~第二十三話~
夏休みの最中に、僕は、バイトをする事にしたので、今日も、バイトの日なので、バイトに出かける事にした。
電車に乗り、秋葉の町に辿り着く。
秋葉の町は、夏休みに入ったからか、結構、人であふれていた。
何かのイベントとかあるのかな……? とか思ったけど、バイトに遅刻するとまずいかな……と思ったので、遅刻しないように、目的地に行く事にした。
数十分歩いて、辿り着いた場所は、喫茶店、「アイライク」だった。
僕は、店の中に入り、控え室に直行して、更衣室で、ここの制服に着替える事にした。
更衣室で、着替えが終わり、外に出てみると、知らない人がいた。
従業員のメイド服を着ていたので、もしかして……まだ僕が会った事のない人かな? そう思ったので、声をかけてみる。
「始めまして」
「あ、始めまして、もしかして、夏の間だけ入ってるって聞いたから……君がましろちゃんなのかな?」
「はい、ここではそう呼ばれています」
そう言って見ると、メイド服を着た子は、僕の姿をじ~っと見てきた。
うん……何なんだろ? と思っていると
「ねえ……変な事を聞くけどさ……? それって、もしかして男装?」
「いや、違いますけど……?」
「じゃあ、君は正真正銘男の子なんだ?」
「はい、そうです」
「そうなんだ……それにしても……」
「はい?」
「い、いや、こっちの事、あ、ボクの名前は、東雲玲って言うよ? よろしくね?」
「東雲……? あれ、店長と同じ苗字ですね?」
「ああ、それ、ボクの姉さんだよ」
「あ、そうなんですか、じゃあ、妹なんですね」
「え……? き、聞いてもいいかな?」
「はい?」
「姉さんが、ボクの事を妹って言ったの?」
「はい、聞きました」
「そ、そう……姉さんめ……!」
なんか玲さんが、怒ってる顔をしてたけど、一体なんでだろう? と思った。
そう思っていると、僕たちに「こんにちは」と、声をかけて来た人がいた。
その姿は、ウエイター姿で、ちょっとかっこいい感じの人だった。
「あ、まこさん、こんにちはです」
「こんにちは、もしかして……君が、新しく入ってきた子かな?」
「あ、はい、ここではましろって名乗っています」
「自分は、真琴だよ、ここではまこさんって呼ばれてるかな? よろしくね? ましろさん」
「あ、はい、よろしくお願いします」
うん、なんかこのまこさんって人、結構もてそうな雰囲気を醸し出してるなあ……何でそう思うかって言うと、お客様の視線が、まこさんに注がれてるのが、解ってしまったからであった。
そう思っていると、店長の紫さんが、やって来た。
「皆、おはよう、今日もよろしくね? まこさんも玲も、新しく入ったましろちゃんもね?」
「あ、はい」
「ちょっと姉さん」
「何よ? 玲」
「ましろ君に、ボクの事、妹だって紹介したらしいね?」
「ええ、そうよ? 何かいけなかった?」
「ボクは……」
「はい、玲、言っちゃ駄目よ? ここには、お客様もいるんだからね?」
「う……」
「大変だな……玲?」
「まこ先輩……本当にそうですよ……」
「え~っと……何が大変なんです?」
「ああ、こっちの事、じゃあ、仕事、頑張ってね?」
そう言って、店長が、僕達から離れて行った。
「そうですね……まこ先輩、今日も頑張りましょう? あ、ましろちゃんもね?」
「ああ、そうだな」
「はい」
こうして、バイトをする事になったので、ここの制服に着替える事にした。
と言っても、ウエイターの姿ではなく、メイド服みたいなウエイトレスの服を着て、ホールに出て、接客をする事した。
それにしても……思う事は、お店にいるお客様が、ほとんどと言うか、ほとんど、女性ばっかりだった。
こういう店って、ウエイトレスの服装が、メイド服っぽいので、男性客が集まりやすいんじゃないかな……とか思うのだけど……
店内にいるお客様のほとんどが、女性で、よく観察してみると「まこさん~」とか「まこ様~」とか、聞こえてくる。
それに応対するべく、かなりのハイペースで、同じウエイター姿のまこさんが
素早く対応していた。
なんか、凄い人気のある人なんだ……この人……僕が、そう思っていると
「えっと……もしかして、ましろ君?」
僕に話しかけてきたのは、店長の妹らしい玲さんだった。
「あ、はい」
「何でその格好を……?」
「店長に言われてしまって……」
「そっか、姉さんのせいなんだ……でも……」
「でも?」
「凄い似合っているね……ましろ君は、地毛なの? それ……」
そう言って、僕の髪を指差したので
「あ、はい、そうですね」
「はあー……だからか……うん、納得した、じゃあ、仲間なんだ……」
「仲間って?」
「ちょっとこっち来て?」
そう言って、玲さんが、僕の腕を引っ張って、トイレの中に入った。
ちなみに何故か男性用のトイレに入ったので、僕は、驚いてしまった。
「え……? 玲さん!?」
「ましろ君には言うけどね? ボク……男だよ?」
そう言って、玲さんが、ウイッグを取っていた。
取った姿を見ても、ショートカットの美少女に見える。
あれ……? もしかして……この人、僕と同じ女顔なのかな?
「え、そうなんですか……? でも、紫さんは、妹だって」
「それは、姉さんがふざけて言ってるんだよ……ボクは、男の子、姉さんの命令で、仕方がなく、こんな恰好をしてるの……」
「そうだったんですか……大変なんですね」
「うん……ボクって、こうだからさ? 男の人に告白とかされた事あるんだよね……ましろは、そうなった事ある?」
「あ、僕もありますよ……」
「あ、やっぱりそうなんだ……」
何だろう……なんか、この人と親近感が湧いてしまった。
「あ、そう言えば、まこさんはこの事を知ってるのですか?」
「うん、知ってるよ? 同じ学校の先輩だからね?」
「あれ……? そう言えば、前に栗谷先輩が、まこさんは同じクラスって言ってたんですけど……もしかして、玲さんって」
「うん、ボクも山野辺高校だよ? ちなみに、二年生だよ」
「あ、そうなんですか、僕は一年です、じゃあ、先輩ですね」
「あ、そうだったの? でも、先輩はいいよ、玲でいいよ?」
「あ、解りました」
「さてと、そろそろボクらも戻ろうか?」
そう言って、玲さんは、ウイッグをつける。
「はい」
そう言って、トイレから出て、接客をする事にした。
接客内容は、ミスったりもしたけど、何とかこなす事が出来て、時間が過ぎていき、店長の紫さんが「ましろちゃん、もうあがっていいわよ?」と言ったので、僕は、バイトをあがる事にした。
更衣室に入って、制服を脱いで、私服に着替える。
着替え終わった後、紫さんに「お疲れさまでした」と言って、店の外に出て
家へと帰る事にした。
帰る途中、ふと目に止まったのは、アニメのキャラが描かれているポスターとテレビが目に止まった。
テレビ画面に、ポスターに書かれている美少女キャラが「いっくよ~」と叫んでいる。
その声を聞いて、感じた事は……僕の声になんか似てないか? と思った。
ちょっと試しに、小声で
「いっくよ~」
と言ってみる。
声質が似ているからか、ほとんど同じだった。
こう言う声のイメージって、このポスターに書かれている美少女キャラの声なのかな? とか、ちょっと思ってしまった。
幸い、誰にも聞かれてなかったらしく、騒がれてもいなかったので、僕は秋葉の町を離れる事にして、山野辺市に戻る事にして、家へと戻るのでした。




