~第二十五話~
夏休みの最中、僕達天野家は、帰省する事になりました。
向かう先は、朱莉母さんの実家です。
何故、突然向かう事になったのかと言うと、朱莉母さんが「そうだわ、今日、実家に帰りましょうか? 夏休みの最中に一度くらい行くって言ったしね?」と言ったので、そのまま実行される事になりました。
僕達家族は、家を出て、山野辺駅に向かい、電車を乗り継ぎ、西京と言われる駅で、新幹線に乗り換えると、新幹線の車内で、朱莉母さんが
「聖? そう言えば覚えてる?」
「覚えてるって?」
「私の実家に行った時によく遊んだ子よ? まあ、十年前の事だから、よく覚えてないかもしれないわね?」
「十年前……」
僕は、そう言われて思い出してみる。
確か十年前は、小学校一年ぐらいの年で、母さんの実家に遊びに行った時
よく一緒に遊んだ男の子がいたような気がした。
けど……どうやって遊んだのか全く覚えてなかったし、名前も忘れていたので、僕は、こう言う事にした。
「よく覚えてないかも……忘れちゃった」
「そう、まあしょうがないわよね? 十年も前の事だし」
一体どんな子だったんだろう? と思ったけど、思い出せないので、ま、いいか……と思いながら、新幹線が目的地に辿り着くまで
父さんと一緒に、ゲームして遊ぶ事にした。
一時間ぐらいで、目的地に辿り着く。
駅名が景勝宮と言う駅で、そこで降りて、駅前ロータリーで、バスに乗りこんで、数十分バスに乗って、川下と呼ばれるバス停で降りた。
降りてからの風景は、ほとんどビルとかがなく、一軒家もまばらで、田んぼが多くあり、思いっきり田舎だなあ……と感じる風景でもあった。
その田舎の町を家族三人で歩いて、数分後、ちょっと大きめな一軒家に辿り着く。
表札に「吉野」と書かれてある。
僕は、きになったので母さんに
「あれ? 吉野って……?」
と聞くと
「それは、私の旧姓よ? 結婚して、天野家に嫁いだのよ」
「ああ、そういう事になるな」
「そうなんだ」
「じゃあ、中に入りましょうか、ただいま~」
そう言って、玄関を母さんが開ける。
中は、古ぼけた置時計とか飾ってあり、床が木で出来ていた。
奥から、五十代ぐらいの年季の入った男の人がやって来た。
「おかえり~朱莉、久しぶりじゃの?」
「ただいま、お父さん、何年ぶりだっけ?」
「十年ぐらいじゃないかの? 毎年来ればいいものを、来なかったからなあ」
「それはごめんって、今日は家族で来たの」
「ほう、そうか……よくきたな……」
じゃあ、この人が僕のお爺ちゃんになるのか……十年ぶりだから、顔とか全く覚えていなかった。
それにしても、お爺ちゃん……なんか僕の顔を見てるけど、どうしたんだろう?
「朱莉……? この子は……聖かの?」
「ええ、息子の聖よ」
「驚いた……朱莉にそっくりじゃないか?」
「ええ、凄いでしょう?」
「お主に言われたくないのう? 別に来なくてもいいのにな?」
「朱莉が一緒に来てもいいよ? と言ったからね? 別にいいだろう?」
「ふん、まあいい、聖じゃったの、ワシは志郎じゃ、改めてよろしくな?」
「う、うん……お爺ちゃん」
「……なあ、朱莉?」
「何? お父さん」
「聖は男だよな……? 何か見分ける自信がなくなってきたんだが……」
「凄いでしょう~? この子ね? 声が変わらなかったのよ~結構いい声でしょ?」
「あ、ああそうだな……まあ、せっかく来たんだ、ゆっくりして、泊っていくといい」
「うん、そうするね」
こうして、僕達家族は、お爺ちゃんの家に泊る事にしたのでした。




