矛盾のトライアングル
side-見
私には是非ともお近づきになりたい黒髪の美少女がいる。
名は仮にBとしておこう。
Bはそれはそれは美しき文系少女である。
一目惚れというものは現実に存在するらしく、まさに私はBに一目惚れをしたのであった。
それからというもの、学校にいる間の私の視線はBを捉え続け、自然的に私の学業成績は凄まじいスピードで急降下した。気持ち悪い?私もそう思う。
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「先輩、貴方は阿呆です。」
Bの事を後輩の飯塚に話すと馬鹿にしたように笑いながらそう言ってきた。
「そもそも、莫迦は恋をしてはならぬと先輩が普段から言っているのではないですか。」
「私が恋をしてはならぬと言っているのは莫迦ではなく阿呆だ。そして私は馬鹿でも阿呆でもない。」
「いーや、阿呆です。先輩の唯一の友人である僕が言うんですから間違いありません。」
「えぇい、黙れ!貴様に、私の優秀さを懇懇と説いてやろうか!」
「うひゃ、やめて!中身のない抗議ほど受けたくないものはない!」
飯塚の奴は後で小三時間程説教してやるとして、相談相手は、やはり賢い奴でなくてはなるまい。しかし、哀しいかな私には飯塚以外話を聞いてくれる者は居らぬ。嗚呼、我が身の孤独さたるや!
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しかし、こういった場合に敢えて積極的に動かぬのが私という人間の器の大きさなのだ。
決して怠けたい訳ではない。
追い詰められなければ動かぬのが私の性情なのだ。とにかく私は“見”に回るとしよう。
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Side-B
最近、私の身に何やらまとわり付いている気がする。何だったら焦げ付いているよう、と言い換えてもいい。
まとわり付いているものの正体は恐らく“視線”だ。
不思議な事に気持ち悪い、とは思わなかった。
視線の出所は分からないけれどまぁ、悪意がないのなら良いだろう。確証は無いけど。
「ねぇ、愛華。最近何者かの視線を感じるんだけどどう思う?」
「ヘェ~。まぁ、文の髪は綺麗だから男女問わず見とれちゃうのかもね。」
嘘だ。愛華は心からそう思ってる訳じゃないだろう。大体、愛華と話してると苛々する。当たり障りのない感想。衝突を避けるようなペラッペラの誉め言葉。それに、私が名前の「あや」を「ぶん」と読まれることを嫌っているのも知っているくせに「ぶん」と呼び続ける。
「……馬鹿みたい。」
「何か言った?」
「何も。」
だけど、それでも愛華とは疎遠になりたくない。私の数少ない大切な友人だから。
・・・・・・
私を見る視線は未だに離れない。まったく私なんかを見て何が楽しいのだろう。
常に人を睨んでいるような目も、手入れをしなければすぐにごわつく髪も、人に比べて薄い胸も、鼻も口も腕も足も眉も指も頭のてっぺんから足の先まで全部、大嫌いだ。
視線の方を見てみる。視線が消えた。うざい。
見ているなら振り向いても見つめていれば良いものを。気づかれたくなければもう少し気づかれないように見ろというのだ。
苛々する、苛々する、苛々する。いつから?愛華と話してからだ。
じゃあ、私と愛華が一緒に居続ける理由は何だろう?惰性?腐れ縁?友情?どれも違う――依存。
そうだ。私は愛華と居ることに苛々しながらも、愛華にしがみついているんだ。
だけど、愛華はきっと……。
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side-愛華
文程、鬱陶しい人間を私は知らない。
あの子の笑顔は笑ってない。笑顔の裏で人を見下しているのがすぐに分かる。
私は自分で言うのもなんだけど、他人の考えに敏感な性質がある。誰かと話しているとき、話していなくても関わったとき、その人が感じている感情を何となく推し量ることができた。
文に話すと「気のせいだよ。」と言っていたけれどその時、文はあからさまに気持ち悪がっていた。それくらい表情を見れば分かるのだ。
だから私は表情で嘘をつく人間が大嫌いだ。則ち私は、人が、他人が、私以外の人間が大嫌いなのだ。……と、思っていた。
好きな人ができた。
名前は知らない。このところずっと文を見つめている人。あまりにじっと見すぎて文が気味悪がっていた。……私には自慢話にしか聞こえなかったけど。
その人は、じっと文を見ていた。文に対する欲望を滲ませて。つまり、表情で嘘をつかないで見ていた。彼の真剣に欲望を滲ませる姿の虜になった。だから……本来は文のものだった幸せを奪ってやる。
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side-見
やぁやぁ読者諸賢、飽きもせず私の再登場である。忘れないで欲しい、この物語の主人公はあくまでも私だということを。
しかし、私の長期にわたる見の結果飛んでもなく厄介なことが発覚した。
B氏――えぇい、面倒くさい!文氏と愛華氏の関係は中々にややこしそうではないか。
私の見を舐めて貰っては困る。私の見にかかれば複雑な友人関係くらい「見易きこと水槽の金魚の如し」である。
閑話休題。何が厄介なのかと云うと私の見解では友人関係がめちゃくちゃな時の女子は非常に「非常時」なのだ。つまり、叩いても響かない可能性が高く、笛吹けども踊らぬ可能性が高い。いくら私の練りに練った高尚な告白文を狙いに狙ったタイミングで私の魅力的な美声で伝えても失敗しては意味がない。
さあて、どうしたものか。
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side-愛華
文はずるい。あの嘘のない真剣な視線を一身に受けられるのだから。私だってあの人に見られたい。ひたすら嘘のない視線で見続けられた末に一言「好きだ」と言ってもらえれば私はそれだけで天にも上る気分になるだろう。
……もっとも、彼が見ているのは文だから今の彼に告白されても私はその瞬間に冷めてしまうだろう。今の彼に告白されてもそのときの視線はきっと嘘だから。
私が好きなのは彼の視線であり、嘘偽りのない目だ。だから、今の私にできるのは彼の視線が私に向くようにずっとずっと待つだけ。
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side-文
愛華に相談してから1週間。
視線の気持ち悪さはいよいよ酷くなってきた。
一言文句を言ってやろうかとも思ったが、悪意がなくただただ気持ちが悪いだけのものに文句をいうのも気が引けた。それに、私だって愛華を見たいと思っている。だから同類だ。同類相憐れむ、と言う。放って置いてやろう。
愛華は、多分私の想いに気づいていない。
それどころか、私を嫌っているフシさえある。
だけど、そんなこと知ったことか。
“片思いなんて勝手な想いの押し付け”だ。
どこかの男が私をずっと見ることが許されるなら私が愛華を見るのだって許されるでしょう?
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side-愛華
見……私が好きな赤の他人。
文……私が大嫌いな親友。
もう、私をの周りの人間関係は意味の分からない「矛盾」だらけだ。私の好きな人が私の嫌いな人のことが好きで私の嫌いな人は私の好きな人が嫌いで……。
めちゃくちゃで、ぐちゃぐちゃで、複雑で。
絡まったイヤホンのコードみたいだ。
スッキリさせるために行動に移したくても移せない。なぜなら、彼にとっての私は赤の他人でしかないから。
話すどころか、それこそ視線すら交わしたことのない他人。彼の目に入っているのは文だけ。
「……忌々しい。」
呟いたその言葉は、文に向けてのものなのか、見に向けてのものなのか、或いは動けない自分に向けてのものなのか。……多分それら全てなのだろう。
だったら、忌々しさが見にも向けられているのなら、彼の幸せなんて関係ない。無理にでも私と向き合わせてやる。
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side-見
私がいつも通り登校すると私の元に一人の女子生徒が来た。
全く見知らぬ人ではない。文氏の友人、愛華さんである。
彼女は私にこう言った。
「放課後、話があるから私の所に来て。」と。
何の用なのか分からぬが彼女の友人である以上断る理由もあるまい。私は二つ返事で了承した。
「先輩。貴方はきっと、ぼこぼこにされますね。」
「洒落にならんことを言うな。大体、ぼこぼこにされるいわれがない。」
「いやいや、先輩はその愛華さんの友人をじっと見ていたのでしょう?なら、ストーカーの相談を受けたに違いありません。先輩、今日でお別れですねぇ。さようなら。」
「飯塚、お前を私が殴ってやろうか?」
「そんな、素麺のように白くて細い腕で殴るなんて!僕は骨が折れるのを見たくありません。」
「やかましい、そこになおれ!」
しかし、本当に何故私が愛華さんに呼ばれたのであろうか?まさか本当にぼこぼこにされるのではあるまいな。
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side-愛華
ついに、やってしまった。もう後に引けない所まで来てしまった。
私自身、私がここまで積極的に動いていることに驚いている。
見への想いだけで自分勝手に、利己的に動いている。普段の私にはあり得ない状態だ。
そうした結果、自分で自分を追い込んでいるんだから馬鹿らしいったらありゃしない。
「ねぇ、愛華。聞いてた?」
「……ん。あぁ、ごめんなさい。全く聞いてなかったわ。」
ていうか、全く聞く気がなかったわ。
「えぇ~、なんで?私の話、つまらなかった?」
「いや、ちょっと考え事を、ね?」
つまらないという自覚はあるのかしら?
何にしても、文。うざいなぁ。最近、無駄に私に付いてくるし。正直、邪魔くさい。
「ねぇ。愛華、少し話があるんだけど……。」
「何?」
「明日の放課後、空いてないかな?」
「空いてないわ。」
今日の告白が成功すればね。
「そっか……。じゃあ、いつなら空いてる?」
「そうねぇ……。来週の頭ならいいわよ。」
保証はできないけどね。
「ありがとう!じゃあ、来週の月曜日お願いね!」
あんなに喜んじゃって。何がしたいのかしら。……気持ち悪い。
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side-文
愛華と約束を取り付けちゃった。
そうだ。きっとこれが一番いい。私が愛華と付き合っちゃえばストーカー男の視線も解決するだろう。
もちろん、そんなに上手くいくとは限らない。
ストーカー男が私を諦めないかもしれない。
私の愛華への気持ちが気のせいかも知れない。
そもそも……愛華が私の告白を受け入れる可能性は低いのだ。
何せ、私の恋愛は普通じゃないのだから。
普通じゃない、自分も気持ち悪いと思う。嫌いながら好きになるというわたしの「矛盾」。
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side-愛華
「来てくれてありがとう、見さん。」
「……あぁ、せっかくの呼び出しを無下に扱うほど屑ではないつもりだ。」
不思議だ。普通ならこういうときは緊張するものだろうが不思議なほどに落ち着いていた。
まるで、何でもない人と話すときのようだ。
「ねぇ、見さん。結論から言わせてもらうね。……私はあなたが好き。」
「それは……つまるところ、私は恋愛感情を告白されているのだろうか?」
「えぇ。」
「それは……何と言ったものだろうか……。」
「文の事を諦めて私を選んでくれればいい。」
「ああ、なんだ。分かっているのなら話が早い。答えを言おうか。……それはできない。」
「そう。……今日はありがとう。ごめんね。急に変なこと言って。」
「何というか。……こちらこそすまない。想いに答えられなくて。」
・・・・・・
「フラれた、かぁ。」
人生初の告白が失敗した。だけど私の心は自分でも驚くほどスッキリしていた。
結果として、この方が良かったのだろう。
彼が……見が私の前に来たとき、いつも文を見ている時の魅力を感じなかった。つまり、私にとっての見の魅力は視線にしかなかったのだろう。世の中に数多くのフェチがあれど視線のみに恋愛感情を抱くのは私くらいだろう。
文を見る視線で私を見てほしい。だけど実際に私に注がれると途端に魅力がなくなる。
我ながら思う。どうしろというのだ。
きっと生涯片思いしかできない。だけど、それでいい。それがいい。……それで、十分だ。
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side-見
愛華さんの発言には驚かされた。ある意味不意打ちでぼこぼこにされたとも言えるだろう。
私の事が好きなどとは。しかも、私の文氏の想いを知った上で、だ。
残念ながら想いに答えることはできなかった。
しかし、あの良い意味の身勝手さは見習うべきだろう。
……“片思いは勝手な想いの押し付け”
何故かそんな言葉が私の心にふと浮かんだ。
・・・・・・
side-文
次の日、愛華はとてもすっきりした表情で学校に現れた。ずっと詰まっていたものが取れたような表情で「今日の放課後の予定が無くなったわ。」と。
「じゃあさ、月曜日の予定、今日にできる?」
「えぇ、良いわよ。」
「でも、なんでいきなり?」
「別に。強いていうなら、勘違いだったってことかしらね。」
「ふーん。」
本当にいらつく、全てを見透かしたような話し方。だけど、こうやって全てを見透かされたい。そんなマゾヒズム的な思いに苛まれる。
それが私の依存。誰にも愛華は渡さない。渡したくない。だから、全ての想いを一方的に愛華にぶつけてやる。
・・・・・・
「それで?用事って?」
放課後になってすぐ愛華は私の所に来た。
これから、自分がどんなにおぞましい感情の弾丸を撃ち込まれるとも知らずに。それも一発でなく一斉射撃だ。白旗をあげても攻撃の手を緩めてやるものか。
「愛華、あのね。私「――1つ良いかな?」」
人が決意して発した言葉を愛華は遮った。
だけど、その時の愛華の目は私の決意の固さなど比にならぬほど固くて私には再び遮ることができなかった。
「私ね、昨日ある人に告白して――フラれたの。」
「はぁ?」
私には、愛華が何を言わんとしているのか分からなかった。
ただ、「さっき無理にでも遮るべきだった。」という思いがなぜかよぎった。
「私が告白した相手はね、見っていうの。――あなたのストーカーね。」
「……何が言いたいの?」
「あなたもこれから同じ結果になる、と言いたいのだけれど。」
“同じ結果になる”それは、つまり……。
「ごめんね、文。私はあなたの想いには答えてあげられない。」
・・・・・・
side-愛華
文の私への想いは知っていた。正確には、朝になって気がついた、と言うべきだろう。
見に夢中になりすぎて他人からの想いに鈍感になっていた、ということか。
「……なんで?」
「どっちの意味で?」
それは、「なんで告白するとわかったのか」という意味か、或いは「何故了承できないのか」という意味か。恐らく両方だろう。
「簡単よ。私とあなたが付き合ったところで、互いに幸せになれないからよ。」
「私の想いにあなたの幸せなんて関係ない!」
「そんなことないでしょう?片思いのうちはその考えで構わないけれど、付き合うとなるとその考えじゃ互いに苦しむだけよ?」
「でも……!」
文の私への想いは、きっと色々な感情がごちゃ混ぜになっていたのだろう。嫌悪、劣等感、畏怖……。そういった、あらゆるものが集まって「依存」になった。だけど、それは決して「愛情」ではない。「愛情」にはなり得ない。恋愛感情と別のものを取り違えたという点で、文は私と同じミスをおかしたのだ。だから、その事を気づかせてやる必要がある。
「文。私はあなたに愛情を与えてあげられない。だけど、一人だけあなたに愛情を与えられる人がいるわ。」
「……愛華の言いたいことが分からないのだけれど?」
「私の抱いていた感情も、文の抱いていた感情も恋愛感情ではなかった。だけど、彼の……見の感情は本物の恋愛よ。私には分かるわ。」
「私に、愛華を諦めてあの視姦男と付き合えって言うの?冗談でしょう?」
「それはあなたが決めることよ。だけど、彼の愛が本物だということだけは保証してあげる。」
「……。」
・・・・・・
side-文
愛華にフラれた。その事はまぁ良い。それくらいは覚悟していた。辛くて辛くて、今すぐに、家に帰らず、なにもかも思い切りそこいらに放り投げて、ICカード乗車券で行けるところまで行って、そのまま行方をくらましてしまいたいけれど実際には無理だからやっぱり私の感情さえもどうでもいい。問題は1つだけ。
愛華は言った。「見の感情は本物の恋愛だ。」と。ストーカー男と私が付き合うなんてあり得ない。……とも言い切れなかった。そもそも、少なくとも最初の頃は、嫌な視線じゃなかったはずだ。だから、純粋な愛だと言われればまぁ納得はできる。
「……だけど、私は見さんをどんな人間か知らないしなぁ。」
「……あの、文さんだろうか?」
「うわぁィ!」
驚きのあまり素っ頓狂な声をあげてしまった。
・・・・・・
side-見
「うわぁィ!」
突然声をかけたためものすごい驚きかたをさせてしまった。そのものすごさたるやこちらが逆に驚くほどである。
「突然声をかけてすまない。私は見というのだが、あなたは文さんで宜しかっただろうか?」
「……宜しかったですが?」
「少し時間をいただけないだろうか。」
「……良いよ。」
これは、少々予想外だった。もう少し私という人間について尋問された後、数日間にわたる下調べ期間を設けられる事を覚悟していたのにも関わらず、2つ返事で了承とは。……恐らく愛華さんが関係しているのだろう。
「それで?私を呼び止めた理由を聞かせてもらえる?」
「あ、ああ。文さん、私はあなたを「――1つ良いかしら?」」
・・・・・・
side-文
どうしよう?なにも考えずに勢いで愛華の真似をしてしまった。まあ、良いかな。勢いで話してしまえば。
「貴方は、私の事をずっと見続けていたわよね?」
「え!?いや、それは、その……。行きすぎた愛というか……。」
「気づいていないとでも思ったのかしら?全く、あれだけあからさまに見ていて気がつかないハズがないでしょう?」
「……すまなかった。」
「別に怒ってはいないわ。ただのクレーム。」
「不快な思いをさせて申し訳なかった。」
「別にいいのよ。だって“片思いなんて勝手な想いの押し付け”でしょう?」
・・・・・・
side-見
“片思いなんて勝手な想いの押し付け”
それは、奇しくも私が告白を決意したときに心に浮かんだ言葉だった。
出自も、出典も存在せぬ言葉。ただ、私の心に不意に浮かんだ言葉をなぜ、文氏が知っているのだろう?
「いい言葉だと思わない?私が愛華に告白しようと思ったときに思い付いた言葉なの。」
「……色々思ったことはあるが流すとしよう。」
文さんが同性の愛華さんに告白とはどういう事なのだろうか?
「で?私が言いたいことは言い終わったのだけれどあなたの言いたいことを言ってくれるかしら。」
「ふむ……。では私の想いを伝えさせていただこう。―――私は、あなたのことが……」
・・・・・・
side-愛華
結論から言うと見さんと文はあの後付き合い始めた。一応、文は告白されてから2,3日考えていたが結局了承したらしい。曰く、「愛華に抱いていたのと違うものを感じた」だそう。早速、惚気られた気分だ。
そして、私は文を見ている見を見て愉しんでいる。永遠に私に向くことのない、向いてはいけない視線を求めてそっと……。友人と大好きな人の恒久の幸せを願いながら。