~第六十九話~
南京と呼ばれる場所に、修学旅行に来た僕達は、夜の六時まで、自由行動になったので、町の中を見て回る事にしたのでした……
「うーん……何所に行くかだよなー……」
そう言ったのが、亮太で、亮太は、町案内を見ながらそう呟いている。
「聖は、何所に行きたい?」
僕にそう聞いてきたので、僕も町案内を見て
「えっと……じゃあ、この南京タワーと言う所に行ってみたいかもです」
僕がそう言うと、大本君が
「改めて聞くと……すごい声だなあ……天野って」
「え……? あ……」
僕は、いつもと同じ声で、話してしまい、低い声にするのを忘れていた。
「大本……もしかしてさ……気がついたか?」
「ああ、いつもやっている山野辺ラジオで聞こえてくるホワイトの声って、天野だったんだな」
「えっと……」
「大本、聖は一応な? こんな声してるからな……聖がホワイトって事は、一応内緒って事でいいか?」
「別にいいぜ? でも、うちのクラス、大体の連中はホワイトの声って、天野って気がついてると思うぞ?」
「え、そうなんですか?」
「ああ、だって放送部員って、赤井と天野だろ? 赤井はブラックとして解ってるから、ホワイトは天野なんじゃないか?って思っててな? ま……他のクラスの奴は知らないと思うぜ?」
「そうか……なあ聖? 大本がそう言ってるんだから、この修学旅行の間は、地声でいいんじゃないか?」
「…………そうですね、そうする事にします、えっと……大本君、こんな声だけどよろしくね?」
「ああ、それより俺も聖って呼んでいいか? 俺の事も弘樹でいいぜ」
「はい、じゃあ弘樹君って、呼びますね」
弘樹君に僕の秘密がばれちゃったけど、どうやら秘密にしてくれるみたいなので、とりあえず安心した。
三人で相談して、結局南京タワーに行く事にした。
南京タワーは、そんなに遠くなく、歩いていける距離だったので、談笑しながら、歩いていると、話題に上がったのは
「聖って、女子用の服を着ても似合いそうだよな?」
とか言ってきたので、僕は
「そんな事ないと思いますけど……」
「いや、今の見た目、聖って結構可愛い子に見えてるんじゃないか? やたら男子の視線を感じるんだが?」
「あ、俺もそんな感じだな」
「え?」
確かに、よく見渡してみると、他の学校の生徒とか、こっちを見て、何か言っていたりしている見たいだった。
「男装美少女? とか聞こえてくるぞ? おい」
「あ、本当だ……僕、男装とかしてないのに……」
「あー俺もいつもそう思ってるな……聖って女の子じゃないか?ってクラスの奴も言ってたしな?」
「いや、そんな訳ないでしょ? 前にプールの授業とかあったし……」
「まあ、そうなんだよな……」
そう話しながら、数十分後、南京タワーに辿り着く。
拝観料を見てみると、200円とかなり安く
「俺が出してやるよ」
と三人分の拝観料を、弘樹君が出してくれた。
僕は「ありがとう」と言い、中に入って、エレベーター最上階にあがる。
最上階は、ガラス張りになっていて、今日は晴れているので、遠くの景色まで見渡せた。
「おおー結構凄いな」
「うん、本当にいい天気で、遠くまで見えるみたいだね」
「あ、聖? 売店があるみたいだから、ここで先輩達のお土産でも買っていこうぜ?」
亮太がそう言って来たので、僕は
「うん、そうだね」
そう言って、売店で先輩達のお土産を買う事にした。
何にしようかな……と迷い、これなら喜ばれそうかな? と思ったのを、購入し、袋に入れて貰い、売店を出る。
売店を出てから、数分後、亮太も売店から出てきて、僕は
「亮太? 何を購入したんですか?」
「秘密だな、そう言う聖は?」
「僕も秘密にしときますね?」
「そっか」
そう話していると、弘樹君が
「おーい、どうせなら記念に記念写真撮ろうぜ?」
と、手にデジタルカメラを持っていたので、僕と亮太はそれをOKする事にした。
「じゃあ、聖は真ん中な?」
「え? 何で?」
「いいよな? 大本」
「ああ、いいぜ?」
「??」
何で僕が真ん中? と思ったけど、右に弘樹君、左に亮太の三人で、記念写真を取って貰う事にして、弘樹君が「写真お願いします」と男の人に声をかけていた。
男の人は、「はい、チーズ」と言って、カメラのシャッターを押した後、カメラを返す時に「その子可愛いね? 君達のどちらかの彼女かな?」と僕を指さして、言ってきた。
僕はそう言われたので「違います、クラスメイトです」と言うと
「じゃあ、もし良かったらこれ渡すから、いつでも連絡してね? それじゃ」
そう言って、僕に一枚の紙を渡されて、中を見てみると、電話番号とメールアドレスが書かれてあった。
「これって……さっきの男の連絡先?」
「聖の事、女って認識したから、渡したんだろ?」
「俺達と同じ制服着てるのにな……聖の事、女の子って思われたんじゃないか?」
「……だと思う、こんなの貰っても、困るんだけど……」
「じゃあ、捨てちゃえば? どうせかけないんだろ?」
「うん」
「いや、ちょっと待ってろ」
そう言って、弘樹君が紙に書かれてある電話番号を見て、携帯を取り出して
書かれてあった番号をかけるみたいだった。
「弘樹君?」
「し、黙ってろ」
プルルルと着信音がなり、はいと出た瞬間
「あのさー俺、こんなの貰っても困るんですけど? おたく、ホモなの? 何で俺に電話番号とメアド教えたの? 俺の事好きになったからなの? キモ!」
そう言って、電話を切って、電源も切ったみたいだった。
「これでよし」
「えげつねえな……おい」
「うん……でもいいの? あんな事して」
「ちゃんと非通知設定にしたから大丈夫だ、じゃ、そろそろ時間だし、戻ろうぜ?」
「あ、本当だな?じゃあ、聖、戻るか」
「あ、そうだね」
そう言って弘樹君が、貰った紙をゴミ箱に捨てて、六時になりそうだったので、宿泊先のホテルに戻る事にしたのであった。




