすそうな格好で、腰に短剣、背中に弓と矢筒、よく見ると頭の上には髪型ではなく猫耳の女性が魚料理を美味しそうに食べている。


エルフにドワーフ、獣人と元いた世界では見たことがない人たちが食事をしている。

全員、装備品もそうだが体内から力強い光を放っており、見るからに腕が立ちそうで、【影響力】が高いことがそのことを裏付けている。


「はは、まじで異世界なんだな。」


心の奥から笑みがこぼれる。

俺は、本当に異世界に来たんだ。


ああ、楽しみだな。

何がこの先待ってるんだろう。


たった階段を下りただけで、新しい【未知】に出会えた。

この宿屋を出て、少し歩いただけで待ってる光景を想像するだけで興奮してしまう。




「ほら、坊主。

そこに立っていられても食事は出てこないぞ。」


ドワーフのおじさんがは声をかけてくれた。

かなり低く渋い腹に響く声で、びっくりしてしまった。


「すいません、すぐに席に着きます。」


階段横のテーブルに腰かけた。


「謝る必要はない。

子供はたくさん食べな。」


そういって、おじさんが皿にのった肉を目の前に置いてくれた。

肉は分厚く、まだ焼きたてなのか油がはねる音がして、香ばしい香りがする。


「ありがとうございます!」


「いいってことよ。

それじゃ、行くとするか。」


ドワーフのおじさんは連れに声をかけながら、席を立ち上がった。


「そうですね、行きましょうか。」


響くような高い美しい声が聞こえ、エルフの女性がテーブルにかけてあった魔法杖を手に取り、ドワーフのおじさんの後に続く。


二人は扉を開けて、すぐに見えなくなった。

若い明るい髪をした女性の給仕が、二人がいた席を手早く片付け始めた。


「注文いいですか。」


「はい、どちらにしますか?

べコーンエッグセットなら無料で、ボアステーキですと追加で300 G ですよ。」


貰った物は、ボアステーキか。

こんな朝早くからステーキは前の世界では食べなかったが、今は食欲があり問題なく食べれる気がする。


「ベーコンエッグをお願いします。」


「わかりました、すぐにお持ちしますね!」


そういって給仕の方は、皿を持って厨房にいった。

数分もしないうちに、美味しそうな匂いがする皿を持って戻ってきた。


「どうぞー! 栄養満点のベーコンエッグセットです。」


「ありがとう、いただきます。」


「いーえ、食べて力を付けて下さいね。

食べ終わって出かけるなら今、鍵を受け取りますよ。」


部屋の鍵を手渡した。

給仕の方は周りのお客の注文を取りに行き、俺はご飯をいただく。


「味はおおざっぱだけど、食材が新鮮なのか旨い。」


ベーコンエッグセットはすぐに食べ終わってしまった。

昔はもう少し食べるのに時間がかかっていたが、新しい体は動きが速い気がする。


食べ終わったばっかなのに、ステーキを切り分ける手もすすむ。

口に入れると、めちゃくちゃ濃い味がして脳に強烈な刺激が来た。


「うまいな、こんなの食べたことがない!」


最初は強烈だったが、次第に慣れて数分ほどでステーキも食べきった。


「ご馳走様。

さーてと、これから何をするか。まずは・・」


今考えられるやることは、お金を稼ぐ方法を見付ける。

それと、一日過ごすのにかかる金額、【スキル】や能力の確認をするための練習場所を見付ける、この街と周辺のことを調べ神様が手紙に書いてた意味を探る、図書館に行ってこの世界のことを調べる、この5つだな。



「あー、とりあえず外に出るか。

いろいろ歩いてギルドや図書館っぽいの探して行こう。」




俺は席から立ち上がり、外へと向かって歩き出した。






















『木の小盾』


重さは比較的軽く、片手で構えるのに適している。

一般的には、右手に片手剣を、左手に盾を持つのが初心者の基本スタイル。


レア度:1





『オーク革の防具』


堅い皮膚を持つオークの革を用いて作られた。

特殊な液に浸け耐久度を上げていて、冒険者たちが初めに買う防具として有名。


レア度:3





『大きな袋』


入り口を紐で縛る形の、とにかく大きな袋。

色はベージュ、生地はかなり丈夫で、いろいろな用途に使うことができる。


レア度:2





『エルフの半弓』


射程距離は100 m 。

エルフが森で狩りをする練習として、よく用いられる。

音が出るのを押さえ、正確性を重視した作りで、大切に使えば何年でも持つ。


レア度:5





『矢』


どこにでもある矢。

特別な工夫はないが、よく使われているので信頼性は高い。


レア度:0





『ブラストボアの魔法杖』


先端に風と土が混じった魔石がはめ込まれた両手杖。

ブラストボアは、風によりスピードを上げ突進が得意な土属性の魔物。

発動した魔法の威力を上げることが可能で、特に風と土だと影響が大きい。


レア度:7





『身分証』


この者、エルフの村ロンベルク出身をここに証明する。

風切かざきり 真土まなと/ 12歳 / 男 / 金髪 / 青い目 / 弓 / 土・風

・・・エルフの紋章が裏面に彫られている。


レア度:--













プロットはできているので、近日中に挙げます

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