~第十八話~
次の日、僕は、いつもと同じ時間に起きた。
まあ、目覚まし時計をセットした時間に起きたので、うん、問題は無いと思う。
起きてすぐ、洗面所に向かい、顔を洗って鏡を見てみる。
「あ……寝癖ができてる……」
よく見てみると、頭のてっぺんにちょんと髪が突っ立っていて、世間で言われている、アホ毛?と言う感じの物ができていた。僕は、直そうかな……? と思い、ブラシをもって、直そうとすると
「おはよう、聖」
そう言って来たのは、僕の父親の圭吾父さんだった。
「おはよう……」
「どうした? 聖」
「いや、頭の寝癖を直そうと思って……」
「ふむ……」
父さんは、僕の姿をジロジロと見た後
「いや、直さなくていいぞ? 似合ってるしな?」
とか言って来た。
「え?」
「大丈夫、その髪型でOK!」
そう言って、ビシっと親指を立てる。
何を根拠に大丈夫なんだろう……? と思ったけど、深く考えない事にして、寝癖をそのままにして
リビングに向かった。リビングに辿り着くと、朱莉母さんが
「おはよう~聖ちゃん……あら、似合ってるわよ~? それ」
とか言ってくる。僕は、父さんと同じ事言うんだ……と思いながら、椅子に座った。
テーブルの上においてあったのは、目玉焼きにトースト、コンソメスープと言った、思いっきり洋食のメニューだった。
和食も洋食も嫌いではないので、あっと言う間に食べ終わり、自分の部屋に戻る。
部屋に戻り、着てる服を脱いで、男子用の制服に着替える。着替え終わった後、持ち物を確認する事にして、思い出したのは、昨日、亮太が「いつまでもノートで意思表示は辛いだろ?」と言っていたので、僕は……とりあえず、必要なノートを鞄の中に入れて、発声練習してみる。
しかし……
「低い声が出せない……駄目っぽいかも……」
いくら低い声を出そうとしても、全く低く出来なくて、結局……諦める事にした。
遅刻すると不味いので、出かける事にした。外に出て通学路を歩いていると、先に亮太を見つけたので、僕は、小さい声で話しかける。
「おはようございます、亮太」
「おはよう」
「声を変えて、練習してみたんですけど……駄目でした」
「そうなのか?」
「はい……だから、いつもの声でいくしかないって感じですね」
「そうか……まあ、俺は慣れたから平気だけど……クラスで話す事は、まだ無理か?」
「そうですね……二学期から、普通に話していこうかな……とは、思いますけど」
「そうか……」
「はい、あ、ノートを貸してくれませんか?」
「ああ、いいぞ」
「ありがとうございます」
こうして僕は、二学期に普通に話しかけようかな……と、思う事にしたのでした。
そう決めた僕は、亮太と一緒に自分のクラスに辿り着く。
自分のクラスに入り、自分の席に着いて、鞄から中身を机の中に入れる作業をしていると
「お、おはよう、天野」
そう話しかけてきたのは、同じクラスの栗谷衛君だった。
とりあえず……普通に話してみて、栗谷君の反応がどうでるのか? 気になったので、ノートを使わないで、普通に話し掛ける事にした。
「おはようございます、栗谷君」
「うわ、初めて聞いたけど……天野の声って、そうだったんだな……」
「はい、こんな声をしているので……栗谷君は、可笑しいと思いますか……?」
「い、いや……可笑しくはないけど……あと……それって、寝ぐせか?」
そう言われたので、思い出してみると、確かに、朝、頭の先にちょんと髪が突っ立てる状態だったなあ……と思いだして
「あ、はい、そうですね、なんか、両親からは、いい感じだとか言われまして……栗谷君は、どう思います?」
そう聞いてみると、なんか顔を赤らめて
「い、いい感じじゃないか? かわいい女の子に見えるし……」
後半の方が、小さい声でよく聞こえなかった。うん、何て言ったんだろう……??
よく見てみると、栗谷君が、顔を赤らめてモジモジしてる風に見える。
うん……何か、僕に言いたい事でもあるのかな? と思ったけど、問いかけようとしたら、キーンコーンとなったので、栗谷君は自分の席に戻ってしまった。
チャイムが鳴って、担任の碓井先生が入ってきて、こう言う。
「皆、おはよう、もうそろそろ夏休みだ、で、連絡だが、今日で放送部の放送が一学期の最後らしい、山野辺HPの放送部のコーナーに色々と書き込むのは、やめとくように、では、出席を取ったら、授業を始めるとする」
そう言って、授業が始まった。
授業内容は、国語の授業で、朗読だった。他の生徒が当てられて、読んでいる中、僕の番になってしまった。
僕は、仕方がなく、席を立って、教科書を持って、朗読すると、クラスメイトと先生が驚いていた。
まあ……驚くのも解るかも……?って思ってしまい、とりあえず、先生に言われた所だけ、読む事にして、先生が「はい、そこまで」と言ったので、読むのをやめて、席に着く。
すると何故か、クラスメイトの視線を感じ、しかも、熱っぽい感じの視線も感じてしまった。
普通の授業に戻ったので、一体何だったんだろ? あの視線は……? と思ったけど、気にしない事にした。そして、授業が終わり、昼になったので、僕は、亮太と一緒に、放送室に向かう事にした。
放送室の中に入ると、もう既に先輩達がいて、顧問の朝崎先生もいた。
朝崎先生の手に、最近、僕も手にした、ゲーム機
SNPが握られている。
この人教師なのに、こんなの持っていいのかな? と思ったけど、なんか、ピコピコと遊んでいるので、ま、いっか……と自分で、納得する事にした。
「あ、二人とも、来たわね? じゃあ、さっそく、準備してくれるかしら?」
「あ、はい」
「了解っす」
そう言って、僕と亮太は、ブースの方に向かい、椅子に座る。
そして、マイクの位置を調整して、準備を完了させた。
すると、スピーカーから、部長の声が聞こえてくる。
「準備出来たかしら?」
そう言ってきたので、僕と亮太は、Okのサインを出した。
そそれから、スピーカーから、洋子先輩の声が聞こえてくる。
「これから、お昼の放送を始めます」
そう言ってから、マイクのスイッチが入り
一学期のラジオ放送、最後の回が、始まりました。
「皆様、こんにちは~、今日も始まりましたヤマノベラジオ、司会は、もちろんお馴染み、ブラックと」
「えっと……ホワイトです」
「ちなみに皆さん知っていると思うけど、今日が最後のラジオになりますよ~」
「うん、まあ、夏休みはいるしね? それは、仕方がないんじゃないかな?」
「まあ、そうだけどね? 結構この番組も慣れて来たのに、さびしいものです」
「え? さびしいの?」
「おや~ホワイトちゃんは、さびしくないのですか?」
「えっと……まあ……ちょっとは、思ったかな?」
「そうですよね? じゃあ、早速、このコーナーに行きたいと思います、今日の流す曲はと言うと」
「最後と言うことだけあって、クラシックを流します、では、お聞き下さい」
そう言ってから、マイクのスイッチが切れて、クラシックが流れ出す。
その間に、ブースにノートPCを持った、洋子先輩が入ってきた。
そして、音楽が終わり、再び話し出す。
「いや~やっぱりクラシックは、いい曲ですね~」
「ブラックは、よくクラシックを聞くのかな?」
「い~や、全く聞かないな? まあ、ほんのたま~に聞く程度だな」
「そうなんだ」
「さて、ではホワイトちゃんもいる事だし、このコーナー言ってみよう~、ホワイトちゃんに言ってほしいこと~え~っと何々……HNプリンさんから「お嬢様言葉で、挨拶をお願いします」って出てる、では、ホワイトちゃん、かも~ん!」
「えっと……「ご機嫌ようでございますわ、ありがたく受け取りなさいね?」っと、こんな感じ?」
「おお……なんか気品にあふれてる……じゃあ、次は~え~っと、HNスノーさんから「妹が兄貴に告白する感じで、僕っ子で」と書かれてあるぞ?じゃあ、ホワイトちゃん、ご~」
「えええ!? なんか恥ずかしいけど……「おに~ちゃん、ボク……おにーちゃんのこと……すきなの……」っと、こんな感じかな……うわ……言ってて、恥ずかしくなって来ちゃった」
「フオオオ!今の録音しておけばよかった!惜しい!!」
「な、何でブラックが悔しがってるの!? 録音とか本当にやめて!」
「っと、もうこんな時間だ、時間が来るのが早いね~、お相手は、ブラックと」
「ホワイトです」
「以上でお送りしました、この番組は、放送戦隊ヤマノレンジャーの提供で、お送りしました」
そう言ってマイクのスイッチが切れる。
そして僕等は、ルームに戻って、洋子先輩がマイクのスイッチを入れて、こう言った。
「これで、お昼の放送を終わりにします」
そう言ってから、マイクのスイッチを切る。
「これでOK」
「皆、お疲れ様、今ので、今学期最後の放送だったわ、じゃあ、夏休みの予定は、放課後に発表するわね? では、解散」
部長の中田彩さんがそう言ったので、僕と亮太は、教室に戻る事にした。
教室に戻ると、クラスメイトの男子が
「さっきのホワイトちゃんの声、よかったな……」
「ああ、俺、録音したから、むふふふ……」
「おい、お前、あれで何をおっぱじめるつもりだ?」
とか言っていた。
うん……何考えてんだろ……この人達、もしかしたら、気がついているかと思うけど、教室内で喋ったから、僕=ホワイトって気がついているとは思うけど……うん、問い詰めるのは……まあ、気にしない事にして、僕は自分の席に着き、午後の授業に、専念する事に決めた。
午後の授業は、社会の授業だった。
授業内容は、それほど難しいと言う程ではなくて、黒板の文字をノートに写す作業だけで、先生に当てられると言う事もなかったので、結構よかった。
あっという間に、時間が過ぎていき、授業が終わり、放課後
担任の碓井先生が、教室内に入ってきて、こう言って来る。
「明日から、午前中だけの授業になる、で、金曜日に終業式となっている、あとは……何もないな? では、解散」
そう言って、先生は、教室内から出て行った。
僕は、同じクラスの亮太に
「放送室に行きましょう?」
と、話しかけると
すると、亮太は
「あ、悪い、聖、先に行っててくれないか? 後から行くから」
そう言って来たので、僕は
「分かりました」
と言って、教室を出る事にした。うん……亮太の用事って、何なんだろ? と思ったけど、全く分からなかったので、深く考えない事にして、放送室へ向かうのだった。
放送室に辿り着くと、もう既に先輩達が集まっていて、顧問の朝崎先生もいた。
「あ、来たわね? あれ? 亮太君は?」
部長の彩さんが、そう言って来たので
「何か、後から遅れて来るそうです」
と言う事にした。
「そう、まあいいわ……じゃあ、夏休みの予定の事だけど……翠先生、お願いします」
「ああ、夏休みの予定だけど、毎日練習するのも嫌だろ? だから、夏休みの後半だけ、活動をしたいと思う、放送部は立ち入り禁止になるから、練習は屋上で行いたいと思うぞ」
そう先生が話していると、亮太が、放送室に入って来た。
「すいません、遅れました、何か重要な事、話してましたか?」
「いや、夏休みの事を言ったまでだ、でだ、物は相談なんだが、演劇部の助っ人をして欲しいと言われてな? で、この放送部も協力しようと思ったのだ」
「そうなんですか」
「ああ、公開は二学期の学園祭で発表するらしい、練習は、夏休みを予定しているらしいぞ?」
「二人とも、私は練習を手伝う事にOKしたけど、問題ないわよね?」
「俺は、問題ないっす、聖は?」
「僕も、問題はないと思います」
「なら、決まりね? 夏休みに入ったら、放送部は、演劇部の手伝いをすると言う事にしましょう、あ、洋子、放送お願いね?」
「あ、は~い」
そう言って、洋子先輩は、マイクのスイッチを入れて、こう言う。
「下校の時刻となりました、皆様、速やかに下校して下さい、繰り返します、下校の時刻となりました、皆様、速やかに下校して下さい」
そう言ってから、マイクのスイッチを切る。
「これでOK」
「じゃあ、明日からこの放送部は、使えなくなるから、一学期の放送部としての活動は、今日で終わりよ? 皆、お疲れ様」
「お疲れ様でした!」
全員で、そう言って、放送部の活動が終わった。
終わったので、僕は亮太と一緒に帰る事にした。
帰る途中、亮太がこう言って来る。
「あ、聖? 実はな?」
「何ですか?」
「同じクラスの栗谷って奴いるだろ?」
「はい、いますけど?」
「そいつがな? 俺と聖を家に招待するって言ってるんだ、何でも新作のゲーム入ったからだってさ? で、聖、一緒に栗谷の家に、遊びに行くか?」
そう言われた。
僕は、どうしようかな……と迷ったけど、友達が遊びに誘ってくるとか滅多になかったので
「はい、いいですよ」
と言う事にした。
「じゃあ、決まりだな? 明日、午前中で授業終わるだろ? だから、午後、栗谷の家に遊びに行こうぜ? あ、俺、こっちだから、じゃあな」
「あ、はい、さようならです」
そう言って、亮太と別れる。
僕は、帰りながら、ちょっと楽しみかな……と、思っていました。




