~第六十五話~
目が覚めて、ちょっと肌寒く感じたけど……起きる事に成功した僕は、顔を洗う為に部屋から移動して、洗面所に辿り着く。
鏡で自分の姿を確認してみると、そこに写っているのは……美少女だった。
いや……美少女と言っても、僕は男なので、かなりの女顔なんだと思う。
髪もすっかりとに伸びていて、男にほとんど見えている状態ではなかった。
とりあえず……顔を洗ってから、寝癖で髪が少し跳ねているので、それを櫛で、整えてから、黒のヘアゴムで、髪を纏めて、ポニーテール姿にする。
その作業が終わった後、リビングに行くと圭吾父さんは、テレビを付けて、ニュース番組を鑑賞していて、朱莉母さんは、テーブルの上に朝食を並べていた。
僕は、そんな両親に
「おはよう、お父さん、お母さん」
そう言ってから、椅子に座る。
「お、おはよう、聖」
「聖ちゃん、おはようー」
そう挨拶してきて、僕は出されている朝食のメニューを見てみる。
メニューは、納豆に冷奴、味噌汁に焼き魚なので、朝食セットって感じの朝食だった。
「頂きます」
そう言って、朝食を取っていると、テレビの音声から
「貴方に会えた喜び……、私も夢を適える事が出来ました……、蓮城麗華ニューシングル「天使の輪廻曲」夢は、きっと叶う……」
そんな声が聞こえてきて、驚いてしまった。
それを聞いたからか、朱莉母さんが
「聖ちゃん……今のって」
「ああ、朱莉、今流れたのは、前に聖が録ったコマーシャルメッセージだぞ」
「あら、そうなのね? うん、なかなかいい感じじゃない?」
「だろ? 今日から、テレビコマーシャルとして、使われる事になったからな、うんうん、聞けてよかった、で、どうだ? 聖、自分の声が、テレビから流れた感想は」
「いきなりだから、驚いたよ……でも……ちょっと嬉しいかな」
「そっか、それはよかった」
「また何かあったら、手伝ってみては? 聖ちゃん、私……もっと、聞きたいしね~?」
「あ……うん、一応考えてはみるよ……」
そう言った後、朝食を食べ終わり、自分の部屋に戻る。
部屋に戻ってから、学校があるので、山野辺高校の制服に着替える事にした。
着替え終わった後、鞄の中身を確認してから、低い声の発声練習をする。
また、低い声が出なくなると困るので、低い声の発声練習をした後、自分の部屋を出る。
部屋を出て、玄関に向かうと、朱莉母さんがやってきて
「はい、今日のお弁当」
と言って、僕にお弁当箱を渡してきた。
「ありがとう、おかあさん」
「今日は、揚げ物中心にしてみたから、楽しみにね? それじゃあ、行ってらっしゃい」
「うん、じゃあ、行ってきます」
そう言って、家を出る。
外の天気は曇っていて、けど風が無風状態なので、寒くはなかった。
通学路を歩いていき、山野辺高校に辿り着く。
自分のクラスの中に入り、自分の席に着いて、鞄の中身を机の中に入れる事にした。
入れ終わった後、ぼーっとしていると、チャイムが鳴って担任の碓井先生が入って来て、こう言って来た。
「みんな、おはよう……今日の帰りに修学旅行の班を決めたいと思う、連絡事項はそれぐらいだな、出席を取った後、授業を始めたいと思う、では、委員長、出席を取ってくれ」
「はい」
委員長がそう言って、出席を取った後、授業が始まった。
授業中、僕は誰と組む事になるのかな……と、そう思っていた。
授業内容は、国語の文章の読みと、漢字の書き取りを行う事になった。
難しい漢字とか、出題されたので、それを解答欄に埋めていき、何とか全て埋める事が出来た。
文章の読みは、先生が指名して、読むと言う物で、出来れば、僕の番に回ってきませんように……と思っていたら、願いが通じたのか、僕の番になる前に、時間が来て、授業が終わった。
お昼の時間になったので、僕はお弁当箱を持って、同じクラスの亮太と一緒に、放送室に向かう事にした。
放送室に辿り着き、中に入ると、既に先輩達がいて、お弁当を食べていたので僕達もお弁当にする事にした。
朱莉母さんが、「今日は、揚げ物中心よ」と言っていたので、中身を見て見ると、コロッケとか確かに揚げ物中心のおかずだった。
下にご飯が敷き詰められていて、コロッケにソースで、器用に星型になっていた。
「あ、凄いわねーハートなら解るけど、星型よね? それ」
そう言ったのは、部長の彩部長で、僕のお弁当箱の中身を見て、呟いたみたいだった。
「はい、確かに凄いかもです」
「旨そうだな……聖、ちょっと貰っていいか?」
「太一、まだ食べるの?」
「別にいいだろ? な、どうだ?」
「あ、はい、ちょっとなら構いませんよ」
そう言って、太一先輩に揚げ物を少し、分ける事にした。
味に関しては、味付けがいいからか、結構美味しく、あっという間に食べ終わってしまった。
食べ終わった後、部長の彩さんが
「聖君、今日のラジオ当番は、洋子とだから、お願いね」
「あ、はい、解りました」
「はいはーい、じゃあ、行きましょう」
「はい」
そう言って、僕と洋子先輩は、ブースの方に行く。
ブースの中に入り、マイクの調整をして、待っていると、洋子先輩が、OKサインを出したので、それを見た彩部長が、機械をいじって、こう言って来た。
「これから、お昼の放送を始めます」
そうスピーカーから聞こえてきて、マイクのスイッチが入ったので、今日のラジオ放送を始めるのだった。
「はーい、こんにちは、今日も始まりました、山野辺ラジオ、今日のMCは、魅惑のお姉さん、ブルーと」
「はい、えっと……真っ白な色のホワイトです」
「私がメインで出るなんて……結構久しぶりな感じじゃないかしら? しかもホワイトちゃんと一緒にね?」
「あ、確かに……そうですね、結構前に、一回出たって感じじゃないですか?」
「うんうん、で……ホワイトちゃん? 何か変わった事はあったかしら?」
「か、変わった事? そうですね……あ、そう言えば、父の職場見学をしたって事ぐらいですかね?」
「ほほう、職場見学ね? それはどういったお仕事で?」
「えっと……これ言っていいのかな?」
「いいわよ? 私が許可するわ、さあ、ぶちまけちゃいなさい」
「僕の父って、芸能関係の仕事をしているんですよ、その仕事場を見学したんです」
「ほほう、じゃあ、芸能人とかに会ったりした?」
「そうですね、アイドルの蓮城麗華さんに会いました、彼女、なかなかいい人でしたよ」
「そうなんだ……うーん……」
「何ですか? ブルー」
「いやね? アイドルの麗華とホワイトちゃん、一緒にアイドル活動しても不思議じゃないわね……って思ったのよ、ホワイトちゃん、アイドル活動似合うと思うわ」
「そんな事言われても……」
「ま、また後で詳しく聞くとして、では、毎度お馴染みの音楽を流したいと思うわ、で、今日の流す曲だけど…………うん、これに決めたわ」
「ブルー……勝手に決めていいの?」
「私が聞きたいからこれにするのよ、では、天空カイザーの曲で「天使の飛翔」です、どうぞー」
そう洋子先輩が言って、音楽が流れる。
その間に、ミニパソを持った亮太が、ブースの中に入ってきた。
数分間の音楽が流れて、マイクで再び話し出す。
「今回流した曲は、アニメ、天空カイザーで使われた、天使の飛翔って曲よ?」
「この曲……ブルーさんは好きなんですか?」
「ええ、アニメソングの割には、熱気が篭ってるしね? それに天空カイザーって、アニメにもなったり、特撮ドラマにもなった作品でもあるから、結構人気なのよ、ホワイトちゃんは、映画とか見に行ったかしら?」
「あ、はい、前に見に行きましたよ? 結構面白かったです」
「でしょ? また新作出ると思うし、それは見てみたいかもね……さー今日はホワイトちゃんがいるので、「ホワイトちゃんに言って欲しい事」をやりましょうか……えーっと……、うん、これにしましょう、HNみっふぃーさんから「ブルーがいるので、ブルーとホワイトの百合っぽい台詞を希望」と書かれてあるわね? うん、じゃあ行くわよ?」
「え……ブ、ブルー?」
「台詞が書かれてないから、アドリブで行くわ、3・2・1・キュー……手紙を受け取ったわね? 来てくれてありがとう」
「え? う、うん……何の用なんだろ?って思って……来ちゃいました……」
「単刀直入に言うわね? 実は……私、貴女の事好きなのよ」
「ええ! いきなり!?」
「手紙を受け取ったからには、Okて事よね? 嬉しいわ、同じ同姓同士だけど、思いは通じたって事よね?貴女の仕草や顔、全て私の好みなのよ、だから私達、付き合いましょう」
「それって、断っちゃ……駄目ですか?」
「駄目よ、これは決定事項なのよ。大丈夫、きっと旨くいくと思うわ」
「……じゃ、じゃあ……」
「………はい、しゅーりょうーーー!! さて、ホワイトちゃん、どうだった? おや? ちょっと顔が赤いわよ?」
「そんな事言われたら、赤くもなりますよ……」
「うわーー可愛い反応だわねーお姉さん、ホワイトちゃんに萌えてきちゃったかも……」
「反応に困る台詞、やめて下さいよ……」
「と、今日はここまでにしときましょうかね? お相手は、クールな知的なお姉さん、ブルーと」
「えっと……純白な色のホワイトです」
「以上でお送りしました、この番組は、放送戦隊ヤマノレンジャーの提供で、お送りしました」
そう洋子先輩が言って、ラジオが終わったので
三人で、ルームに戻ってから、彩部長が
「洋子、お願いね?」
と言い、洋子先輩が
「はいはーい」
そう言って、機械を弄り、マイクでこう話す。
「これで、お昼の放送を終わりにします」
そう言ってから、スイッチを切る。
「これで、OKよ」
「じゃあ、次は放課後に集まるわよ? では、解散」
彩部長がそう言ったので、僕と亮太は、自分のクラスに戻り、午後の授業に専念する事にしたのだった。
午後の授業は、美術の授業だった。
美術室に向かって、美術の先生が「今日は、人物画のデッサンをします、誰か一人がモデルになって、それを皆さんで描いて下さい」と言ったので、モデルに選ばれたのは、このクラスの委員長、中本愛里さんだった。
「じゃあ、モデルが決まったので、皆で描きましょう」
先生がそう言うので、中本さんが、ポーズを取る。
それを皆でスケッチしていく。
委員長……一体何のポーズしてるんだろ? 両手をバンザイしてまま固まってるから、あの格好、凄く辛いんじゃないかな……?って思うんだけど
よく観察していると、委員長の表情が、最初は笑顔だったけど、少しずつ渋っていくのが見て、解った。
とりあえず僕は、見たままスケッチしていき、何とか完成させる事ができた。
僕が完成した頃には、委員長はすっかりと笑顔じゃなく、疲れた表情をしていた。
「はい、そこまで、では皆さん、出来た絵を先生に見せて下さい」
と言うので、僕は出来た絵を先生に見せる。
すると、先生が
「天野君は、絵が上手みたいですね? 結構いい作品に仕上っていますよ」
と誉めてくれた。
ちなみに、亮太は
「これは酷いです……もうちょっと頑張りましょう」
と言われていた。
うん……亮太……一体どんな風に描いたんだろ?って気になってしまった。
美術の授業が終わり、教室に戻って、帰りのHRになった。
担任の碓井先生が入ってきて、こう言って来た。
「では、帰りのHRをはじめる、早速だが、修学旅行の班を決めたいと思う、委員長、手伝ってくれ」
「はい、解りました」
と、さっきモデルをやった、委員長が手伝うみたいだった。
「では、籤で班を決めたいと思います、一グループは四人構成になっているので、皆、順番に籤を引いてってね? 同じ番号同士になったら、その者と組む事で決まりです」
どうやら、班は、籤で決めるみたいだった。
僕の番になったので、籤を引いて、番号を確かめてみる。
僕が引いた番号は「3」で、僕と同じ番号の人を探してみると、同じだったのは、亮太と衛君、それと一度も話した事のない大本君だった。
僕は、大本君に
「同じ班ですね、よろしくね?」
そう言ってみると、大本君が
「ああ、よろしく」
にこやかに言って来た。
うん、なんか……嫌われてないみたいでほっとした。
「俺もよろしくな? 聖」
「聖、一緒になれて良かった……」
亮太と衛君がそう言ってきた。
なんか……衛君が凄いよろこんでいるのは、気のせいと思いたいんだけど……班が決まったので、碓井先生が
「修学旅行も近いけど、明日は平常どおりの授業となっている、では、解散」
そう言ったので、帰りのHRが終わった。
僕と亮太は、部活なので、一緒に放送室に向かう事にした。
放送室の中に入ると、既に先輩達が集まっていた。
「あ、二人とも来たわね?」
そう言ったのは、部長の中田彩さんで
「聖君と亮太君、修学旅行って聞いたんだけど、何所に行くか決まったの?」
そう言ったのは、双子の西岡洋子先輩だった。
「あ、はい、南京って言う所に決まりました」
「南京ね……何か有名なのってあったっけ? 彩」
「さあ?私達の修学旅行、南京には行った事なかったからね……何があるか、解らないわ」
「せっかくの修学旅行なんだ、楽しんでこいよ?」
「あ、はい、楽しんできます」
「あ、出来ればでいいけど、お土産よろしくね? ほんと、出来ればでいいんだけどね?」
「彩……それって、催促しているようなものよ?」
「あ、ばれた?」
「別にいいっすよ? な? 聖」
「うん、先輩達にお土産買って来ますね?」
「ありがとーいいのを期待してるわよ?さて、話もまとまった事だし、明日のラジオの当番だけど……、明日は亮太君と太一にお願いするわ」
「了解っす」
「解った」
「じゃあ、今日はここまでにしときましょう? 洋子、いつものお願いね?」
「はいはーい」
そう言って、洋子先輩が機械を弄って、スイッチを入れる。
「下校の時刻となりました、皆様速やかに下校して下さい、繰り返します、下校の時刻となりました、皆様、速やかに下校して下さい」
と言ってから、スイッチを切る。
「これで、Okよ?」
「では、今日の活動はこれまで、じゃあ、解散」
そう彩部長が言ったので
「お疲れ様でした」と言って、亮太と一緒に帰る事にした。
帰る途中、僕は亮太に
「亮太、大本君ってどんな人か知ってる?」
と聞いてみると
「そうだな、大本弘樹サッカー部で、結構頑張ってるみたいだぞ? 爽やかな青年って感じだな? そんなんだから、女子からの人気も高いそうだ、ま、今の所、彼女がいるとか聞いた事がないから、よく解らないけどな?」
「そうなんだ……爽やかな青年ね……」
「何だ? 興味出てきたのか?」
「うん、ちょっと……でも、僕のこの声じゃ、きっと変に思われるよね?」
「まあ……聖は独特だしなあ……でも少なくとも嫌ってはいないと思うぞ?」
「……うん、話した感じ、そうかも知れないかな?って思ったよ」
「ああ」
そう話しながら、亮太と別れて、僕は、自分の家に戻る事にしたのだった。




