~第三十五話~
次の日、僕は、いつもと同じ時間に起きた。
毎日学校があるので、洗面所で、顔を洗い、リビングに行くと、朱莉母さんが、朝食の準備をしていた。
「あ、おはよう~聖ちゃん、もうちょっとで完成するわよ?」
「あ、なら手伝うよ」
「そう? じゃあ、お願いするわね?」
そう言って来たので、僕は、朱莉母さんの手伝いをする事にした。
手伝っていると、父さんが起きてきたのか、リビングにやって来る。
リビングにやって来た父さんが
「おお、今日は聖も手伝ってるのか……うんうん、いい親子だなあ……」
と、なんか感心していた。
僕は、褒められてちょっと照れてしまったけど、何とか朝食を完成させて
食卓に出す。
メニューは、思いっきり和食で、結構美味しそうだった。
並べ終わり、席について、一緒に食事を取る事にした。
うん、味的に関しては、申し分なく、結構美味しい。
「うん、美味い、朱莉の作る料理は美味いなあ」
「今日は、聖ちゃんも手伝ってくれたのよ」
「おお、聖も料理上手だな……いいお嫁さんになれるぞ?」
「もう、お父さん……何言ってるの? 娘じゃないんだけど……」
そんな会話をしながら、あっという間に食べ終わったので、僕は、自分の部屋に戻る事にした。
自分の部屋に戻り、山野辺高校の制服に着替えて、持ち物のチェックをする。
チェックが終わった後、とりあえず……
発声練習をする事にした。
「あ~……うん、いつもの声は問題ないかな? じゃあ、ちょっと声を変えて話してみようかな?」
そう思ったので、僕は声を変えて、話してみる。
「えっと……さっきよりは、低い声だけど……これでもまだ高いかな? まあ……これ以上は、無理っぽいみたいだし、発声練習はこのくらいにして、学校行こうっと」
そう決めて、僕は、朱莉母さんからお弁当を受けとった後、学校に行く事にした。
外の出ると、外の天気は秋晴れで、結構涼しい風が吹いていた。
僕は、通学路を歩いて、学校に向かう事にして、歩く。
通学路を歩いていると
「よっす、聖」
そう話しかけてきたのは、同じクラスの赤井亮太だった。
僕は外なので、周りに聞こえないように、小さい声で話し掛ける事にした。
「おはようございます、亮太」
「おはよう、昨日はありがとな? ノート貸してくれて」
「いえ、僕のノート、役に立ちましたか?」
「立ったぞ、あ、そうそう……昨日借りたノート、返すな?」
そういって、僕に、昨日貸したノートを渡してくる。
僕は、小さい声で「ありがとうございます」といって、鞄の中に入れた。
「あ、遅刻するとまずいから、先を急ごうぜ?」
そう聞いてきたので
「そうですね」
そう言って、僕達は一緒に教室へと行く事にした。
僕達の通っている山野辺高校に辿り着き、自分のクラスの中に入って、自分の席について、なるべく話さないように心懸ける事にした。
まあ、僕に話しかけてくる人物って、大体同じクラスの山本理恵さんか
赤井亮太ぐらいかな……と思った。
あ、あと、栗谷先輩の弟の栗谷衛君も話しかけてくるかも……と、話しかけられたらどうしようかな……? と思ったけど、結局、話しかけてくる事はなく、キーンコーンとチャイムが鳴り、担任の薄井先生が入ってきた。
「皆、おはよう、今日から普通の授業を始めたいと思う、まず夏休みの宿題を集めるぞ」
そう言って、夏休みに出された宿題を机の前に置いて、回収した。
そして授業が始まり、授業内容は、比較的というか結構簡単に解けて、先生に指名されるという事はなく、あっという間に時間が過ぎて、お昼の時間になった。
僕と亮太は、同じ部活なので、一緒に放送室へと向かった。
放送室に辿り着くと、中にいるのは先輩達で、既に全員集まっている。
「あ、これで全員揃ったわね?」
そう言ったのは、部長の中田彩部長だった。
僕は、この放送室なら普通に声出してもOKだったので
「あ、はい」
と、返事する事にした。
「じゃあ、今日のラジオの担当は、亮太君と聖君にお願いするわね? さ、お昼ごはんを食べたら、ラジオ開始よ?」
部長の彩さんがそう言ったので
「分かりました」
「了解」
そう言って、先輩達と一緒にお昼ご飯を済ませた後、僕と亮太はブースの方に向かった。
ブース内辿り着いて、マイクの調整をする。
そしてスピーカーから
「じゃあ、始めるわよ? 洋子、お願い」
「はいはい~」
そう言って、洋子先輩の声が聞こえた後、スピーカーから
「お昼の放送を始めます」
と、聞こえてきて、お昼にやっているラジオが始まった。
「こんにちは~、ヤマノベラジオの時間です、今回、二学期第一回として、パーソナリティーを務めるのは、毎度おなじみブラックと」
「はい、ホワイトです」
「ホワイトちゃんの声、待ってました~って感じですね~」
「え……? 待ってましたって……」
「いや~相変わらず凄い声だと思いますよ~? うんうん、相変わらずいい声しています」
「そんな事を言われて、どんな反応をすればいいのかな……?」
「まあまあ、では、最初のコーナーに行きたいと思います」
「あ、了解です、では、音楽を流したいと思います、今回流す曲は、クラシックです、どうぞ~」
そう言ってマイクのスイッチが切れて、クラシック音楽が流れ出す。
その間にブースに、ノートパソコンを持った、洋子先輩がやってきた。
クラシックが終わり、再びマイクのスイッチを入れて、話す事にした。
「いや~やっぱりクラシックはいいですね~、ホワイトちゃんもそう思うよね?」
「ま、まあいい曲だったかな……とは、思いますけどね」
「うんうん、じゃあ早速、このコーナー「ホワイトちゃんに言ってほしいセリフ」をやりたいと思います」
「いきなりですか? は、恥ずかしい台詞は勘弁ですって感じです……」
「了解了解、え~とじゃあ何がいいですかね~、う~ん改めて見てみると、ホワイトちゃんの人気凄いですね、あ、これにしときましょう、自分も聞きたいし、PNまらーすさんから「ホワイトちゃんの新妻風な感じで旦那を出迎える感じでお願いします」では、ホワイトちゃん、どうぞ~」
「ええ!?言わなくちゃだめ? え~っと……「お、お帰りなさい貴方……お風呂にする? ご飯にする? それとも……」って、感じかな、こ、これ以上はさすがに恥ずかしいよ!」
「ふおおおお! 良いですな!!」
「こ、興奮しすぎじゃない? うわ、コメントを見てみると、滅茶苦茶書かれてるし!?」
「いや~いいものを聞かせて貰ったなあ~、あ、もうこんな時間だ、時間がたつのは早いですね~、では、お相手は、ブラックと」
「ホワイトです」
「以上でお送りしました、この放送は、放送戦隊ヤマノレンジャーの提供で、お送り致しました」
亮太がそう言った後、マイクのスイッチを切る。
そして、全員でルームに戻り、洋子先輩が、マイクのスイッチを入れて、こう話す。
「これで、お昼の放送を終わりにします」
そう言ってから、スイッチを切った。
「よし、Okよ」
「じゃあ、次に集まるのは、放課後ね? では、解散」
そう彩部長が言ったので、解散する事にした。
僕と亮太がクラスに戻ろうとすると、先輩の太一先輩が、何故か顔を赤くしていたので
「太一先輩、どうかしたんですか?」
と、聞いてみると
「聖……今の台詞、絶対に男に言っちゃだめだぞ?」
「今のって……ラジオで言ったと言葉ですよね? 男相手に言うわけないですよ……先輩は言うと思っていたんですか?」
「そ、そりゃそうだよな……今の聖の見た目って、かなりの美少女に見えるしな……」
「そう言われても……まあ、髪が長いからそう見えたりはしてるかもって、思いますけどね……」
「髪を切ったら、印象が変わるんじゃないか?」
「髪を切ろうとしても、母が嫌がるんですよ、このままがいいって」
「そ、そうか……なるほど……」
なんか考えてるみたいだったけど、これ以上聞くのは不味いかな? と思ったので
「では、先輩、放課後で」
「あ、ああ」
そう言って、先輩たちと別れて、自分のクラスに戻る事にしたのだった。
午後の授業になり、僕達のクラスでは、体育の授業だった。
と言っても何をするかと言うと、体育館で、バレーをする事になりました。
ちなみに女子は、バスケらしいです。
体育教師の川原芹先生が
「みんな、準備はいいかな? 今日は、男子はバレー、女子はバスケを行うよ~」
と、まるで教育番組に出てくるお姉さん的な感じな声で、僕達に言ってきた。
僕は髪が長いけど、一応というか男子なので、バレーをする事になり、二チームに別れて、結果的に同じクラスの赤井亮太と栗谷衛君と、同じチームになった。
「あ、天野、頑張ろうぜ……?」
そう、栗谷君が言ってくる。
普通に受け答えていいのだけど……ラジオと同じ声をここで披露するのもね……と思ったので、僕は、にっこりと笑顔で、頷く事にした。
すると……
「あ、天野……」
なんか、栗谷君が顔を赤らめている。
うん、何でだろう……?と思っていると、小声で亮太が、話しかけてきた。
「聖、今のはやばいんじゃないか?」
そう聞かれたので、僕は栗谷君に聞かれないように、小さい声で
「今のって?」
と、そう聞くと
「今の聖、声を出したら完璧に美少女に見えるしな? 笑顔はまずいと思うぞ?」
「そ、そうなんだ……じゃ、じゃあ……笑顔はしないでおくよ……」
「ああ、そうしたほうがいい、まあ……栗谷の気持ちも解るようなものだよなあ……」
「解るような物……?」
そう話していると
「亮太、天野と何か話してないか?」
と、栗谷君が聞いてきたので、咄嗟に亮太が
「いや、なんでもない、あ、試合始まるみたいだぞ」
と、話を逸らしてくれて助かった。
そして、バレーの試合が始まり、僕は後ろの方に回された。
バレーってあんまり得意じゃないから、目立ちたくないなあ……と思いながら、出来ればボールが飛んで来ませんように……と願う。
願いが通じたからか、ボールが全く飛んでくる事はなく、触りもしないで試合が終わり、結局、僕の所属していたチームは、負けてしまった。
まあ、僕は勝ち負けには、こだわっていなかったので、これでよかったかな? と思っていた。
そして、時間が過ぎていき、体育の時間が終わり、教室に戻る。
教室に戻って、担任の薄井先生が、こう言って来た。
「あ、連絡だが、もうすぐ二学期の実力テストがあって、テストが終わったら、体育祭となっているから、そのつもりでいるように」
そう言って、先生が教室から出て行く。
体育祭か……どんな競技があるんだろ……?と、ちょっとワクワクしてしまった。
その考えをやめて、帰りの支度をして、亮太を誘って、放送室に向かった。
向かう途中、亮太が
「なあ、聖?」
そう言ってきたので、僕は小さい声で
「何?」
と、聞き返す。
「実力テストの事だけどさ? 俺の家で勉強会とかしないか?」
と、言ってきたので、僕は
「う~ん……うん、分かった、一緒にやろう?」
そう言う事にした。
「よし、決まりだな? じゃあ、日時が決まったら知らせるぜ」
「うん」
そう話しながら、放送室に辿り着く。
中に入ると、先輩達が既に集まっていて、何やら話し合っていた。
部長の中田彩さんが
僕達に気がついて、こう言って来る。
「あ、二人とも来たわね? じゃあ、早速だけど、明日の事を話すわね?明日のラジオは、ブラックとレッドでお願いするわ」
「了解っす」
「じゃあ、亮太、打ち合わせするぞ」
「判りました」
そう言って、太一先輩と亮太が、ルームの方に行った。
「で、聖君、明日の昼に流す曲だけど、何がいい?」
そう聞いてきたので、僕は
「えっと……ゲームミュージックとか駄目ですかね?」
なんとなくそう言ってみると
「ゲームミュージック……うん、ありね……洋子、そういうの持ってる?」
「持ってるよ~ゲーソンは、結構聞くしね?」
「そう、じゃあ決まりね」
どうやら、明日の昼に流す曲は、ゲームミュージックに決まったみたいだった。
でも一体どんな音楽なんだろう……と、ちょっと気になってしまった。
まあ、明日判る事だし、別に今、聞かなくてもいいかな? と思うことにした。
そう話していると、ルームから太一先輩と亮太が、戻ってくる。
「打ち合わせ、終わったぞ」
「あ、お疲れ様、おっと、もうこんな時間ね? 洋子、お願い」
「はいは~い」
そう言って、洋子先輩が、マイクのスイッチを入れて、こう言う。
「下校の時刻となりました、皆様速やかに下校して下さい、繰り返します、下校の時刻となりました、皆様、速やかに下校して下さい」
と言ってから、スイッチを切る。
「よし、Okよ?」
「じゃあ、今日の活動はこれで終わり、では、解散」
そう綾さんが言ったので、僕は、亮太と一緒に帰る事にした。
帰る途中
「聖、その声って、ずっとそのままなのか?」
と聞いてきたので、僕は小声で
「そうですね……一応低い声は出せますけど、なんか変な感じになってしまうんですよ? 今の僕の見た目で、低い声って似合ってないと思いませんか?」
「そうだな……言われてみると、そうかも知れないな……まあ、あんまり、無理するなよ?」
「心配してくれて、ありがとうございます、そうですね……なるべく、無理しない事にします」
そう話し合いながら、亮太と別れて、家に戻る事にしたのでした。




