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萌えボイスと呼ばないで  作者: 零堵
~一学期編~
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~第四話~

学校が休みの、休日の日になったので、僕は、いつも学校に行く時間に起きる事はしなかった。

だって……せっかくの休日だから、だらだらと過ごしたいからね? そう思って、布団の中で、ぬくぬくと過ごしていると

「聖ちゃん、いいかげんにおきたら?」

と、お母さんの声が、聞こえてきた。僕は、その声にこう、答える。

「まだちょっと、寝てる……」

「駄目よ、せっかく朝ごはん出来てるのだから、冷めちゃうのは、なんか嫌よ? だから、起きなさい、じゃないと……」

「じゃないと?」

「お父さんを、呼ぶわよ」

「すぐ起きる!」

そう言って、僕は、布団から素早く出る。布団を畳んで、部屋を出て、リビングに行くと、僕の母親の、天野朱莉あまのあかり母さんが、エプロン姿でいた。朱莉母さんは、三十過ぎだと言うのに、かなりの童顔で、僕と同じの身長で、しかも、髪型もほとんど同じなので下手すりゃ僕と一緒に歩くと、周りから「双子の姉妹?」とか言われた事も多々あった。

「聖ちゃん、やっと起きたのね……朝食出来てるから、一緒に食べましょう」

「うん」

そう言って僕は、椅子に座って、用意された朝食をとる事にした。朝食は、ベーコンエッグに、トーストにコーヒーと、洋食な感じの朝食で、僕は、残さず食べつくす。食べ終わって、時間を見てみると、朝の十時だった。

これから、どうしようかな……と思っていると……朱莉母さんが、こう言って来た。

「聖ちゃん、今日は、何か予定あるの?」

「いや、特に何もないけど……」

「じゃあ、一緒に出かけましょうよ、確か……デパートで欲しい物があったのよ」

「そういう事なら、付き合うよ」

「じゃあ、決まりね? 早速、支度してきなさいね?」

「うん、分かった」

僕は、そう言って、自分の部屋に戻ろうとすると、いきなり僕に抱きつく者がいた。

「おはよう! 朱莉~」

そう言って、抱きついてきたのは、僕のお父さんの天野圭吾あまのけいご父さんだった。

僕は、お父さんがちょっと苦手だった。なぜなら、母さんとしょっちゅう間違えるからである。

僕と母さんは、背も髪型も似ているので、ほとんど双子に近い状態なので、父さんが、間違ってひっついて来るからであった。全く似ていないのは、声だけなので……

「お父さん! 僕だよ」

「あ、聖か~まあ、聖でもいっか」

「よくないよ!? と言うか離れてよ!」

「ん~聖……反抗期か? そんな娘に育てた覚えはないんだが……」

「僕は、男だよ! 娘じゃないって!」

「でも、その声と容姿だったら、女の子にでも間違われるだろ? ま、冗談はおいといて、さてと、お腹すいたし、朝食を取るとするか」

そう言って父さんは、僕から離れて、リビングに向かったようだった。

僕は、自分の部屋に戻り、男っぽい服装を選ぶ。でも……結局は、声をかけられるんだよなあ……

見た目が朱莉母さんと同じなので、ナンパ目的で声をかけてくる男が、結構いたりしていた。男っぽい服装に着替えが終わり、自分の部屋を出ると、母さんが、こう言って来た。

「準備出来た? 聖ちゃん」

「うん、出来たよ」

「じゃあ、行きましょうか、あなた、出かけて来ます」

母さんが、そう言うと

「りょ~かい、なるべく遅くならないようにな? あと変な人について行かないように!」

と、奥の部屋から、父さんの声が、聞こえてきた。

「了解、じゃあ、行って来ますね?」

「行って来ます」

こうして僕は、母さんと、出かける事にしたのであった。外に出て、町の中を移動中、なんか……視線を感じる……町の人々にとって、僕と母さんは、一体、どういった目で見られてるんだろうな……と、そう思ってしまった。山野辺の町の中を歩いて、数十分、山野辺駅にたどり着く。

山野辺駅の近くにある、デパート、山野辺デパートに向かった。

デパートは、十階建ての建物で、休日と言うだけあって、人がたくさんいた。

僕達も、そのデパートの中に、入る事にした。店内に入り、エレベーターに乗り込む。

母さんが、五階のボタンを押す。五階にあるフロアは、服と雑貨のコーナーだった。

エレベーターで五階に辿り着き、母さんが、こう言って来る。

「聖ちゃん、私は、ここで服を選ぶけど、聖ちゃんは、どうする?」

「そうだなあ……う~ん……じゃあ上の階で待ってるよ、だから、迎えに来てね?」

「解ったわ、じゃあ、何階で待ってるの?」

「そうだなあ……」

僕は、階数を見て、こう答えた。

「じゃあ、八階の遊戯施設がある所にいるよ」

「解ったわ、八階ね」

「うん」

そう言って、母さんと別れて、僕は、エレベーターボタンを、八階を押す。エレベーターは、動き出して、八階にとまった。この八階のフロアは、子供服と玩具、ゲームセンターがあるフロアで、僕は、ゲームセンターの中に入る。ゲームセンターの中は、以外に広く、色々な機械が、置いてあり、子供連れが結構、多くいた。まず、何から遊ぼうかな……と思い、音楽ゲームがあったので、それをチャレンジする。

コインを投入して、最初は簡単な曲を選んだ。簡単な曲を選んだので、何なくクリアする事が出来て、次は、ちょっと難しい曲でもいいかな……と思ったので、難しい曲を選んだ。

この曲の何とかクリアする事に成功、次に選んだ曲は、アイドル曲を選んだ。よくテレビとか聞く、このアイドル曲と言うのは、アイドルの蓮城麗華れんじょうれいかの曲で、僕は、結構好きだった。

何とかミスする事無くクリアする事が出来て、次に何をしようかな……と思っていると

「お姉ちゃん……」

そう言って、僕の裾を掴んで来る者がいた。

裾を掴んだ者は、幼稚園ぐらいの女の子で、なんか泣きそうになっている。

「えっと……僕は、お姉ちゃんじゃ……」

「うわあああん! ママ、どこ~~!」

いきなり大声で泣き出したので、かなり困ってしまった。

僕がおろおろしていると、母さんがやって来た。

「あら、どうしたの? 聖ちゃん」

「えっと……この子にいきなり泣きつかれて……」

「そう……貴方のママとパパは?」

母さんが、優しく女の子に言う。

「はぐれちゃって……解らない……」

「そう……じゃあ、お姉ちゃん達が、探してあげるわ」

「……ありがとう! お姉ちゃん」

「いいのよ? で……聖ちゃん、そう言う事になったから、良いわよね?」

「別に僕は、かまわないけど……と言うかお母さん、今、お姉ちゃん達って……」

「細かい事は気にしないのよ? 聖ちゃん」

「はあ……」

こうして僕は、母さんと一緒に女の子の母親を探す事にした。ゲームセンターの中を探しても、見つからず、こうなったら迷子センターに行くしかないかな? と思ったので、母さんと一緒に、迷子センターに女の子を連れて行く。迷子センターに辿り着くと、店員さんとその母親らしき人がいて、幼稚園ぐらいの女の子は、その母親らしき人に、泣きながら抱きついていた。

母親らしき人は、僕達に「見つけてくれて、ありがとうございます」と、お礼してくれた。

でも、その親子が帰り際に、「愛、お姉ちゃん達に、ばいばいは?」と言って

「お姉ちゃん達、ばいばい」

そう言って、僕達から離れていく。

「母さん……」

「何かな? 聖ちゃん」

「僕の事、お姉ちゃんって……そう見えるかなあ……」

「う~ん……それは、私といるからじゃないかしら? ほら、私と聖ちゃんって、かなり似てるしね?」

「そうなのかな?」

「そうよ、まあ……買い物も済んだし、食事して、帰りましょう」

「うん」

そう言って、母さんと食事をして、家に帰る事にした。

帰る途中、男にナンパされ、しかもその男が言うには

「双子のお嬢さんたち、一緒に遊ばないかい?」とか言ってきたのである。

僕は、その男に対して、話す事はしなく、完璧に無視を決め込んで、母さんに任せる事にした。

母さんは「双子じゃなくて、母親ですけど?」とか言って、ナンパを追い返していた。こうして、僕の休日が、終わったのであった。


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