~第五十五話~
次の日になり、僕はいつもと同じ時間に起きた。
起きてから、窓の外を見てみると、雲ひとつない快晴で、風もあんまりふいてないので、いい天気みたいだった。
起きてから、部屋の外に出て、洗面所に向かい、顔を洗う事にした。
顔を洗った後、鏡で自分の姿を確認してみると、すっかりと髪が伸びきった僕の姿が写りこんでおり、もう何と言うか……顔立ちからして、美少女っぽく見えていた。
「やっぱりこの声だと、今の姿があってるのかな……」
僕の声は相変わらず他人に聞かれたら「美少女ボイス!」とか言われるほどのアニメ声なので、他人に話しかける時は、低い声で話しかけようと思い、櫛で髪を整えて、黒のヘアゴムで、後ろ髪を縛り、ポニーテール姿にする事にした。
ポニーテールにした後、リビングに向かうと、テーブルの上に、朝食を用意している朱莉母さんと、椅子に座って新聞を読んでいる、圭吾父さんがいた。
「おはよう」
と、声をかけてから、椅子に座り、出されている朝食を見てみる。
朝食は、海苔に焼き魚、味噌汁にご飯の、朝食定食みたいなメニューだった。
「おはよう聖ちゃん」
「聖、おはよう、今日も似合ってるなあ」
「……お父さん、男の僕に言う事じゃないと思うんだけど?」
「いやいや、今の聖の声にその姿は本当に似合ってるぞ? 聖、もしかして男にもてるんじゃないのか?」
「そうかも知れないわね? そこのところどうなっているの? 聖ちゃん」
「えっと……一度だけ……告白されたけど……」
「あら、そうなの? じゃあ、その人と付き合う事にするの?」
「そんな訳ないよ」
「そう」
そう言ってから、朝食を取る。
味に関しては、結構美味しく、あっという間に食べ終わって、今日も学校があるので、自分の部屋に戻り、僕の通っている高校、山野辺高校の制服に着替える事にした。
制服に着替え終わった後、鞄の中身を確認してから
「行ってきます」
家族にそう言って、外に出る。
外に出て、通学路を歩いていると
「よ、おはよう、聖」
僕に話しかけてきたのは、同じクラスで同じ部活仲間の、赤井亮太だった。
僕は外なので、なるべく低い声で、話しかける事にした。
「おはよう」
「聖、今日は授業、午前中だけだったよな? 確か」
「うん、先生がそう言ってたから、そうなんじゃないかな?」
「だよな? じゃあ、授業が終わったら、声かけるから」
「解った、ところで……結局何所に遊びに行くつもりなの?」
「そうだな……とりあえず駅前の方に行ってみないか? 何かしらイベントがあるかも知れないし」
「そういうイベントは休日に開催されるんじゃないの?」
「確かにそうだが……まあ、行ってみようぜ?」
「……うん」
そう会話しながら、通っている高校、山野辺高校に辿り着いた。
校舎の中に入り、自分のクラスに辿り着いて、自分の席に座り、鞄の中身を机の中に入れていると、キーンコーンとチャイムが鳴って、担任の碓井先生が入ってきた。
「皆、おはよう、明日はいよいよ学園祭だ、今日は午前中の授業となる、じゃあ……出席を取った後、授業を始めるぞ?」
先生がそう言ってから、出席を取り、その後に授業が始まった。
授業内容は、それほど難しくはなく、黒板の文字をノートに書き写すという作業だけで、先生に指名されて、教科書を読むと言う事は全くなかった。
ノートに文字を書いていく作業だけで時間が過ぎていき、授業が終わり、お昼になった。
今日は、午前中の授業だけなので、帰る準備をしていると、亮太が話しかけてきた。
「聖、じゃあ一度帰ってから、駅前へと行こうぜ?」
「うん、解った」
「じゃあ、駅前の待ち合わせ広場で待ち合わせな? じゃあ、帰ろうぜ?」
「うん」
そう言って、僕と亮太は、一度家に帰って、私服に着替えてから、遊びに行く事が決まった。
午前中の授業が終わったので、僕はと言うと、一度家に戻る事にした。
家に戻ると、母親の朱莉母さんが
「お帰りなさい、聖ちゃん、今日は早いのね?」
と言って来たので
「うん、今日は午前中の授業だけだったんだ、あ、それと遊びに出かけてくるね?」
「解ったわ、帰りは遅くなるの?」
「それはまだ解らないけど……とりあえず、着替えてから出かけるよ」
そう言って、自分の部屋に戻り、着ている制服を脱ぐ。
脱いだ後、動きやすいTシャツと長ズボンを履いて、黒のショルダーバックを持って行く事にした。
着替えが終わり、外に出て、待ち合わせ場所の、山野辺駅の駅前広場へと向かった。
数十分歩いて、駅前広場に辿り着く。
駅前は、待ち合わせしている人や、ティッシュを配っている人とかがいて
結構人が多かった。
どうやら……まだ亮太の姿が無かったので、亮太はまだ来てないみたいだった。
とりあえず時計台の前で待つ事にすると
「ねえ、君も待ち合わせ?」
と、金髪でいかにもちゃらい感じの男が、僕に話しかけてきた。
うん、一体何なんだろ? と思いながら
「ええ、そうですが……」
と言うと
「おお、可愛い声! そんな格好してるから、男かな? と迷ったけど、やっぱり女の子だったか!なあ? 暇だったら、俺と遊びに行こうぜ?」
……待ち合わせって言ったのに、暇と思われてるし、しかも声で、女の子だって勘違いもしてるなあ……この人
この男が僕に対して、ナンパ目的で話しかけているのが、明らかに感じた。
「いえ、だから待ち合わせしてるので、暇じゃないんですが?」
そう丁寧に断っていると
「そいつって、彼氏の事?」
とか言ってきた。
僕に彼氏がいると思われてるのか? なんか嫌だな……そう考えていると
「待たせたか?」
亮太がやって来て、そう言うので、助かった……と、思ってしまった。
亮太の姿を見た後「っち、男待ちか……」と退散して行く。
「一体、なんだったんだ?」
「僕の事をナンパしてきたんだよ……」
「そうだったのか……それにしても……」
「何?」
「そんな格好しても、聖は見た目、美少女に見えるなあ……ある意味、凄いぜ」
「え……それ本当?」
「ああ、ほら見てみろよ? 男の視線、聖に向いてないか?」
そう言われて周りを確認してみると、確かに男の視線が、僕の事をちらちらと覗いているのが解った。
「あ、ほんとだ……」
「ま、とりあえず……駅前に来たんだし、ゲームセンターでも行こうぜ?」
「……うん」
僕は、亮太と一緒に駅前にあるゲームセンターへと向かう事にした。
店の中に入ると、色々な機械があって、大きな音を出している。
「聖、どれやる?」
と、亮太が聞いてきたので
「じゃあ、僕はこれで」
ある一台の格闘ゲームを指さした。
「お、これか? じゃあ、早速対戦やろうぜ?」
「うん」
そう言って、向かい合わせに座り、亮太と対戦する事にした。
結果はどうなったのかと言うと、僕が二勝、亮太が三勝だった。
次にガンシューティングゲームをやる事にして、協力プレイで一緒に撃ちあう。結果はと言うと、全面クリアーまではいかなく、ラストステージ一歩手前で、ゲームオーバーとなってしまった。
ガンシューティングをやったあと、クレーンゲームをやる事にした。
クレーンゲームの商品を見てみると、ぬいぐるみがあり、見た目がいいので、ちょっと欲しいかも……と思っていると、亮太が
「これ欲しいのか? 取ってやるよ」
そう、言ってきた。
「亮太って、クレーンゲーム得意?」
「まあな、コツを掴めば一発で取れるしな?」
そう言ってお金を投入し、本当に一発で、ぬいぐるみを取ってしまった。
「ほらよ」
「あ、ありがとう」
「いいって、お、もうこんな時間か……たっぷり遊んだし、帰るか」
「うん」
「じゃあ、俺の家よってけよ? カレー食わしてやるな?」
「ほんと?」
「ああ」
「じゃあ、お邪魔します」
そう言って、僕は亮太の家に向かい、カレーをご馳走になってから、家へと戻る事にして、今日の休日が終わったのでした。




