~第五十八話~
学園祭が終わって、平日になり、今日から学校があるので、僕は、朝早くに起きて、顔を洗う事にした。
洗面所に向かい、鏡で自分の姿を確認してみると、左右に髪の毛が跳ねていて寝癖がついていた。
それをブラシで整えて、顔を洗い、朝食を取る為、リビングに向かうと、新聞を読んでいる圭吾父さんと
テーブルの上に、朝食を並べている朱莉母さんの姿があった。
僕は、そんな両親に向かって
「おはよう、お父さん、お母さん」
そう言うと
「おはよう、聖、うんうん、今日も可愛いな」
「おはよう~聖ちゃん、今日の朝食はちょっと自信作よ?」
圭吾父さんに可愛いと言われても、あまりうれしくはないんだけど……?
僕は、とりあえず椅子に座り、出されている朝食を見てみる。
出されている朝食は、なんと言うか……寿司だった。
いや、朝から寿司って……変じゃないかな……と思うのだけど、チラシ寿司とかではなく、本格的な寿司で、寿司屋さんで注文したら、結構高そうな食材ばかりだった。
「おかあさん、これ一体どうしたの?」
「実はね? 圭吾さんが用意してくれたのよ」
「ああ、実はな? 仕事先で、大量に貰ってしまってな? 昨日、帰ったから食べてみたのだが……それでも減らなくてな?だから、今日の朝に出して貰ったんだ、さ、頂こうか?」
「いっぱい食べていいわよ? まだまだ沢山あるからね?」
そう言われてもなあ……と思いながら、とりあえず出されている物を食べ尽くす事にした。
数分後、結構な量を食べて、お腹いっぱいになってしまい
「僕、もう無理……」
そう言うと、朱莉母さんが
「あら、そう? まだ残ってるのに……もう食べられない?」
「う、うん……もう無理」
「そう、じゃあ残りは、お弁当にいれてあげるわね?」
「う、うん……そうして? あ、でもお昼は別の物入れてくれない? 今食べたものじゃなくて」
「解ったわ、じゃあ入れてくるわね?」
そう言って、朱莉母さんは、台所の方に向かった。
その間に僕は、自分の部屋に戻り、着ている服を脱いで、学校の制服に着替える。
着替え終わった後、鞄の中身を確認してから、自分の部屋を出ると、朱莉母さんがやって来て
「はい、お弁当箱」
そう言って、大きめのお弁当箱を僕に渡してきた。
「ありがと、お母さん」
「じゃあ、行ってらっしゃい、気をつけるのよ?」
「うん
朱莉母さんにそう言ってから、僕は外に出て、通学路を歩く事にした。
通学路を歩いていると、やたら視線を感じた。
一体何なんだろ……と思っていると
「お……もしかして、聖か?」
僕に声をかけてきたのは、同じクラスで同じ部活仲間の亮太だった。
僕は外なので、低い声で亮太に話し掛ける事にした。
「おはようございます、亮太」
「お、おお……」
「ん? どうかしたの? 亮太」
「聖、見た目……男装してる美少女に見えるぞ?」
「え ?あ……」
僕は、なんでジロジロ見られるか解った。
いつも、黒のヘアゴムでポニーテール姿にしているのだけれど、今日は忘れてしまって、そのままの状態だと言う事に気がついて、だからやたら視線を感じるのだと思ってしまった。
しかもぼつぼつと聞こえるのが「あの子、可愛くね?」とか「隣の奴、彼氏か?」とか「でも、なんか男子用の制服着てね? もしかして、男装か?」とか聞こえてくる。
男装って……あの男の人達には、僕の姿……男装に見えるって事なのかな……?
「いつも、ポニーテール姿だったろ? 今日はどうしたんだ?」
「わ、忘れちゃって……やっぱり、戻った方がいいかな?」
「今から戻るとなると、完全に遅刻しないか?」
「う……」
確かに、今から家に戻って、再び学校に行こうとすると、思いっきり遅刻になってしまうのだった。
「今日一日ぐらい、そのままの姿でいいんじゃないか?」
「う~ん……まあ、亮太がそう言うなら……うん、今日一日は、この格好ですごしてみる」
「じゃ、遅刻すると不味いし、とりあえず行こうぜ?」
「うん」
こうして、一緒に登校する事にして、僕の通っている高校
山野辺高校に辿り着いた。
校舎の中に入っても、やたら視線を感じると言うか……
思いっきりジロジロ見られている気配を感じた。
ま、まあ気にしない事にして、亮太と一緒に自分のクラスの中に入ると、クラスメイトの視線を集めてしまい、ちょっととまどってしまった。
とりあえず話しかけられないように、素早く自分の席に着いて、鞄の中身を入れて、直ぐにうつ伏せになり、寝たふりを決め込む事にした。
僕がそうしたからか、クラスメイトから話しかけられる事もなく、時間が過ぎていって、チャイムがなって、担任の碓井先生がやって来て、こう言って来た。
「皆、おはよう、学園祭も終わって、今日から通常授業になるぞ、で、連絡だが……次のイベントは、近いうちに一年の修学旅行を予定しているぞ? では、出席を取りたいと思う」
そう言って、先生がクラスメイトの出席を取っていき、僕の名前が呼ばれて
「天野」
「はい」
低い声でそう言うと碓井先生がなんかじ~っと数秒凝視した後、直ぐに目線を逸らして、他のクラスメイトを呼んだ。
うん、一体何だったんだろ? と思ったけど、気にしない事にした。
出席を取り終わった後、普通の授業が始まり
僕は黒板の文字をノートに書き写す作業に集中する事にした。
あっという間に時間が過ぎて、お昼の時間になったので、僕と亮太は、必要な物を持って、放送室へ向かう事にした。
放送室に辿りつき、放送室の中に入ると、既に先輩達が集まっていて、僕の姿を見た後
「えっと……もしかして、聖君?」
部長の中田彩さんが言うので
「はい、そうですけど……」
「そっか、いつもと髪型違うから、全く別人に見えるわよ?」
「ほんとそうだよね? ね? 太一」
「あ、ああ……なんか、すげ~可愛い子に見えるんだけど……」
「うん、私もそう見えるわ」
「聖君、それって狙ってやったの?」
「いえ、たまたまですよ……ただ髪を纏めるの忘れちゃって」
「そうだったんだ……まあいいわ、今日は私と聖君の番だから、放送は洋子、お願いね?」
「は~い、了解」
「じゃあ、早速お昼ごはん食べましょう?」
彩部長がそう言ったので、皆揃って、お昼ご飯にした。
先輩達も亮太も、僕が散し寿司を持って来た事に驚いていて「少し、貰っていいかな?」と言ってきたので、お裾分けしながら、全部食べ終わり、僕と綾さんは、ブースの方に向かう事にした。
ブースに辿りついて、マイクの調整した後
彩部長が洋子先輩に合図を送って、スピーカーから洋子先輩の声が聞こえてきた。
「これから、お昼の放送を始めます」
こうして、僕と彩部長の、今日のラジオ放送が始まったのでした。
今日のラジオ放送は、僕と彩部長の二人で、行う事になったのでした。
「今日も始まりました、ヤマノベラジオ、今日の司会はいつもと違い、私、イエローと」
「はい、ホワイトです」
「以上の二人でお送りします、ちなみに私の事、覚えている人、どのぐらいいるんでしょうね?」
「さあ……でも、かなり久しぶりではないですか?イエローさんは」
「ええ、おもいっきり、登場回数が少ないですからね、さて、とりあえず……ホワイトちゃん」
「はい?」
「学園祭が終わったけど、何か印象に残った事って、あったりする?」
「う~ん……やっぱり、演劇部の劇ですかね? それが印象に残ったって感じです、そう言うイエローさんは、どうですか?」
「私はつまらなかったわ、もうちょっと面白いことがあったらって思ったわね」
「そ、そうですか」
「じゃあ、この話は置いといて、早速いつもの音楽を流しましょうかね?」
「イエローさん、今日の流す曲は?」
「もち、アニソン! これは譲れないわね! では、聞いて下さい、「乙女大戦」」
彩部長がそう言って、スピーカーから音楽が流れ出す。
その間は、マイクを切っていて、その間にミニパソを持った太一先輩が、ブースの中に入ってきた。
数分後、曲が終わったので、再びマイクで話し出す。
「うんうん、やっぱりいい曲ですね」
「ちなみにイエローさん、この「乙女大戦」って?」
「この曲はね? アニメ、「フラワー大戦」で使われた、マニアにはたまらない一曲なのよ、しかも踊りまであるから、その踊りを集まって踊っている動画だってあるのよ」
「へ~そうなんですか……あ、ちなみにイエローさんは踊れるんですか?」
「もちろんよ、振り付けを最後まで完璧にマスターしてるわ! あ、ホワイトちゃんも教えてほしかったら、遠慮なく言うといいわよ?」
「え、遠慮しときます……」
「そう? まあいいわ、ではこのコーナーに行きたいと思います、題して「ホワイトちゃんに言って欲しい事」~、このコーナーは、この番組のマスコットアイドル、ホワイトちゃんに言って欲しい事をリスナーの皆から集めて、実際に言って貰おうというコーナーです」
「ちょ、イエローさん、いつから僕がマスコットアイドルに!?」
「まあまあ、ではえ~っと何々? HNミールクミルクさんから「幼馴染がツンデレ風に家に迎えてくる感じ」って書かれているわね? では、どぞ~」
「ええ!?じゃ、じゃあ……「ほら、来てやったわよ? 何もたもたしてんの?早く行きましょう?何で来たのかって? べ、別にいいでしょ!」……こんな感じ?」
「…………」
「ちょ、イエローさん、顔、顔赤いですよ!?」
「っは、凄い破壊力ね……」
「そうですか……」
「じゃあ、次に行きたいと思います、う~ん……あ、これにしよっと、HN這いよりますさんから「コンビニ店員風に接客を優しく言う感じで」って書かれてありますね、では、どぞ~」
「ええ? こ、こうかな……「いらっしゃいませ、全部で1000円になります、あ、お弁当は温めますか? お買い上げ、ありがとうございました」……こんな感じですかね?」
「……儲かるわね」
「何がです!?」
「いや、こっちの事だから、気にしないでね? え~と……もう一個行きたい所だけど、今日はここまでとしときましょう、お相手は、信号機だと注意な色の、イエローと」
「えっと、無色透明のホワイトです」
「以上でお送りしました、この番組は、放送戦隊ヤマノレンジャーの提供で、お送りしました」
そういった後、マイクのスイッチを切って、ルームの方に向かい、彩部長が洋子先輩に
「洋子、お願い」って言って
洋子先輩が「はいは~い」と言って、スイッチを入れてこう話す。
「これで、お昼の放送を、終わりにします」
そう言ったあと、スイッチを切り
「これで、Ok」
「じゃあ、次は放課後ね? では、解散」
彩部長がそう言ったので、僕と亮太は、一緒に教室へと、戻る事にして、午後の授業を受けるのでした。
午後の授業の時間になり、午後の授業内容は、国語の文章
問題の解読という作業だった。
クラスメイトが、先生に「はい、ここからここまで、読んでくれ」と言われたので、教科書の文章を読んで行く。
その間、僕に当てられませように……と、願っていたら、結局僕が文章を読む事はなく、安心した。
そして、時間が過ぎていって、放課後になったので
僕と亮太は、帰りの支度をしてから、教室を出て行く。
教室を出て、真っ直ぐ放送室に向かい、放送室の中に入ると、珍しく、顧問の朝崎翠先生がいて、携帯ゲームで遊んでいた。
その相手をしているのは、同じく携帯ゲームで、一緒に遊んでいる、この放送部の部長、中田彩さんで、どうやら……一緒に協力プレイをしているみたいだった。
「彩、もうちょっとでレベルがあがるんだが……そっちはどうだ?」
「こっちもです、あと二回戦えば、レベルアップしますよ?」
「お、そうか……なら、どんどん戦って行こう」
そう言って、プレイに集中しているみたいだった。
うん……学校にゲーム持ってきて、遊ぶとかいいのかな……? と思っていると
「聖君、何か言いたそうね?」
と、双子の西岡洋子先輩が、そう言ってきた。
「はい、あの……一緒にゲームとかいいんですかね?」
「まあね……でも、率先して翠先生が「一緒にやろうぜ?」とか言ったのよね……顧問みずから、やってるんだから、いいんじゃない?」
「そんなもんですか?」
「ええ、あ、そう言えば、聖君、今週の休日って暇かな?」
「今週の休日ですか?」
「ええ、で、暇かな?」
「えっと……何も予定は入れてないので、暇と言われれば、暇ですけど?」
「じゃあさ、放送部員全員で、遊びに行かない? 亮太君も、OKかしら?」
「俺ですか? まあ、店の手伝いを言われなければ、Okですけど」
「じゃあ、それ以外だったら、予定はないのね?」
「はい」
「じゃあ、二人ともOKって事でいい?」
洋子先輩が、そう聞いてきたので
「あ、はい、OKです」
「俺も、Okです」
そう言うと、太一先輩が
「じゃあ、決まりだな? でな? 遊びに行こうと思ってるのは、YAMAーSにしようと思ってるんだ」
「YAMA-Sですか?」
「ああ、あそこは総合施設だからな? じっくり遊べると思うんだ」
「そうですね、俺はOkです、聖は?」
「僕も、Okです」
「じゃあ、決まりだな? 今週の休日に、放送部員全員で、YAMA-Sだな」
「はい」
そう話していると、ゲームを終えたのか、彩部長が
「どうやら、決まったみたいね? もちろん、私も行くわよ? あ、先生はどうします?」
「何を言ってるんだ、もちろん行くに決まってるじゃないか、何か問題か?」
「いいえ、問題ではないですけど……あまり、目立った行動を起こさないでくださいよ?」
「何を言ってるんだ? 彩……そんな目立つ行動なんか、起こさないぞ」
「はあ……まあいいですけど、じゃあ、明日のヤマノベラジオの担当だけど……明日は洋子と太一で、お願いするわ」
「了解~」
「ああ、解った」
「じゃあ、洋子、いつものよろしくね?」
「はいは~い」
そう言って、洋子先輩が、マイクのスイッチを入れて、こう話す
「下校の時刻となりました、皆様、速やかに下校して下さい、繰り返します、下校の時刻となりました、皆様、速やかに下校して下さい」
そう言ってから、マイクのスイッチを切って
「はい、OK」
「じゃあ、今日はこれで、解散ね? あ、翠先生、あとでアイテムトレード、お願いしてもいいですか?」
「ああ、OKだ、丁度レアアイテム、ダブったからな? お裾分けしてやろう」
二人が、そう話しているので、僕と亮太は「お疲れ様でした」と言って
一緒に帰る事にした。
帰る途中、亮太が
「なあ……聖は、YAMAーSに行った事あるのか?」
「そうですね、朱莉母さんと、夏休みに行きましたね、そう言う亮太は、どうなんですか?」
「俺は、妹と一緒に行ったかな、まあ、いろいろとやったな」
「そうなんですか、そう言われたら、ちょっと楽しみかもです」
そう話しながら、亮太と別れて、家に戻ったのでした。




