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萌えボイスと呼ばないで  作者: 零堵
~一学期編~
17/86

~第十六話~

休みも終わり、平日の日になって、僕は、目覚まし時計のセットした時刻に起きた。

起きて、すぐに移動して、洗面所に向かい、顔を洗う。顔を洗い終わり、鏡を見てみると、美少女がいた。いや、美少女と言っても、僕なのだが……髪が伸びたので、セミロングの美少女に見える。

おまけに声を出してみる。

「あ~あ……この顔で、この声はさすがにまずいよね……」

声も変わっていなく、美少女ボイス? とか言われる風な感じの声で、普通に街中を歩いて、声を出すと「美少女が萌えボイスで喋ってる」と言う状態になってしまう……かと言って、髪を切ろうとすると、朱莉母さんが反対するし……僕は、そう思ったけど、その考えをやめて、朝食を取る事にして、リビングに、向かう事にした。リビングに辿り着くと、僕とそっくりの人物、朱莉母さんが、朝食を食卓に並べていた。

「あ、聖ちゃん、おはよう」

「おはよう、母さん」

「朝食出来たから、一緒に食べましょうね?」

「うん」

そう言って僕は、椅子に座り、朝食を取る。

今日の朝食は、ふつーにご飯に味噌汁、焼き魚だった。

洋食より、和食が好きな方なので、あっと言う間に食べ終わり、母さんから

「はい、今日のお弁当ね?」

とお弁当箱を貰う。

うん……母さんが作ってくれるのは、本当にありがたい事だよね……僕も、何か手伝った方がいいかな……と思ったので

「母さん、たまには僕も、料理手伝おうか?」

と聞いてみると

「いいわよ……料理作るのは、私の趣味見たいなものだからね? 聖ちゃんが、手伝わなくても、大丈夫よ?」

「そう?」

「ええ」

「いつもありがとうね? 母さん」

「いえいえ、あ、遅刻するんじゃない?」

「あ、そうだった」

僕は、そう言って、自分の部屋に戻り、男子の制服を着る。

男子の制服を着ないと、本当に女の子に間違われる事もあったので、これは、結構助かっていた。

でも、たまに妙な視線を感じる時もあるのだが……そこは深く考えない事にして、男子の制服に着替え終わる。鞄の中に必要な物を入れて、「いってきます」と言って、僕は、外に出る事にした。

外の天気は、快晴で、物凄く暑い……夏が近づいたって感じなのかも知れない。

通学路を歩いていると、前に亮太がいたので、小声で、話し掛ける事にした。

「おはようございます、亮太」

「あ、聖、おはよう……話して大丈夫なのか?」

「この音量なら、周りに聞かれないと思うので、小さく話せば大丈夫かと思います」

「そっか……それより、明日だな……」

「明日って?」

「おいおい忘れたのか? 明日は、山野辺高校のプール開きだぞ?」

「あ、そうでした」

確かに、担任の先生にそんな事を聞いた覚えがあった。プールって、男子用の水着に着替えるって事だよね? と言う事は……僕が、男だって事が、はっきりと解ると思う……

「楽しみだな? 聖」

「亮太は、泳ぎは得意なんですか?」

「ああ、結構得意なほうだぞ? 聖は?」

「僕は……そうですね……あまり良い思い出は、ありませんね……」

僕は、過去の事を思い出してみる。

過去と言っても、中学時代、容姿も幼く、声もかなり高かったので、僕が海とかで、水着で泳ごうとすると、監視員が来て「女の子がそんな水着を着ちゃいけません! これを着てください!」とパーカーを渡してきた事が何度もあったのでまともに泳いだ経験が、無かった気がする。あと、よく男から声をかけらてたりもしたなあ……まあ、全部断ったけどね……そう思っていると、亮太が

「どうした? 考え事か?」

と聞いてきたので

「何でもないです、あ、遅刻すると不味いので、急ぎましょう?」

「あ、ああ、そうだな」

そう言って、僕と亮太は、学校へと急ぐ事にした。

僕と亮太は、通っている高校、山野辺高校にたどり着いた。クラスの中に入ると、もう既に、他のクラスメイトは、席に着いていて、僕も、自分の席に着く事にした。

席に着いて、鞄の中身を、机の中に入れていると、キーンコーンとチャイムが鳴って、担任の碓井うすい先生が、入って来てこう言って来た。

「今週の金曜日に、終業式がある、来週は夏休みだ、夏休みだからって、羽目を外して、遊び惚けないように、それと明日はプール実習となっているからな? 水着を忘れずに持って来るように、では出席を取ったら、授業を始めるぞ」

そう言って、授業が始まった。授業内容は、結構簡単というか……黒板の文字を、ノートに写す作業で、時間がどんどん潰されて行き、あっという間にお昼になった。

結構書いたからか、手の感覚がちょっと痺れたりもしたけど、別に問題はないかと思う……

今日も、放送があるので、お弁当箱を持って、放送室に向かおうとすると

「あ、天野……」

そう僕に、声をかけて来る者がいた。声をかけて来たのは、同じクラスの栗谷衛くりやまさる君で、一体、僕に何の用なんだろう? と思ったので、教室内なので、僕は、ノートに

「はい? 何ですか?」

と書く、すると栗谷君は

「休みの日って、天野……遊園地に行ったか?」

そう聞いてきた。休みの日……確かに僕は、父さんと一緒に、山野辺パークに行った。その時に栗谷君と出会って、僕は、咄嗟に母さんのフリをしたけど……もしかして、それが僕だって事、気がついたのかな……?と思い、ノートに

「なんで、そんな事を聞くのですか?」

と書いてみる。すると、栗谷君が

「いや……休みの日に、山野辺パークに遊びに行ったら、天野そっくりの人物を見かけてさ……で、話しかけたら、天野の母親って名乗って……でも、俺……天野にしか見えなくてさ……でも、再び会ったら、夫婦で来たって言ってたし……天野……本当に、母親と似てるのか?」

そう聞いてきた。僕は、ノートに

「はい、似てますよ? 僕と母は、双子みたいにそっくりなんです、だから父も母と結構間違えたりするんですよ、母と出会ったんですか?」

「あ、ああ……」

「じゃあ、間違いはないです、父と母は遊園地に行くって言ってましたし」

本当は僕と父だけど、ここは嘘で、ごまかす事にした。

「そ、そっか……なんか、邪魔したな……」

「いえ、じゃあ僕は行くので、それでは」

そうノートに書いて、お弁当箱を持って、放送室に向かう事にした。うん……何とか、栗谷君にはばれてないようで、安心した。けど……なんで、顔が赤かったんだろ? と思ったけど、深く考えない事にして、放送室に向かったのだった。放送室の中に入ると、既に他の部員は全員集まっていて、僕が最後だった。

「聖君、今日のラジオ放送は、聖君と洋子でお願いするわね?」

「僕と洋子先輩ですか?」

「ええ、あと、私も出演するわ」

「部長もですか?」

「ええ、一回ぐらい出演しないとね? じゃあ、ブースに行きましょう」

そう部長の中田彩なかたあやさんが言ったので、僕と洋子先輩は、頷いて、ブースの方に向かった。

ブースの中に入り、スピーカーから太一先輩の声が、聞こえてくる。

「皆、準備はいいか? そろそろ始めるぞ」

「こっちは、OK~彩と聖君は?」

「僕もOkです」

「私も、Okよ?」

「よし、太一、準備OKだよ」

そう、洋子先輩はジェスチャーする。するとスピーカーから

「りょ~かい、じゃあ、始めるぜ?」

そう言って一旦切れた後、亮太の声で

「これから、お昼の放送を始めます」

と聞こえて来た。

そして、今日のラジオ放送が、始まったのだった。


「こんにちは、ヤマノベラジオの時間です、今日は、貴方の心の癒しのお姉さん、ブルーです、そして、相方はというと」


「あ、ホワイトです」


「そして、特別にもう一人います、紹介よろしくね?」


「はい、皆さん始めまして~、私が放送戦隊ヤマノレンジャーの五人目、イエローです、よろしくお願いします」


「今日は、この三人で、お送りいたします、声だけ聞くと、男性陣が嬉しい展開なのかもね?」


「え?」


「ああ~確かにそうかもって感じかな~はっきり言って、三人娘のギャルトーク?って感じになるかもって、感じだし?」


「三人娘って、僕は……」


「はい、ホワイトちゃん、それ以上言うの禁止!じゃあ、早速、このコーナーに行きたいと思います、イエロー、今回の流す曲は?」


「今回は、色々な候補があがったけど、あみだくじで決めて、クラシックを流します」


「あみだで決めたんだ……でもいいの?」


「いいんです、では、どうぞ~」


そう言って、音楽が流れる。

その間はマイクを切っているので、話しても大丈夫だった。音楽が流れている間に、太一先輩がブースにやって来て、ノートPCを持ってきた。その内容を見ている、ブルーこと西岡洋子先輩と、イエローこと部長の中田彩さんが、二人で、何か話している。

僕は、邪魔しちゃ悪いかな……と思い、黙ってる事にした。

そして、音楽が終わり、再びマイクで、話し出す。


「いや~クラシックもたまにはいいものですね」


「ブルーは、クラシックはあまり?」


「まあね~いつもは、もっとアップテンポの曲を聴いてるのよ? ホワイトちゃんは? どんな曲を聴いてる?」


「僕ですか? え~っと……たまにアイドル曲とかですかね……気に入ると、とことん聴いてる気がします」


「ほうほう、イエローは?」


「もっぱら、ゲーソンとアニソンね? 昔のは、これっていまいち~のが結構あったけど、今は結構満足よ」


「そうなんだ、さてと、イエローが出てきた反響を覗いてみるとしますかね? え~っと……「イエローも捨てがたい」「一体、どんな人物なんだろ?」「でも、ホワイトちゃんも生で会ってみたい」とか書かれてありますね~イエロー? どう思う?」


「う~ん、応援してくれてるのは嬉しいって感じかな? まあ、私は滅多に出ない、いわば隠れキャラ! を目指そうと思ってるので、出現率は低いわよ~」


「そんな、ゲームとかで出てくる、レアモンスターじゃないんだから、結構出てもいいと思いますけど……?」


「え~めんどい?」


「なんで投げやりなんです!?」


「おお、ホワイトちゃんの突っ込み、いいわあ~美味しい……」


「うんうん、私もそう思うわね~」


「え……ちょ、二人とも、そのニヤニヤ笑顔、やめてくれません……?」


「いやあ……ねえ? イエロー?」


「ええ……ブルー、これは本当に美味しいし?」


「うう……なんか、虐められてるように見えるのは、気のせいなのかな……」


「世の男性諸君としては、ホワイトちゃんのエロボイスとかも聞きたいのじゃあ、ないのかね~?」


「そんな事聞かないでくださいよ……って、うわ!同意のコメントいっぱい!? 何故!?」


「皆、思ってる事は同じって事みたいね……って、ブルー、もうこんな時間よ」


「あ、本当だ、じゃあ、今回はここまで、「ホワイトちゃんに言って欲しい事」は、また次回のお楽しみとしときましょう~、お相手は、クールな知的お姉さん、ブルーと」


「信号だと注意な色の、イエローです」


「えっと……ホワイトです」


「以上で、お送りしました~この番組は、放送戦隊ヤマノレンジャーの提供でお送りしたわよ?」


そう言って、マイクのスイッチを切る。

そして、ルームに戻り、洋子先輩が、マイクのスイッチを入れて

「これで、お昼の放送を終わりにします」

と言って、マイクのスイッチを切った。

「これでOk」

「よし、じゃあ次は放課後ね? では、解散」

そう部長が言ったので、僕と亮太は、自分のクラスに戻る事にしたのでした。

午後の授業は、そんなに難しい問題が出る事はなく、黒板の文字をノートに写す作業をするだけででいいと、先生が言っていたので、僕もノートに黒板の文字を写していく。写していると、消しゴムを落としてしまったので、それを拾おうとして、机からしゃがむと、前の席なのに、こっちをちらちらと見ている、栗谷君と目が合ってしまった。

僕は、何でこっち見てるんだろう? と思ったけど、授業中なので、消しゴムをさっさと拾って、再びノートに文字を書いていく

そして授業が終わり、担任の碓井先生が

「明日は水泳の特別授業となっているから、水着を持参するように、連絡事項はこれぐらいか……では、解散」

そう言って、先生は教室内から出て行く。

水着か……家にあったっけ……と思ってみたけど、僕は転校して来たので、市販の売られている水着を着る羽目になるのかな……と思った。まあ、男子用の水着なので、普通の海パンでいいと思うけど……明日考えればいいか……と思い、帰る支度をして、同じクラスの亮太を誘って、一緒に放送室へと向かう事にした。

放送室に入ると、もう既に先輩達がいて

「あ、来たわね……二人とも、みて? 反響が凄い事になってるわ」

そう言ったのは、部長の中田彩さんで、彩さんは、僕達にノートPCの画面を見せてくる。中を見てみると

「新キャライエロー登場か、これで五人全員揃ったって事か?」「ガールズトーク、なんか妄想が広がる……」「ブルー姉様もいいけど、イエローもいいかも……」「俺は、断然、ホワイトちゃん一筋だぜ」「俺も」とか、書き込まれてあった。

「ね? 凄い書き込みの数よ?」

「確かに……」

「俺と太一先輩の事が書いてあるのって、少ない……」

「ああ……俺もそう思った、俺なんていらないとか書かれてるしな……」

「まあいいじゃない、それより明日のラジオだけど、明日は太一と亮太君でお願いするわ」

「了解」

「じゃあ、打ち合わせするか? 亮太」

「はい」

そう言って、太一先輩と亮太は、ブースの方へと移動して行った。ルームに残った僕は、ちょっと気になる事があったので、彩部長に聞いてみる事にした。

「彩部長、夏休みって、放送部ってあるんですか?」

「そうね……夏休み中は、ラジオをやっても意味ないしね? あ、でも強化合宿とかもやって見たいと思ってるのよ? 洋子は、どう思う?」

「強化合宿か~それいいかも? でも、何所でやるかよね? 強化合宿」

「うん、そこが問題なのよね……まあ、まだ夏休みまで時間があるし、考えておくわ」

そう話していると、打ち合わせが終わったのか、二人が、ルームに戻ってきた。

「あ、もうこんな時間ね? 洋子、お願い」

「は~い」

そう言った洋子先輩は、マイクのスイッチを入れて、こう話す。

「下校の時刻となりました、皆様、速やかに下校して下さい、繰り返します、下校の時刻となりました、皆様、速やかに下校して下さい」

そう言ってから、マイクのスイッチを切る。

「これでOk」

「よし、じゃあ今日の活動はこれで解散、じゃあ、また明日よ」

「お疲れ様でした!」

放送部の活動が終わったので、僕は亮太と一緒に、帰る事にした。

帰り道、僕は亮太に小声で聞いてみる。

「亮太、明日の水泳の授業の事なんですけど、水着って市販されてるのでいいんですよね?」

「そっか、聖は転校してきたからな? 俺は、山野辺中で使ってたのがあるから、それをそのまま使うつもりでいるけど、聖の場合、外部組だから、市販のでOkじゃないか? まあ、あんまり派手なのは駄目かと思うけど……それにしても……」

「何ですか?」

「いや……聖って、女子用のスクール水着を着ても、全く、違和感なさそうなんだけどな……」

「……中学の時も言われました……そんな事……僕がスクール水着とか、変だと思いますけど?」

「い、いや……似合うんじゃないか? 何気に……」

「そうですかね?」

「まあいいや、じゃあ、俺こっちだから、それじゃあな」

「はい、さようなら」

そう言って、亮太と別れて、僕は自分の家へと戻る。

戻りながら、明日の水泳の特別授業……周りの視線ってどう見えるんだろう……と、思っていた。

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