~第三十七話~
次の日、目覚まし時計のセットした時刻に起きた僕は、まずやる事があった。
それは、低い声の練習を出してみる。
まずは低い声を出してみるかな? あーあーー…………うん、ちょっと低い感じだけど、元の声とあんまり変わらないなあ」
そんな感じに発声練習をして、数分後にやめる事にした。
発声練習をやめた後、自分の部屋から出て、洗面所に向かい、顔を洗う。
顔を洗い終わって、リビングに行くと、もう既に両親が集まっていて、朝食ができていた。
「あ、おはよう、聖ちゃん、朝食出来てるから、食べましょう?」
「あ、うん」
朱莉母さんがそう言って来たので、僕も椅子に座って、朝食を取る。
今日の朝食は、ごはんに味付け海苔、味噌汁に目玉焼きといった物で、あっという間に食べ終わった。
「聖~今日も可愛いな~」
圭吾父さんが、ニコニコしながらそう言って来る。
「可愛いって言われても……髪が長いから、そう見えるだけだよ……父さん、ショートにしたら、言わなくなるんじゃない?」
「いや、聖の今の声で、ショートか……合っているかもな? なあ、朱莉」
「ええ、でも私は、今の聖ちゃんのほうがいいわよ~」
そう言われて、どう返事したらいいか、困ってしまった。
朝食を食べ終わり、僕は、自分の部屋に戻る。
今日も学校があるので、着てる服を脱いで、山野辺高校男子用の制服に着替えた。
制服に着替え終わり、身だしなみのチェックをする。
髪が伸びたと言うか、長髪に近くなっているので、黒のヘアゴムでポニーテールにして鞄の中に、必要な物を入れて、部屋の外に出ると、朱莉母さんがやって来て
「はい、これ、今日のお弁当ね?」
「ありがとう、お母さん、じゃあ、行って来ます」
「行ってらっしゃい~」
と言って、外に出る。
外の天気は、雨がザーザーと降っていて、ちょっと涼しかった。
雨が降っているので、傘をどれを使おうかな……と悩み、白のビニール傘を使う事にした。
雨の中の通学路を歩いて、靴がびしょびしょになりながら、山野辺高校に辿り着く。
傘を傘立てに入れて、自分のクラスに行き、自分の席に着く。
席について、鞄の中身を入れる作業をしていると
「おはよう、聖」
そう話しかけてきたのは、同じクラスの赤井亮太だった。
僕は、教室内で話すのはまずいかな? と思ったので、ノートとペンを取り出して、こう書き込む。
「おはようございます」
そう書きこむと、亮太が
「聖、もうすぐテストあるみたいだし、休日、俺の家で勉強会って事でOkだよな?」
亮太が、そう聞いてくる。
僕は、ちょっと考えて、ノートに
「あ、はい、それでOkです」
と書き込んだ。
「じゃあ、決まりだな? 休日に聖の家に迎えに行くな?」
「判りました」
そう会話をしていると、キーンコーンとチャイムが鳴って、亮太が自分の席に戻り、担任の碓井先生がやって来て、こう言って来た。
「あ~皆おはよう、連絡事項だが、来週は二学期のテストを行う、しっかりと勉強するように、それが終わったら、学園祭の出し物を決めたいと思う、では、授業を始める」
そう言って、授業が始まった。
授業中、僕は、そう言えば亮太の家って、どんなのだろ……? と、思っていた。
授業内容は、数学の問題だった。
結構難しく、何とか黒板の文字をノートに写す作業に専念して、先生に指される事はなく、時間が進み、授業が終わる。
授業が終わり、お昼の時間になったので、僕は朱莉母さんが用意してくれたお弁当を持ち、同じクラスの赤井亮太と一緒に、教室を出る事にした。
教室を出て、放送室に辿り着き、早速お弁当を食べる事にした。
中身は、スパゲッティとハンバーグで、味付けも甘めにしているので、結構美味しかった。
亮太のお弁当を見てみると、中にカレーが入っている。
ちょっと美味しそうだなあ……と思ったので、僕は
「亮太、ちょっと戴いてもいいですか?」
と聞いてみると、亮太が
「ああ、いいぜ、あ、聖のも少しもらっていいか?」
「あ、はい、どうぞです」
そう言って、お互いのお弁当を少し貰う事になった。
カレーは、ちょっと辛かったけど、美味しく、味付けもいい味付けだった。
お弁当を食べ終わると、部屋の中にいた部長の中田彩部長が
「じゃあ、今日のラジオの担当は、洋子と聖君だから、お願いね?」
と言ってきたので、洋子先輩が
「了解、あ、じゃあ今日は初めの挨拶、彩がやってね?」
「解ったわ」
「じゃあ、行きましょうか? 聖君」
「あ、はい」
そう言って、僕は洋子先輩と一緒に、ブースの方に向かった。
ブースの中に入って、マイクのチェックをして、ラジオが始まるのも待つ。
スピーカーから、彩部長の声がした。
「これから、お昼の放送を始めます」
と言ったので、マイクのスイッチを入れて、ラジオをする事にした。
「はい、こんにちは、今日も始まりましたヤマノベラジオ、今日のパーソナリティは、魅惑のお姉さん、ブルーと」
「えっと、ホワイトです、よろしくお願いします」
「ブラックとレッドはどうしたんだ?って言われると……あの二人はね? ええ……」
「なんか、何かあった風な感じに言っているけど、別に何もないですよ? 二人とも元気です」
「そうそう、あ、ところで、ホワイトちゃん?」
「あ、何でしょう?」
「今日は雨が降っていて、涼しい天気だけど、ナンパとかされたよね?」
「なんでされる事前提に言ってるんです!?」
「いや~見た目も声も完璧だから?」
「いや……そこを疑問に思われても、ちなみにされてませんよ! そんな事聞かないでくれますかね?」
「そう~でもされた事あるんじゃない~?」
「う……そ、そういう ブルーはどうなんです?」
「私? そうねえ……うふふ、秘密」
「……なんで僕だけ言わされているんですか……」
「っと、無駄話はおいといて、早速このコーナー、音楽を流します、では、聞いて下さい」
そう言って音楽が流れる。
音楽が流れている間に、ルームにノートPCを持った、亮太が中に入ってきた。
音楽が終わり、マイクのスイッチが入って、再び話し出す。
「はい、今回流したのは、巷で流れる流行曲をチョイスしてみました」
「巷って、本当に流れてるの?」
「あら? ホワイトちゃんは聞いた事ない? よく商店街の店とかで使われてる曲よ? ちなみにオリジナルソングなので、CDは出ていません」
「え……何そのローカルソング……じゃあ、ど、どうやってその曲を?」
「作曲者本人から貰い受けたのです、まあ、ローカルソングだから、人気は今の所ね? 頑張れ!ヤマノバンド~」
「作曲者本人からって、それをどうやって仕入れたのが、物凄く気になりますが……まあ……ここで応援してもね? 僕も一応頑張れって言っておきます」
「じゃあ、このコーナーに行きたいと思います「ホワイトちゃんに言ってほしい台詞」え~っと、今日、言ってほしいセリフは~う~ん……あ、これにしよう、PNはいさいさんから「語尾にニャーをつけて何か一言」では、ホワイトちゃん、どうぞ~」
「ええ? え~っと……と、とりあえずこんな感じでいいかにゃ~?」
「おお、言った途端、物凄い書き込みが!皆、暇よね~他にやる事沢山あると思うのに、あ、暇だから書き込んでいるのか、なるほどなるほど」
「いや、それを言っちゃいけないにゃ……」
「っと、もうこんな時間、お相手は、クールな知的お姉さん、ブルーと」
「えっと、ホワイトですにゃー」
「今の言い方、ちょっと可愛かったわね……おっと、では、以上でお送りしました、この番組は、放送戦隊ヤマノレンジャーの提供でお送り致しました」
そう言ってマイクのスイッチを切って、三人でブースに戻り、彩部長が
「洋子、お願い」
と言って
「はいは~い」
と答え、マイクのスイッチを入れて、こう話す。
「これで、お昼の放送を終わりに致します」
そう言ってから、マイクのスイッチを切る。
「じゃあ、次は放課後に集まるわよ?では、解散」
彩部長がそう言ったので、僕と亮太は、自分のクラスに戻る事にしたのでした。
午後の授業は、普通の授業だった。
黒板に問題が出されて、それをノートに書き込む作業だけで済んで、先生に「これ、読んで?」とか言われる事もなく、授業が終わったので、僕は、同じクラスの亮太と一緒に、放送室に向かう事にした。
放送室に辿り着くと、既に先輩たちが集まっていて、部長の中田彩部長が、こう言ってきた。
「二人とも、来たわね? 明日のラジオの担当だけど、明日は、ブラックとレッドにやってもらうわ」
「了解です、じゃあ、太一先輩、打ち合わせしましょう」
亮太が、そう言って、先輩の西岡太一先輩が
「ああ、そうだな? じゃあ、行くか」
そう言って、亮太と太一先輩は、ブースの方に向かった。
「で、聖君?」
「何ですか?」
「明日の事だけど、明日一日、放送を任せてもいいかしら?」
「え、それって……最初の挨拶と放課後の挨拶もですか?」
「ええ、毎回洋子ばっかりにやってもらったけど、たまには聖君がやるのもいいかもって思ったのよ? 洋子もそれでOkよね?」
「う~ん、そうね……うん、私はそれでいいと思うわ」
「洋子もこう言ってくれるし、引き受けてくれないかな? 聖君」
そう言ってきたので、僕はと言うと
「解りました、何とかやってみますね」
「ありがとう、じゃあ、洋子、このルームでのマイクの使い方を教えてあげて?」
「はいは~い、じゃあ、聖君、教えるわね?」
「あ、はい」
僕は、洋子先輩にマイクのスイッチの入れ方を教えて貰った。
教えてもらった後、亮太と太一先輩が、ルームに戻ってきて
「打ち合わせ終わったぞ」
と言ってきたので、彩部長が
「お疲れ様、じゃあ、もうこんな時間だし、いつもの願いね? 洋子」
「はいは~い」
そう言って、洋子先輩がマイクのスイッチを入れて、こう話す。
「下校の時刻となりました、皆様速やかに下校して下さい、繰り返します、下校の時刻となりました、皆様、速やかに下校して下さい」
と言ってから、マイクのスイッチを切る。
「これでOK、聖君、こんな感じに使うのよ」
「あ、はい、わかりました」
「じゃあ、今日はもう解散ね? では、解散、あ、洋子、帰りにケーキ屋寄ってかない? 新作出たらしいわ」
「ほんと? じゃあ、行きましょう?」
「食べすぎで太るんじゃないのか?」
「太一煩い! いいでしょ別に!」
そんな会話をしていたので、僕と亮太は「お疲れ様でした」と言って、一緒に放送室から出て、帰る事にした。
朝から雨が降っていたので、放課後になっても降り続いていた。
白のビニール傘を挿して、亮太の傘もビニール傘で、一緒に雨の中を歩く。
歩いていると、亮太が
「聖は、雨の日って好きか?」
と聞いてたので
「そうですね……そんなに嫌いではないです」
と答えると
「俺も、そうだな、まあ暑いより寒いほうが好きだしな? 暑いのは家で十分だって~の」
「家で……? 家が暑いんですか?」
「あ、言ってなかったよな? 俺の家って、飲食店経営してるんだよ、だから火を使うから暑いって訳」
「あ、そうなんですか、ちなみに何屋さんなんです?」
「それは、休日になったら教えるよ、どうせ勉強会って事で、俺の家に来るだろ?」
「そうですね、じゃあ休日に行く事にします」
「ああ、あ、俺こっちだから、じゃあな」
そう言って、亮太と別れて、僕は、家へと戻る事にした。
亮太の家って、一体何屋さんなんだろうなあ……と、思っていたのだった。




