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萌えボイスと呼ばないで  作者: 零堵
~一学期編~
7/86

~第六話~

今日も学校があるので、僕は、同じ時間に目を覚ます。

そして、着ている服を脱いで、制服に着替える事にした。

制服に着替え終わり、リビングに向かうと、母親の天野朱莉あまのあかり母さんと父親の天野圭吾あまのけいご父さんが、もう既に食卓についていた。

「おはよう、聖ちゃん」

「聖、寝癖がひどいぞ?」

「え、そう……? ちょっと、鏡見てみるよ」

そう言って、僕は、洗面所に向かい、鏡で自分の姿を見てみる。

僕の髪はショートカットなのだが、毛の先が突っぱねていて、頭にもアホ毛と呼ばれる物が、ちょこんと一本たっていた。なんか、ゲームキャラとかにいそうなキャラの髪型みたい……

僕は、早速髪を水で濡らし、毛先を揃えて、櫛で調整する。数分後、寝癖をバッチリよ直したのを確認した後、朝食を取る事にした。今日の朝食は、焼き魚に味噌汁にごはんの和食テイストな朝食だった。

しかも、かなり美味しいので、つい、おかわりしてしまった。

食べ終わった後、学校に向かうべく、一旦、自分の部屋に戻り、鞄の中に、必要な物を入れて、家を出る事にした。家を出て、通学路を歩いていく。

まだ、時間はたっぷりとあるので、急ぐ事はしなく、ゆっくりとしたペースで行く事に決めて、町の中を眺めながら、歩いていく。前に住んでいた町とは違い、建物がたくさんあって、結構にぎやかな町なんだな……と改めて実感、電柱に張り出されてるポスターを見てみると

「夏に、山野辺祭り開催」と書かれている。そっか……この地域って、お祭りあるのか……楽しみだなあ……と、そう思いながら歩いていると、僕の通っている高校、山野辺高校に辿りついた。

早速、校舎の中に入り、自分の靴を下駄箱の中に入れて、上履きに履き替えて自分のクラスへと向かう。

自分のクラスにたどり着き、自分の席に座り、鞄から必要な物を机の中に入れる作業をしていると

「こんにちは」

そう言って来たのは、同じクラスの女子生徒だった。

え~っと……確か、自己紹介のときに聞いた名前だと、山本里恵やまもとりえさんだった気がする。

僕は、このクラスでいきなり声を出すと、まずいかな……と思うので、ノートを取り出して、こう書いた。

「えっと……山本さんでしたっけ? こんにちは」

「こんにちは、ちょっと聞きたい事あるけどいいかな?」

聞きたい事……はて? 何だろう……? と、思いながら、こう書いていく。

「聞きたい事って、何ですか?」

「お昼にやっているヤマノベラジオの事です、そこに出演しているホワイトさんって、貴方ですよね?」

それを聞いて、僕はちょっと驚いたが、平常心で

「え……っと、何故、僕だと?」

「ノートで会話をしてるからね、だからボクは、君だと確信したのさ、あ、ちなみに、何で知ってるかというとね?」

「言うと……?」

「僕と同じクラスの赤井亮太って知ってるよね? その亮太とボクって、幼馴染なんだ、だから、ラジオで亮太の声が、聞こえたから、本当に驚いたよ、しかもあとで聞いたら、亮太、放送部に入った言ってたしね? そこから推理して、君が、ホワイトなんじゃないかな……と思ったわけ、違うかい?」

……え~っと、……これにどう反応していいのやら……そう思っていると

「ボクの事は、里恵でいいよ? ボクも聖って読んでいいかな……君の秘密は、守るつもりさ」

そう、里恵さんが言ってきたので、僕は、ノートにこう書いた。

「じゃあ、里恵、よろしくお願いします」

そう書いた後、小さい声で

「よく、僕と分かったね」

そう話すと、里恵は

「うわ、近くで聞くと、本当に凄い声だね……亮太が驚くのも分かる気がするよ……確かに、その声でいきなり話したら、みんな、驚くね、うん」

「やっぱり、そうですよね」

「うんうん、今日もヤマノベラジオやるんでしょ? 楽しみにしてるよ、あ、もうすぐ授業が始まるから、ボクは戻るね、じゃあね」

そう言って、里恵さんが僕から離れて行く。そして、チャイムが鳴って、遅刻ぎりぎりになって、亮太がクラスの中に入ってくる。後から、担任の碓井先生が入ってきて、授業が、始まったのであった。

授業内容は、それほど難しくはなかったので、ノートに黒板に書かれた文字を書いていく。

そして、時間が過ぎていき、昼になった。僕は、お弁当を持って、放送室にむかう事にするのだった。

そう言えば……亮太はどうしたのかと気になったので、教室内を見てみると、もう既に教室内にいなく、先に放送室に向かったみたいだった。僕も、教室から出て、放送室に向かったのだった。

放送室の中に入ると、もう既に他のメンバー全員集まっていた。

「あ、聖君、やって来たわね」

そう言ったのは、この放送部の部長の、中田彩さんだった。

「あ、はい、じゃあ、お弁当食べたら、準備します」

「うん、解ったわ」

そう言って、僕は、お弁当箱を開いて、昼食を取る事にした。

「あ、俺も、今日は弁当持ってきたぜ?」

そう言ったのは、亮太だった。

確かに、亮太は、お弁当箱を持っている。

僕は、気になったので、聞いてみる事にした。

「えっと、それって、作ってもらったの?」

「いや、自分で作った」

「え?」

「嘘!?」

「何で、先輩達が驚いているんです?」

「だって……料理上手に見えないし、どっちかと言うと、料理なんか作れないっぽいし」

「西岡先輩……俺って、そんなイメージっすか……」

「うん」

「即答……まあいいですけど」

「亮太って、料理上手なの?」

「ああ、まあな? 親が仕事でいない事が多いから、自分で作るしかないんだよ、だから自然に料理上手になった訳、まあ……いっつも作るのがめんどいから、昼はほとんど購買部で済ましてるけど、今日は自分で作ってきたって訳」

「そうなんだ」

そう話しながら、僕は、亮太の作った料理を少し頂く。

うん、料理上手だと言う事だけあって、結構美味かった。昼食も食べ終わり、僕と亮太は、早速、ブースの方に行く。今日は、僕と亮太がMCをやる日なので、ブースの中に入りマイクのセットをする。

そして、あとはスピーカーからの合図を待つ事にした。

亮太と待っていると、スピーカーから彩部長の声がする。

「聖君、亮太君、準備はOK?」

そう言ってきたので、僕と亮太は、準備OKのサインをした。

そして、再び放送が聞こえる。

「じゃあ、カウントダウン行くわよ、洋子、スタンバイお願い」

「了解」

「じゃあ、行くわよ、5、4、3、2、1、キュー!」

そう彩部長の声が聞こえた後、洋子先輩の声がする。

「これから、お昼の放送を始めます」

そう言ったので、僕と亮太は、マイクのスイッチを入れて、話し出す事にした。



「こんにちは~、今日も始まりました、ヤマノベラジオ~、MCは毎度お馴染みブラックと」


「どうも、ホワイトです、よろしくお願いします」


「いや~いつ聴いても、ホワイトの声は凄いですね? ヤマノベHPの掲示板にも、ホワイトの声が大絶賛です」


「え、えっと……それは、ありがとうと言っておくのがいいのかなあ……」


「とりあえず、最初のコーナーに行きたいと思います、と言っても、いつもと同じく、昼の音楽を流しますね」


「今日の音楽って、やっぱりクラシック?」


「い~や、アイドル曲」


「え……それって、いいの?」


「顧問がOKしたから、いいのじゃあ~では聴いてください、蓮城麗華のミラクル・レイン」


亮太がそう言って、音楽が流れ出す。

流れている間は、マイクのスイッチが入っていないので、雑談する事が可能だった。亮太と話していると、ブースの中にノートPCを持った、西岡洋子先輩が入ってきた。

そして、音楽が終わり、再びマイクで、話し出す。


「いや~いい曲でしたね~さすがアイドルって感じです」


「うんうん、ほんとそう思うよ」


「ところで、ホワイトって、アイドルって好きなのかな?」


「う~ん……どっちかと言うと、好きな方なのかもまあ結構曲とか聴いてるしね? あ、出演したドラマとかも見たりしてるよ」


「なるほどなるほど、さて、次のコーナーに行きたいと思います、さすがにラジオだし、何かやらないと面白くないしね?」


「何かって、一体何を?」


「題して「ホワイトに言ってほしい事、~ホワイト・ボイス~」ひゅーひゅーどんどんパフパフ~、このコーナーは、ホワイトがあまりの人気なので、そんな人気なホワイトにリスナーが考えた言葉を言ってもらおうと言う、まあ、そんな単純なコーナーです」


「ええ~!? 僕が言うの!?」


「うん、だって凄い人気だしさ~あ、ちなみに俺、ブラックに言ってほしい事は? と聞いてみても、一票も入らなかったし……何なんだ!? この差は!?」


「い、いや、切れられても困るし……」


「という訳で、ホワイト、準備はいいかい? まあ、最初なので、ここはブラックがどんな言葉を選ぶか、選ぶぞ~え~っと何がいいかなあ~」


そう言って、ブラックは、洋子先輩が持ってきたノートPCを見て、こう言ってきた。


「じゃあ、これに決まり、リスナーのけいさんの言葉で「朝の目覚まし用ボイスをお願いします、出来れば妹が兄を起こしに行く感じで」さあ、ホワイト、どうぞ~」


「ええ!? いきなり!? う~んと……[おに~ちゃん……朝だよ~?遅刻すると不味いんじゃない? ほら、起きて~?]、こ、こんな感じ?」


「おお! 録音して、毎日聴きたい感じだなあ!」


「そ、それはやめて! 頼むから!恥ずかしいし!」


「とまあ、こんな感じでやっていきたいと思います、あ、もうこんな時間、では、今日のヤマノベラジオは、これで終わりにしたいと思います、ホワイトに言ってほしい事があったら、山野辺高校のHPの掲示板に特設コーナーを作ったから、そこに書き込みをしてね?」


「あ、でも……あんまり激しい内容のは、言いたくないから……そこの所、お願いします」


「では、また明日~」


「この番組は、放送部の提供でお送り致しました」


そう言った後、洋子先輩が、僕達が使っていたマイクで、こう言ってくる。


「これで、お昼の放送を終わりにします」

そう言って、マイクのスイッチを切って、全員で、ルームの方に向かった。

ルームに向かうと、彩部長が

「なかなかよかったわよ、二人とも」

「ありがとうございます、こんな感じにやるって事ですよね」

「まあね、とりあえず明日の放送だけど、明日はブラックとレッドでやりましょう、ホワイトはお休みね」

「解りました」

「じゃあ、亮太、明日の打ち合わせ、放課後にするぞ」

「了解、太一先輩」

「じゃあ、決まりね、次に集まるのは、放課後よ?では、解散」

部長がそう言ったので、僕と亮太は教室に戻る事にした。

聞いた話によると、今日の放送を聴いて山野辺HPのアクセス数が一気にあがった事を同じクラスの里恵さんに聞く事にしたのだった。昼のラジオ放送が終わり、午後の授業となった。

午後の授業は、そんなに難しくはなく、と言っても、簡単な小テストをやる事になった。

その小テストの中身は、中学時代に出された問題で僕は、何とか全ての答えを埋める事に成功する。

でも、合ってるかどうか……ちょっと、不安でもあった。

そして、授業が終わり、放課後、僕と同じクラスの赤井亮太は、放送部員なので

一緒に、放送室へと向かう事にした。

放送室にたどり着くと、もう既に先輩達が集まっていて僕達に話しかけてくる。

「あ、二人とも来たわね? 山野辺高校HPのアクセス数が、かなりあがってるわよ?」

そう言ったのは、部長の中田彩さんだった。

「あ、そうですか?」

「俺の事は、なんて書いてあります?」

「ブラックの事だけど、あんまり無いわね~ホワイトの事ばっかりよ?」

そう言って、部員の西岡洋子先輩が

僕達にノートPCを見せてくれた。

山野辺高校HPを覗いて見ると、書き込み欄に

「ホワイト最高」とか「ブラック、いらねえ~」とか、書かれている。

「とりあえず、人気が出てるって事なのかな……」

「俺の事、あんまり書かれていないな……ホワイトばっかり……」

「まあ、落ち込むなよ……確かにホワイトが人気みたいだけど、俺達の書き込みも、少しはあるみたいだぜ?」

そう言ったのは、西岡太一先輩だった。

「太一先輩、ありがとうございます」

「亮太、明日の打ち合わせをするぞ、明日は俺とお前で、ラジオをやる事になったからな?」

「はい、了解です」

そう言って、太一先輩と亮太は、ブースの方で、打ち合わせをするべく

ルームから、離れて行く。

「聖君、明日の昼に流す曲を選ぼうと思うのだけど、聖君はどういった曲がいい? とりあえず、候補がクラシック、アイドル曲、アニソンって感じだけど?」

「先輩達は、どれを選んだんですか?」

「私は、アニソンね、彩は?」

「う~ん……今日は、アイドル曲を流したけど、クラシックと言うのも面白みが無いし……私もアニソンにしとこうかしら? 聖君は?」

「僕ですか? そうですね……じゃあ、先輩達が言うように、アニソンでいいです」

「じゃあ、決まりね?」

そう話していると、顧問の朝崎先生が、放送室に入ってきた。

「うん、皆、集まっているな? ちなみに、職員室でもこのラジオ放送、結構好評だぞ」

「あ、そうなんですか、苦情とかは?」

「いや、今の所は、そういったのはないな」

「そうですか、翠先生、明日流す曲を決めたんですけど、アニソンでOKですか?」

「私はOKだぞ? 何なら、色々持ってるから持ってこようか?」

「色々持ってるんですか……」

「ああ、ファンと言うまではいかないが、結構アニメとか見るほうだしな、そのゲームが面白かったら、結構買ってるし、だから私は、許可するぞ」

「ありがとうございます」

そう話していると、太一先輩と亮太が、ルームに戻ってきた。

「とりあえず明日の打ち合わせは終わったぞ」

「そう、あ、もうこんな時間ね?洋子、お願い」

「は~い」

そう言って、洋子先輩は、マイクのスイッチを入れて、こう話す。

「下校の時刻となりました。皆様、速やかに下校して下さい、繰り返します、下校の時刻となりました。皆様、速やかに下校して下さい」

そういった後、マイクのスイッチを切る。

「これでOK」

「よし、とりあえず決まったし、今日はもう解散しましょう、では、解散」

彩部長がそう言ったので

放送部の活動を終わりにしたのだった。

僕は、途中まで、帰り道が同じなので、亮太と一緒に帰る事にした。

帰る途中

「聖、明日もがんばろうな?」

「うん、そうだね」

「じゃあ、俺、こっちだから、じゃあな」

「さようなら~」

そう言って、亮太と別れる。

僕は、寄り道する事もしなく、買い食いもする事は無く、真っ直ぐ家に、帰る事にしたのであった。


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