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萌えボイスと呼ばないで  作者: 零堵
~一学期編~
16/86

~第十五話~

学校がお休みの休日の日、僕はいつもと同じ時間に起きてしまった。

まあ、学校がないので、別に早起きしなくてもいいんだけど、今日は、父さんが、遊びに連れて行ってくれる日なので、楽しみで、早起きしちゃったのかもなあ……とか、思ってしまう。

起きて、洗面所に向かい、顔を洗う。

顔を洗って、身だしなみを整えて、リビングに行くと

「おはよう、聖ちゃん」

そう言ったのは、僕の母親の、朱莉あかり母さんだった。

「おはよう」

「朝食出来てるわよ? さあ、いただきましょう?」

「うん」

朱莉母さんが言うので、僕は、椅子に座り、朝食をとる事にした。

朝食は、ご飯に目玉焼きに、ウインナーに味噌汁だった。

あっという間に食べ終わり、自分の部屋に戻ろうとすると

「あ、聖、これを着てくれないか?」

そう言って来たのは、圭吾けいご父さんだった。

「これ……?」

「ああ、これを着て、一緒に行こう」

「……うん、わかった」

何でこれを着せたがるのか、よく分からなかったけど、僕は、父さんが用意してくれた服に、着替える事にした。

着替え終わって、父さんに

「これでいい?」

と聞いてみると

「うんうん、バッチシ似合ってるぞ? 今日は、暑いらしいから、この帽子をかぶってくれ」

そう言って、父さんは、僕に白っぽい帽子を被せて来る。僕はなんか変だな? と思いながらも、素直に父さんの言う事に従う事にした。

「うん、完璧だ、じゃあ、出かけようか? 聖」

「うん、分かった」

「あら、じゃあお土産頼むわね?」

「分かってるよ、それじゃあ行って来ます」

「行って来ます」

僕は、そう言って、父さんと一緒に出かける事にした。

向かった先は、遊園地の山野辺パークだった。学校が休みというだけあって、結構人が多く、入場口に並んでいる。僕と父さんもその列に並んで、数十分、受付の人に、父さんがありえない事を堂々と言い放った。

「カップルでお願いします」

「……え!?」

僕は、何か言おうとしたが、父さんに口を抑えられて、話す事が出来なく、うーうーと唸ってしまい、抗議する事が出来なく、受付の人が

「かしこまりした、では、ごゆっくりどうぞ」

と言って、カップル専用チケットを父さんに渡していた。それを受け取った父さんは、僕を喋らせないまま、入場口に入り、そのまま僕と一緒に、園内に入ってしまった。

入った後、僕は、父さんの手を振り解いて、こう言う。

「父さん! カップルって! どう言う事!?」

「その方がいいと思うんだ、よく考えてみろ? 男同士二人っきりで、遊園地に来てるって思われたら、周りの反応はどうだ? 変に思われるだろ?」

「でも……カップルはないんじゃ……せめて親子とか……」

「その方がいいと思ったんだ、すまん、あとで欲しい物買ってやるからさ……それに、今の格好、清楚な感じのお嬢様に見えているな、おまけに朱莉にそっくりだからな? 朱莉とデートしてるみたいで、嬉しいんだ」

今の格好って、そう見えるのか……? と思ったけど、僕には、よく分からなかった。

「知り合いとかに会ったら、どう言い訳したらいいんだよ……ここって、クラスメイトも来てそうだしさ……?」

「その時は、朱莉として振舞うといいぞ? せっかく来たんだ、目いっぱい楽しもうじゃないか? 聖?」

もう、父さんに言っても、無駄だと悟ったので僕は、諦める事にした。

「分かったよ……うん、せっかく来たんだし、楽しむ事にするよ……」

僕は、そう思い、遊園地を楽しむ事に決めたのだった。

「聖、最初にどれに乗りたいか?」

父さんがそう言って来たので、僕は入り口で貰った、パンフレットを見る事にした。パンフレットには、この山野辺パークの事が書かれてあり、何所に何があるか、詳しく載っていたりしている。

僕は、取りあえず……

「じゃあ、このジェット・アローンクロスと言うのに乗ってみたい」

そう言って見る事にした。

すると、父さんが

「それって、ここの人気のジェットコースターだぞ? 聖は、大丈夫か?」

「大丈夫って?」

「スピードに酔うとか?」

「それは大丈夫だと思うけど……行って見ないと、分からないかも」

「そうか……じゃあ、取りあえずいくか?」

そう言って父さんは、僕の手を掴んで来た。何で掴むんだ? と気になったので

「父さん……何で、僕の手を握ってくるの?」

そう聞くと

「いや、この方がいいと思ってな? 嫌か?」

「はっきり言うと、嫌なんだけど……」

「一応カップルとして来てるんだから、これぐらいしないとな……それにしても…すべすべだな? 聖の手って」

「そうさせたのは、父さんじゃないか……というか、そんな事言わないでよ……ちょっと気持ち悪いんだけど?」

「おいおい、そんな事言うなよな? ま、まあまあ、さ、気にしないで行こう」

「気にする…………」

なんか、父さんが気持ち悪い笑顔で僕に言って来る。もう何を言っても無駄みたいだったので、僕は、手を繋いだまま、一緒に移動する事にした。移動して辿り着いた先は、ジェットアローンXと呼ばれる、ジェットコースターで、近くで見ると、結構な迫力だった。

「なんか、回転とか凄いね……」

「ああ、確かに……本当に大丈夫か? 聖」

「うん……乗って見たいから……父さんも一緒にね?」

「い、いや、私は……」

なんか父さんが嫌がる素振りを見せていたので、僕は、可愛くこう言ってみる。

「おとーさん? 嫌いになっちゃうよ?」

「よし、すぐ乗ろう! 娘にそう言われちゃ、仕方がないしな!」

なんか……娘として言われてしまった。確かに今、女物っぽい服? を着ているので、そう見えるかもしれないが、僕は男だったので、訂正しようと思ったけど、人がたくさんいる状態で「僕は男だよ!」とか叫ぶと、変に思われるかもしれないので、黙っておく事にした。

結構な人数が並んでいたので、その列に並び、数十分後、僕達の番になった。

しかも一番恐怖を感じそうな、一番前の席で、シートベルトを装着

受付の人が「グットラック」と笑顔で言って、コースターが動き出す。

コースターは凄い速度で、動き出し、回転したりしたので、かなりの迫力だった。

そんな三分間が終わり、ちょっと吐きそうになったけど、何とか堪えて、終わったので、コースターから降りて、父さんを見てみると

「うう……気分悪い……」

とか顔を青ざめていた。なんか悪い事したかなあ……とか思ったけど、自業自得なので、ほっとく事に決めて、再びパンフレットを見る。

「父さん、次の乗り物に乗りたいんだけど?」

「いや……私は、ここで待ってるぞ……気分悪いしな……一人で行って来てくれ……」

「そう? じゃあ、ここで待っててね?」

「ああ、そうする」

そう言って、父さんはベンチを見つけて、そこに座るみたいだった。

僕は、父さんがここで待ってるって言ったので、移動する事にして、別の乗り物に乗る事にした。うん……何を乗ろうかな……と歩いていると

「あれ? あ、天野……?」

「……え?」

そう呼び止められて、振り向いて驚いてしまった。何故なら、そこにいたのは、同じクラスの栗谷衛くりやまさる君だったからなのでした。何でこの遊園地にいるの!?と思い、僕は、どう誤魔化そうかと、必死で悩み、今の恰好だと、朱莉あかり母さんのフリをして、誤魔化すしかないかな? と思い、学校で、放送戦隊ヤマノレンジャーのホワイトとして、声を聞いてると思うので、その声とは、ちょっと違う声で、話す事にして見る事にした。

「えっと……確かに、私は天野ですけど……どちらさまです?」

いつもより高い声でそう言ってみると、栗谷君は、なんか驚いた表情で

「え……天野……聖だよな……?」

そう言ってきたので、やっぱり聖だと疑われているので、僕はと言うと

「聖を知っているのですか? 私は、聖の母の朱莉と言います」

こう言ってみたけど……大丈夫かな?

「え!? 嘘!? 聖じゃないの!?」

「はい、違いますよ? 私と聖って、結構似ていて、双子ってよく思われるんですよ」

「そ、そうだったんですか……って、母親!?」

「はい、母親ですが?」

「……全くそう見えない……」

「えっと……それはどういった意味で?」

「いや、あまりにも若く見えるから、とても子持ちとは……」

「まあ、ありがとうございます」

そう言って、にっこりと微笑んでみると、栗谷君が、なんか顔を赤くしていた。あれ……何で顔を赤くしてるんだろう……? と不思議に思ったけど、ここでいつまでも話していると、バレソウなので

「じゃあ、私は行きますので、それじゃあ」

「あ、は、はい……」

そう言って僕は、栗谷君から逃げるように、その場から立ち去ったのだった。

栗谷君が見えなくなた後、こう考えてみる。なんとかばれてないよね……?と、次に学校で会った時になんて言われるのかが、不安だったけど、出会っちゃったんだし、もうしょうがないかな……と、諦める事にした。とりあえず、何に乗ろうかな……と思い、ゴーカートに乗る事にした。

ゴーカートの列に並んで、数十分、僕の番になったので、ゴーカートに乗る。結構な速度が出て、楽しかったけど、帽子が飛ばされそうになったので、それを抑えながら、乗り物に乗る事になってしまった。

ゴーカート場が終わり、そろそろ父さんも元気出たかな? と思ったので、僕は、父さんのいるベンチに戻る。ベンチに戻ると、父さんが

「お、戻ってきたか」

と言ってきたので、僕は

「早速ばれそうになった……」

「誰に?」

「クラスメイトに会ったんだよ……その時は、母さんのフリをして、なんとか凌いだけど……」

「そうか……じゃあ、今から聖の事を朱莉と呼ぶな? その方が、また会った時にばれないだろ?」

「……父さんが、そう言うなら……」

「聖も父さんと言うんじゃなくて、あなたと言うんだ、私達は夫婦なんだからな?」

何で、父さんと夫婦にならなきゃいけないんだ!と内心思ったけど、さっき会った栗谷君とまた会うかもしれなかったので、僕は、渋々、それを了承する事にした。

「わかったよ……あなた……」

「おお……なんか、いいな……」

父さんがすっごい笑顔でそう言ってくる。

なんか気持ち悪く感じるのは、気のせいかな……

「じゃあ、行こうか? 朱莉」

「う……うん」

そう言って、僕は父さんに手を握られて、パーク内を移動する事にした。次に乗ったのは、メリーゴーランドで、僕だけが乗り、何故か父さんが、僕の事を何所から手に入れたのか、カメラでパシャパシャと撮っている。うん……かなりはずかしいので、辞めてほしい……次に入ったのが、お化け屋敷だった。

中に入ると、父さんが

「怖かったら、抱きついていいんだぞ? 朱莉?」

とか言ってきたので、それを無視してアトラクションを楽しむ事にした。

お化け屋敷から出ると、また、栗谷君と出くわしてしまった。

「えっと……朱莉さん……でしたっけ?」

「あ、はい、そうですけど?」

「じゃあ、一緒に手をつないでるのって……」

すっごい言いたくなかったが、父さんの顔を見てみると、なんか期待した眼差しで、見てきたので、僕は

「夫ですよ」

「朱莉~!」

そう言って、父さんが抱きついてきた。すっごい嫌だったけど、ここで嫌がると、バレそうだったので、我慢する事にした。

「な、仲いいんですね……」

「まあね、私達は、今でもラブラブだからな~な? 朱莉」

「う…………うん」

「そ、そうですか……夫婦円満でいいですね、じゃ、じゃあ、俺はこれで……」

そう言って、栗谷君は、僕達から離れて行った。

「何とかばれなかったみたいだぞ?」

「うん……ねえ、もう帰りたい……」

「そうか? まだ乗りたい物とか、ないのか?」

「もう母さんのフリをするのも疲れたんだよ……」

「そうか……じゃあ、お土産買って帰るか? 聖」

「うん、そうする……」

そう言って、僕と父さんは、母さん用のお土産を買って、帰り道に父さんに「なんでも買ってくれるって言ったよね?」と言って父さんに、SNPソーシャル・ネット・ポータブルを買ってもらった。

そして、家に戻る事にする。何だか物凄く疲れた一日だったけど、遊園地に行った事は楽しかったので

今度は、一人で行ってもいいかな……と、僕は、そう思っていたのでした。


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