~第七話~
次の日、目覚まし時計でセットした時間に起きて、学校があるので、制服に着替えて、朝食をとる事にした。今日の朝食は、朝定食みたいなメニューで、結構美味しく残す事なく、食べ終わり、両親に行ってきますの挨拶をして、家を出る。
家を出て、通学路を歩いていると、途中で亮太の姿を見つけたので、声を聞かれないように、小さい声で、話す事にした。
「おはようございます、亮太」
「お、聖か、おっす」
「亮太って、いつもこんな時間に登校でしたっけ?」
「いや、今日はたまたま朝早く起きたんだよ、まあ、いっつもは遅刻ぎりぎりだけどな? だから、今日は走る事なく、間に合いそうだぜ」
「そうですか」
「やっぱり……」
「やっぱり……?」
「改めて聞くと、凄い声だなあ……聖の声」
「あ、やっぱりそう思います?」
「ああ、その声で大声で話したら、めっちゃ驚くんじゃないか?」
「確かに、そうかもしれないですね……でも僕は、そんな事をしませんよ」
「そうか? まあ、いいけどな」
そう言いながら、通っている高校、山之辺高校に辿り着く。
僕と亮太は、クラスが同じなので、一緒に教室に入る事にした。
教室内に入って、自分の席に着き、鞄から教科書やノートを取り出して
机の中に入れる。入れ終わった後、クラスメイトの声を聞いてみると
「今日の放送、ホワイト出るかな?」
「お、お前、ホワイトの声、気に入ってるのか?」
「お前は、気に入ってないのかよ?」
「いや、俺も……あの声で、好きですとか言われたいぜ……」
「あ、それ、同感」
とか、聞こえてきた。なんか……男子にえらい人気なんだけど、ここで僕が「ホワイトだよ?」と言ったら、どうなるんだろう……? まあ、言わないけどね
そんな事を思っていると、キーンコーンとチャイムが鳴り、担任の碓井先生が入ってきて、こう言って来る。
「皆、おはよう、今日も通常どおりの授業だ、特に連絡事項はないな、じゃあ、出席を取ったら、授業を始めるぞ」
そう言って、授業が始まり、僕は、ノートに黒板に書かれた文字を書いていく。
そして朗読になり、先生が僕を指してきて、焦ってしまった。
今、ここで話すと、僕の声がラジオでやっているホワイトってばれるので
僕は、首を横に振り、そしてノートに「のどの調子が悪いので、声が出ません」と書くと、先生が納得したのか、他の人物に当ててくれて、何とか助かる事に成功した。そして授業が終わり、僕に話しかけてきたのは、同じクラスの女子の山本理恵さんが話しかけてきた。
「やあ、聖、さっきは危なかったんじゃない?」
そう言って来て、僕は、ノートにこう記す。
「確かにそうかもです……」
「まあ、聖が隠したいと言うのなら、ボクも協力するから、頼ってもいいよ?」
そう言って来たので、僕は
「ありがとうございます、そういう事になったら、お願いします」と、書く事にした。
それを見て、理恵さんが
「ん、りょ~かい、じゃあ、ボクは行くよ」
そう言って、僕から離れていく。
そして、次の授業が始まった。次の授業は、理科の実験で、結構難しく、失敗しないように慎重にやって何とか失敗する事は無く、無事に成功する事が出来た。
他のクラスメイトを見てみると、小さな爆発が起きて、髪型が変わっている者もいた。その姿を見て、笑いそうになったが、何とかこらえて、笑う事を我慢する。
そして、授業が終わり、お昼の時間になったので僕は、お弁当を持って、亮太と一緒に、放送室へと向かったのであった。お昼の時間になり、僕と亮太は、放送室に向かった。
今日のラジオは、亮太と先輩の、西岡太一先輩の二人で、やる事になっている。
放送室に辿り着いて、中に入ると、もう既に先輩達がいて、準備をしていた。
「あ、来たわね? 二人とも」
「はい」
「じゃあ、亮太? 飯は食ったか?」
「いえ、来たばかりなので、まだです」
「じゃあ、早く食ってくれよ? すぐにラジオの準備するからさ?」
「分かりました」
そう言って、亮太は、凄い速さで、あっという間に食べ終わった。
まあ、お握り二個だったから、早く食べ終わるのも、頷ける。
「食べ終わりました、じゃあ、行きましょう」
「おお」
そう言って、亮太と太一先輩は、ブースの方に行った。
残った僕は、ゆっくりとお弁当を食べる事にした。
お弁当を食べていると
「聖君の、お弁当、おいしそうね~ちょっと貰っていいかい?」
「あ、私も~いいかな? 聖君」
「あ、はい、ど~ぞです」
そう言って、残った二人に、お裾分けをする事にした。
お弁当が食べ終わり、部長の中田彩さんが、こう言って来る。
「洋子、準備、よろしく」
「お~っけ~」
そう言って、マイクのスイッチを入れて、洋子先輩が、こう言う。
「これから、お昼の放送を始めます」
そう言って、マイクのスイッチを切って、ブースのマイクのスイッチを入れる。そして、ラジオが始まったのであった。
「皆さん、こんにちは~と言っても、今日も始まりました、ヤマノベラジオ、俺たち二人しかいないけど、こんにちは~パ~ソナリティーを勤める、ブラックです、で~今回のゲストは~」
「は~い、久しぶりと言うか、二回目の登場、レッドでやんす」
「はいはい~ホワイトが出てくるとか期待した皆さん、ごめんなさいね? こんな奴で」
「おい~別に俺の美声のファンっていると思うのでごわすが?」
「キャラが意味不明なんですが、ま、そこはほっとく事にして、では、最初に曲を流したいと思います、今回は学校側の許可を得たので、流す曲はと言うと、天空カイザーの曲です、では、どうぞ~」
そう言って、音楽が流れる。アニソンを流していいとか言っていたので、本当に流すなんてね……とか、僕は思っていた。曲が流れている間、マイクのスイッチを切っているので、その間に、洋子先輩が
「じゃあ、行って来るね?」
「ええ」
洋子先輩は、ノートPCを持って、ブースの方に向かった。
そして曲が終わり、部長の彩さんの指示によって、ブースのマイクのスイッチを入れる。
「いや~さすが、アニソン、いい曲ですね~」
「ちなみにブラックは、このアニメって見ていたのか?」
「ええ、あとドラマ版も見ましたよ、あ、そうそう、そのドラマ版の事なんだけど、この学校内の生徒に、その天空カイザーのドラマに出てた人がいるみたいですね」
「あ~確かに聞いた事あるかも、結構有名な話らしい」
「あれ? 普通の話し方に戻りましたね~」
「やっていて思ったんだが、やっぱり普通に話す事にしたよ、なんかキャラがおかしくなると、自分までおかしくなりそうだし」
「じゃあ、最初からやるなと言いたいですが、そこはあえて言わないでおきましょう」
「いや、声、出てるって……」
「さて、山野辺高校HPの書き込み欄を紹介したいと思います、え~っと何なに……「レッド、イラネ」「レッド出すより、ホワイト希望」「まあ、雑魚キャラみたいだから、けっこうオモロクは感じるけど」とか書かれてますけど、レッドさん、どう思います?」
「いらないと言うなよ!? ざ、雑魚キャラじゃないって! これでも頑張ってるんだぞ!?」
「何に?」
「え? え~っと……ほ、ほら、噛まないで話すとか? ネタを提供とか……?」
「……」
「そこ、黙んないで!お願いだから!」
「あ~と言うわけで、もうお時間となりました、時間が流れるのは早いですね? お相手は、ブラックと」
「……レッドです」
「この二人でお送りしました~では、さようなら~」
「この番組は、放送部の提供でお送りしました」
ラジオが終わったので、マイクのスイッチを切る。
そして、三人がルームの方に戻ってきて、洋子先輩が、マイクのスイッチを入れて、こう言う。
「これで、お昼の放送を終わりにします」
そう言ってから、マイクのスイッチを切った。
「これで、OKっと」
「そうね、じゃあ、放課後に明日の打ち合わせをやりましょう、では、解散」
部長がそう言ったので、僕と亮太は、クラスに戻る事にしたのであった。
昼の放送が終わり、午後の授業になった。午後の授業は体育で、何故か……サッカーをやる事になりました。ちなみに女子は、体育館でバレーらしいです。
僕は、体操着に着替えて、外に集合し、体育の川原芹先生にこう言われました。
「は~い、今日は、女子はバレー、男子はサッカーを行いたいと思います、まずチーム分けをしましょう~」
そう言って、先生が勝手にクラスメイトを分けていく、結果は、僕と亮太は、同じチームになった。
「じゃあ、チーム分けはOkですね? では、ポジションを決めて下さいね~」
そう言ってきたので、僕は小声で亮太に話し掛ける事にした。
「亮太は、ポジションはどうするんです?」
「俺か? そうだなあ……う~ん……DFもいいしFWもやってみたいしな……そういう聖は?」
「僕は、あまり目立ちたくはないので、MFにしとこうかな……と、思います」
「そっか……じゃあ、俺はFWをやるよ」
「わかりました」
こうして、僕のポジションが決まりました。
そして試合開始となり、キックオフの笛が鳴って、試合が始まった。
見ていると、亮太が積極的に動いているのを確認する事が出来た。
まあ、僕は……と言うと、ぼ~っと立っているわけで……出来れば、こっちにボールが来ませんように~と念じていると
「聖!」
亮太からのパスが来ちゃったので、ボールを受け取って、どうしようか……と悩み、近くの味方にパスをしようとしたら、敵のスライディングを食らってしまった。
「うわ!」
つい、そんな声が出てしまって、倒れてしまい、審判がイエロカードを提示した。
なんか……クラスメイトが、僕の方を見て、こう話しかけてきた。
「な、なあ……今の声って……?」
やばい、ばれたか? と思ったので、僕は、手でジェスチャーをして何とか誤魔化す事に、成功する事が出来た。ふ~……危なかったかなあ……と思いながら、試合に集中する事にして、そして時間が過ぎていき、試合終了となった。
結果は、無得点のまま同点で、延長戦やPKをやる時間がないので、そのまま授業が終わる。
体操着から、制服に着替えて、教室に戻り、帰りのHRを聞いて、僕と亮太は、放送室に向かう事にした。
放送室の中に入ると、既に先輩達がいて、僕に話しかけてきた。
「あ、聖君、大丈夫だった?」
「何がです?」
「外でサッカーの試合やってたでしょ? で、聖君スライディングされてたからね、怪我とかしなかった?」
「あ、はい、大丈夫です、ちょっと擦っただけなので」
「そう、ならよかったわ、じゃあ明日の事だけど、明日は、ブラックとホワイトで行こうと思うわ、皆、いいわよね?」
「りょ~かい」
「あ、はい、分かりました」
部長の中田彩さんがそう言ったので、僕と亮太は、了承する事にした。
「それにしても……ホワイトの反響が凄い事になっているわよ?」
「ああ、何で俺の事がぞんざいに扱われてるんだって感じなんだよな……」
西岡洋子先輩と太一先輩がそう言って、僕にノートPCを見せてくれた。
中に写っていたのは、山野辺高校のHPで、そこの放送部のコーナーのBBSに「ホワイトの声を録音して保存したいぜ~」とか「あの声の主を生で聞きたい……」とか「つ~か、ブラックはいいとして、レッドって本当にイラナクネ?」とか「あ、確かに……次はホワイト出る事希望」と書かれている。
「な?」
「あ、はい、本当にそうですね」
「とりあえず、明日の打ち合わせを、二人でしといてね?」
「あ、はい」
「了解です」
そう言って、僕と亮太は、ブースの方に行って、明日の打ち合わせをする事にした。
数十分たって、打ち合わせが終わったので、部長に報告しに行く。
「彩部長、打ち合わせ、終わりました」
「ご苦労様、おっと、もうこんな時間ね? 洋子、お願い」
「は~い」
そう言って、洋子先輩が、マイクのスイッチを入れて、こう話す。
「下校の時刻となりました、皆さん、速やかに下校して下さい、繰り返します、下校の時刻となりました、皆さん、速やかに下校して下さい」
そう言ってから、マイクのスイッチを切る。
「はい、OK~」
「じゃあ、今日はこれで、解散ね? じゃあ、また明日ね」
「お疲れ様でした!」
そう言って、放送部の活動が終わったので、僕は、亮太と一緒に帰る事にした。
帰り道
「聖、今週の休日って暇か?」
「今週の? う~ん……今の所、予定は入れてないけど?」
「じゃあさ、一緒に遊びにいこうぜ?」
「遊びにって何所に?」
「丁度行きたい所があってな……まあ、明日話すよ、それじゃあな?」
「あ、うん、さようなら」
そう言って、亮太は、僕と別れて行く。
行きたい所って何所なんだろう……と思いながら、僕は、家へと帰る事にしたのであった。