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萌えボイスと呼ばないで  作者: 零堵
~一学期編~
4/86

~第三話~

僕が、放送室でラジオをする事になって、次の日

僕は、いつものと同じ時間に起きて、制服に着替えて、学校に向かった。僕の通っている学校、山野辺高校に辿り着いて、昇降口の中に入り、上履きに履き替えて、自分のクラス、一年一組に向かった。

教室内に入り、自分の席について、鞄を開いて、教科書やノートを机の中に入れている作業をしていると

「おはよう、聖」

そう、言ってきたのは、僕と同じ放送部員になった、赤井亮太君だった。

僕は、教室で声を出すのは、まずいかな……と思い、ノートにこう書く。

「おはようございます、亮太」

「おう、今日から、ラジオやるって、先輩達言ってたよな?」

「はい、そうですね」

「本名でやるのもなんか恥ずかしいし……俺は、別の名前でやろうと思うんだけど、聖はどうする?」

そう言ってきたので、僕は、ちょっと悩んでから、ノートにこう書く。

「そうですね、僕も本名でやるのは、嫌なので、偽名でやる事にしますね」

そう書くと、亮太は、こう言ってきた。

「そっか、じゃあ俺もそうするよ、あ、もうすぐ授業始るな? じゃあ、お昼に」

そう言って、亮太は、自分の席に戻って行く。

それから、キーンコーンとチャイムが鳴って、担任の碓井先生が、教室内に入ってきた。

「皆、おはよう、出席を取ったら、授業を始めるぞ」

そう言って出席を取ってから、授業が始まった。

授業内容は、中学時代と違って難しくはなっていたが、まあ、なんとか解っていたので、僕は、黒板に書かれた文字を、ノートに書き写していく。ふと、亮太の姿を眺めてみると、思いっきり寝ていた。

寝ていて、怒られないのかな……とか思ったけど、全く中止されず、そのまま時間が過ぎていき、授業が終わるまで、結局、亮太は、注意をされる事はなかった。

そして、お昼になったので、今日は、お弁当を持参していたので、僕は、お弁当を持って、クラスを出る事にした。クラスを出ると、亮太が

「あ、俺、購買部でなんか買ってから、放送室に行くから、先に行ってくれな?」

と言ってきたので、僕は、コクっと頷いて、そのまま放送室に向かった。

放送室の中に入ると、もう既に、先輩達が集まっていた。授業終わったばかりなのに、かなり早いかも……と、思ってしまう。僕の姿を見て、部長の中田彩先輩が、こう言ってくる。

「あ、聖君、待ってたわ、あれ……亮太君は?」

僕は、亮太は、購買部に行ってから来るそうですと言うと

「そう、じゃあ、先にお弁当食べちゃってね? それからラジオを始めるわ」

そう言ってきたので、僕は、持ってきたお弁当を頂く事にした。お弁当の中身は、お母さんが作ってきた物で、僕の好きなおかずばかりが入っていて、内心、ちょっと嬉しかった。

そのお弁当を食べてると、双子の先輩の男の方の、西岡太一先輩が

「聖の弁当って、美味しそうだな? ちょっと貰っていいかい?」

と言ってきたので、僕は

「はい、少しだけなら、いいですよ?」

と言うと、何故か先輩は、照れた感じに

「おお……やっぱり凄い声だなあ……あ、ありがとう、じゃあ頂くよ」

と言って、僕のお弁当を摘み出した。そこにパンを買ってきたのか、亮太が放送室に入ってきた。

「お待たせしました、あ、聖の弁当うまそうだな? ちょっと貰っていい?」

そう言ってきたので

「いいよ、ちょっとだけなら」

と言って、少し、お裾分けする事にした。

そんな事をやっていると、先輩達が

「やっぱり凄い声よね? この子」

「うん、私もそう思う……って、彩……やっぱ顔赤いじゃん?」

「き、気のせいよ」

「ふ~ん……まあ、いいけどね?」

「な、なによ、その眼は! と、とりあえず食べ終わったら、ブースがあるから、こっちに来てね?」

そう言ってきたので、僕と亮太は、「はい」って、言って、お弁当を食べ終わった後、ブースと呼ばれた部屋の中に入った。部屋の中は、椅子とマイクと机が設置してあって、いかにも収録現場っぽいなあ……と、感じられた。その中に新しくやって来る者がいた。

「お、この子達が新入部員か」

そう言ってきたのは、前に見た事があった人で、確か……川原先生が「翠」と言ってた人だったと思う。

そう思っていると、彩部長が

「二人とも、この人が、我が放送部の顧問の、朝崎先生だよ」

「私が、顧問の朝崎翠あさざきみどりだ、よろしくな?」

なんか、結構カッコイイ感じの女の人だった。

「俺は、赤井亮太です、よろしくお願いします」

亮太が、そう言ったので、僕も自己紹介する事にした。

「僕は、天野聖です、よろしくお願いします」

「うお! 彩から聞いてはいたが、凄いな……その声」

なんか、僕の声を聞いた翠先生が、物凄い驚いていた。

「凄いでしょう、翠先生、じゃあ、もうすぐラジオをやろうと思うから、翠先生は、ルームの方に来て下さい」

「ああ、りょ~かい」

そう言って、翠先生は、ブースから出て行って、隣のルームに戻って行った。上に備え付けてあるスピーカーから、彩部長の声が聞こえてくる。

「二人とも、準備はいい? 洋子が、号令かけるから、もう始まるわよ?」

そう言ってきたので、ちょっとと言うか、かなり緊張してしまった。

「聖、俺も緊張してるけど、思い切ってやろうぜ?」

そう亮太が、言ってくれたので

「う、うん、なんとかやってみるよ」

そう返事をすると、亮太が

「彩部長、こっちは準備Okです、カウントお願いします」

と言う。それを聞いて、彩部長が

「解ったわ、じゃあ、洋子、カウントお願い」

「りょうか~い、じゃあ、行くわよ」

そう言って、洋子先輩が、カウントをとる。

「5、4、3、2、1、キュー!」

こうして、僕と亮太の初めてのラジオ放送が始まった。


「こんにちは、ヤマノベラジオの時間です、今日から始まった、このヤマノベラジオ、MCを勤めさせて貰う事になった、ブラックと言います、よろしくです」


亮太が、ブラックと名乗っていた。亮太がブラックと名乗るんだったら……僕は、こう名乗ろうと思ったので、マイクに向かって、こう言う事にした。


「同じく、パーソナリティーを勤める事になった、ホワイトと申します」


「と言っても、まだ一回目だから、何を話していいのやらって感じなんだけどね」


「そうそう……あまりにも唐突に始まったから、思いっきり困惑気味って感じです」


「まあ、最初にやる事は、とりあえず、お昼の音楽を流したいと思います、それでは、どうぞ~」


そう言って、ルームにいる先輩方に合図を送る。

音楽が流れている間は、マイクの音声が、入っていないので、亮太が、話しかけてきた。


「何とか出だしは、OKって感じじゃないか?」


「そうかなあ……まあ、噛まないで、言えたのはいいと思うけど」


「そうだよな……ちょっと緊張したけど、やっぱ楽しいかも……」


「そう?」


「ああ」


そう話していると、彩部長が、ジェスチャーで「音楽切れるから、話してね」とやっていた。音楽が終わり、再びマイクのスイッチが入る。


「いい曲でしたね、惚れ惚れしちゃうって感じかな?」


「ブラック、そんなに感動したの?」


「や、あんまし」


「え?」


「ま、そんな訳で始まった「ヤマノベラジオ」ですが、リスナーの意見も聞きたいので、この番組に意見や感想を言いたいのだったら、山野辺高校HPに掲載してある、放送部のBBSから、どしどし送ってきてね? あ、冷やかしはお断りだよ」


「確かに、冷やかしは嫌だよね……」


「うんうん、じゃあ、とりあえず……」


「とりあえず?」


「終了~! では、また来週!」


「来週って、あ、確かに明日、学校休みになるから、来週になるのかあ……じゃ、じゃあ、また来週」


「この番組は、ごらんの各社っていうか……放送部一同の提供で、お送り致しました」


そう言って、マイクのスイッチを切る。

そして、ブースから出て、ルームの方に行くと、部長の彩さんが

「うん、Okよ、まあ最初だし、上出来って感じかしら?」

「そうですか……?」

「二人とも、お疲れ様、でね? もう感想来てるんだけど?」

「え?」

「えらく早いなあ……」

僕と亮太は、ノートパソコンを開いている洋子先輩のノートパソコンの画面を見る。

そこに写っていたのは、山野辺高校のHPで、そこの放送部のページ欄のBBSに、もう既に生徒の書き込みがしてあった。

「聖君がやった、ホワイトだっけ? もう感想来てるわよ?」

「え……?」

僕は、内容を見てみる事にした。よく見てみると……

「ホワイトが萌えボイス!」「キター!萌え~~!!」とかそんな内容が書かれてあった。

「凄い書かれているわねえ……」

「本当だ……えっと……僕は、どう反応したらいいのかな……」

「とりあえず、好評のようだし、その気持ちをありがたく受け取ればいいのではないかな?」

「は、はあ……そう思う事にします」

「え~っと、俺に関しての書き込みは~」

そう言って、亮太は、BBSをチェックする。

亮太=ブラックの事が書かれてあったのは、こういった内容だった。

「ブラック邪魔」「もしブラックとホワイトが付き合ってたら、許さない」「俺も」「俺もだ」

そう書かれてあった。

「……なあ、俺は、邪魔なのか……?」

「いや、邪魔じゃないと思うよ? 亮太と一緒だからやれたって感じだしさ……」

「聖……その言い方は何か誤解を生まないか?」

「え……そ、そうかな?」

「まあまあ、今日の放送は、とりあえず終了よ、洋子、終わりの挨拶お願い」

「はいは~い」

そう言って、洋子先輩が、マイクに向かって言う。

「これで、お昼の放送を、終わりにします」

そう言ってから、スイッチを切る。

「これで、OK」

「じゃあ、次に集まるのは、放課後よ? それじゃあ解散」

そう部長の彩さんが、言ったので、僕と亮太は、自分のクラスに、戻る事に決めて、移動する。

放送部を出たら、なんか放送部の前に人だかりが出来ていた。

その人だかりに向かって、顧問の翠先生が

「何を集まってるんだ? 授業が始まるから、戻れ!」

と、大きな声で言って、集まっているのをやめさせた。

僕は、気になったので翠先生に、こう言ってみる。

「何で、この人達、集まってたんですか?」

「それは決まってるだろう? ホワイトの声が誰か、気になったから、集まったと思うな、まさか、君があの美少女ボイスを出してるって、思われていないのではないんじゃないか?」

「あ、そう言う事ですか……」

「ああ、私も顧問として、君の秘密は守るぞ」

「ありがとうございます」

そう返事して、僕と亮太は自分のクラスに、戻る事にした。初めてのラジオ放送が終わり、午後の授業に突入した。授業内容は、難しい問題が出る事はなくて、先生にあてられる事もなく

スムーズに進んでいく。ふと、亮太の姿を見てみると、午前中と違って、寝てはいなく亮太も真面目に、ノートに文字を写していた。僕も、黒板に書かれている文字をノートに写して時間が過ぎていく。

そして、授業が終わり、担任の碓井先生が、やって来て、こう言って来た。

「明日は、学校が無いので、間違っても学校に来ないように、それと来週から、身体測定が始まるから、一応頭に入れておくようにな? じゃあ、解散」

そう先生が言う。

クラスメイトは、帰る者や部活に行く者がいてどんどんクラスから、出て行った。

僕も、支度をして、放送室に向かおうとすると

「聖、じゃあ、放送室に行くか」

そう、亮太が言ってきたので、僕は、こくっと頷いて一緒に、放送室に向かう事にしたのだった。

放送室の部屋の中に行くと、もう既に先輩達が、集まっている。

何で、この人達こんなにも早いんだろう……と思って、部長の彩部長に聞いて見たところ、「放送室が近いからね」と、答えてくれた。

「二人とも、ラジオお疲れ様」

「学校のHPを確認してみると、結構なアクセスになっているよ?」

そう、双子の先輩達、西岡洋子さんと太一さんが、そう言ってくる。

「あ、ありがとうございます……で、いいのかな?」

「一体、どのくらいのアクセスになってるんです?」

そう亮太が聞くと、ノートパソコンをいじっている、洋子先輩が

「そうね、もう、百アクセスは突入してるわね、書き込みの方も四十件超えたわよ? まあ、中身が「ホワイトは一体誰だ?」とかそんな感じの感想ばっかりだよ」

洋子先輩が、そう言ったので、僕は、ノートパソコンを覗いて見る。

確かに、コメント欄に、そういった内容が、書かれてあった。

「で、来週の昼のヤマノベラジオだけど、二回目は、趣向を変えて、亮太君と太一が、MCをやってくれない?」

「太一先輩とですか?」

「ああ、なんか彩が、ホワイト=聖君がいない場合、リスナーの反応はどうなるのか? と試す気らしい」

「そうなんですか、じゃあ、その間、僕は、何をすればいいですか?」

「聖君は、私達のサポートをお願いするわ、今日は、機械の操作方法を教えるわね?亮太君は、太一と来週のラジオの打ち合わせを、よろしく」

「分かった」

「了解です」

「じゃあ、亮太、ブースの方で、相談しようぜ」

「了解っす」

そう言って、二人は、ブースの方へ、移動した。

「じゃあ、私は、彩と一緒に、ここの機械の使い方を、教えるわね?」

「あ、じゃあ、よろしくお願いします」

そう言って、僕は、彩部長と洋子先輩に、ここの機械の使い方を、教えて貰うのだった。そして時間が過ぎていき、二人が僕たちのいる、ルームに戻ってきた。

「綾、とりあえず、打ち合わせ、終わったぞ」

「御苦労さま、あ、もう、こんな時間ね? 洋子、お願い」

「は~い」

そう言って、洋子先輩は、機械をいじって、こう言う。

「下校の時刻になりました、皆様、速やかに下校して下さい、繰り返します、下校の時刻となりました、皆様、速やかに下校して下さい」

そう言ってから、スイッチを切る。

「はい、OKだよ」

「了解、そうね、とりあえずやる事はやったし、今日は、ここで、解散としときましょうかね?では、解散」

そう言ったので、僕は先輩達に、挨拶をして、亮太と一緒に、帰る事にした。

帰る途中

「聖、気になったんだが、休日って、何やってるんだ?」

「僕? そうだなあ……とりあえず、家にいるか、何処かに遊びに行っているって感じだよ? そう言う、亮太は?」

「俺は、遊びに行くのが、基本だな、休日って、家にいない事が多いしな?」

「ふ~ん、そうなんだ」

「あ、じゃあ俺、こっちだから、それじゃあな?」

「うん、さようなら」

そう言って、僕は、亮太と別れる。

そして、歩きながら、休日、どうしようかな……と思っていたのであった。

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