~第十三話~
いつもと同じ時間に起きた僕は、顔を洗おうかな……と思ったので、洗面所で、顔を洗う事にした。
顔を洗って、鏡で顔を見てみると、髪の毛がなんか伸びていて、顔立ちが幼いので、美少女風になんか、見えてしまった。
これは切った方がいいのかな……とか、悩んでいると
「あ、おはよ~聖ちゃん」
そう言って来たのは、僕の母親の朱莉母さんだった
朱莉母さんの姿を見ていると、何というか……僕に似ている。
まあ、一緒に外に歩いていると「双子の姉妹?」とかよく言われたりしたんだけど……僕は、とりあえず母さんに、こう言って見た。
「母さん、僕……髪、切った方がいいかな? 伸びてきたしさ……?」
そう聞くと
「駄目! 聖ちゃんは、今の髪型でいいの! 何? その髪型が、嫌になったの……? 聖ちゃん……」
なんか泣きそうな顔で、そう言われました。
「い、いや、別に今のままでいいんだけど……ちょっと伸びたかなって、思って……」
「ならいいじゃない、そのままで、さ、顔を洗ったら、朝食出来てるから、一緒に食べましょうね?」
「あ、うん」
そう言って、僕は、朝食を取る事にした。
リビングに向かい、出された朝食は、ごはんに味噌汁に焼き魚で、思いっきり、朝の定食風な感じだった。
「頂きます」
そう言って、朝食を取る。うん、普通に美味しい、少なくとも不味いって感じはしなく、あっという間に食べ終わり、自分の部屋に戻った。
戻って、学校があるので、制服に着替えて、鞄を持って、外に出る。
外の日差しは、どんよりと曇っていて、いまにも雨が降りそうだったけど
、傘はいらなくて、大丈夫かな……と思ったので、傘を持ち込む事はしない事にした。通学路を歩いていると
「よ、聖」
そう話しかけて来たのは、同じクラスの赤井亮太だった。
僕は、声を聞かれると不味いかな……と思ったので、鞄からノートを出して
「おはようございます、亮太」
と、ノートに書いて、それを見せる
「おはよう、いよいよ明日だな? 人形劇、聖は、間違えないようにする自信あるか?」
そう聞いてきたので
「そうですね……まあ、練習しましたし、大丈夫だと思いますが?」
そう書いた。
それを見た亮太はと言うと
「そっか、確かにそうだよな、じゃあ、今日も一日頑張ろうぜ?」
「はい」
そう書いて、一緒に登校する。
数分歩いて、通っている高校、山之辺高校に辿りつき、教室内に入って
自分の席につく。自分の席について、鞄から中身を机の中に入れる作業をしていると
「えっと……天野だったよな?」
そう僕に話しかけてくる者がいた。
話しかけて来たのは、同じクラスの男子で、確か自己紹介の時に「栗谷衛」って名乗ってた筈……僕は、ノートに
「何ですか? 栗谷さん?」
と書くと
「いや、いっつもノートに書き込んでるからさ……俺、天野の声、聞いた事ないな……って思ってね? なんか、話してくれないか?」
そう聞いて来た。
これは、まずいな……と思い、ちょっと考えてから、ノートにこう書く
「すみませんが……僕、喉の調子が悪くて、話せないんです、本当に御免なさい……」
と書いて、栗谷衛の顔をじっと見てみる。
すると、栗谷衛君が
「そ、そう……じゃあ調子がいい時に、声聞かせてくれ……」
なんか顔を赤らめて、そそくさと自分の席に戻っていった。うん……なんで顔を赤らめたのが謎なんだが……深く考えない事にしよっと……そう思っていると、キーンコーンとチャイムが鳴って、担任が入ってきたので、授業に集中する事にした。授業内容は、普通にノートに文字を書くだけで、先生に当てられると言う事は、全くなくて、このクラスで声を出す事はしなくてよかったみたいなので
ちょっと、ほっとした。
担任の碓井先生が
「明日は、総合学習だから、普通の授業はやらない事になっている、部活に入っている者は、部活が決めた場所で、学習するように、入っていない者は、教室内で、自習になっているぞ」
そう言っていた
僕は、放送部員なので、明日は、幼稚園で、人形劇をやる事になっているので、なんか……失敗しないか、ちょっと緊張してしまった。
授業が終わり、昼休み
昼は、いつものように放送室に行く事が決まっているので、放送室に行こうかな……と思っていると
「よ、よう……天野」
そう話しかけてきたのは、朝に話しかけてきた栗谷衛君だった。
うん……一体何の用なんだろ……と思い、教室内で、話すのは不味いので、ノートに
「一体、何の用ですか?」
と書くと、栗谷君は、顔を赤らめて、こう言って来た
「ちょっと……変な質問していいか……? いや、気を悪くしないでくれよ? 実はさ……お前……女の子?」
なんかそんな事を聞いてきた。僕は、ちょっと考えて、ノートにこう書く
「何故そのような質問を?」
「いやな……先週の休みの日に、俺、山野辺デパートにいたんだよ、そしたらさ……スカートを履いた天野そっくりの奴がいてさ、俺、驚いたんだ……で、あれって天野なのか?ってね……で、どうなんだ?」
先週の休みの日……あ、その日は、朱莉母さんと、買い物に行った日だった。
確か、山野辺デパートで洋服を見に行ったっけ……
そうか……だから、栗谷君は、そんな事を言ってきたのか……僕は、ノートに
「何か勘違いをしてるかも知れませんが、確かに先週の休みの日に僕は、デパートにいました、けど、貴方が会ったのは、僕の母です」
「え、母親!?」
「はい、僕と母って、双子のように似てるんです、背も同じなので」
「そ、それは本当なのか……」
「本当だぞ?」
そう言って来たのは、同じクラスの亮太だった。
「赤井、会った事あるのか?」
「ああ、マジでそっくりなんだよ、俺も最初見た時、本当に驚いたしな……」
「そうか……」
「何で、栗谷ががっかりそうなんだ?」
「い、いや……何でもない!何でもないぞ!」
なんか、顔を赤くして、そう言っていた。うん……なんで顔を赤くする必要があるんだろう……と思ったが、聞くのは不味いのかな……と思ったので、あえて聞かない事にしといた。
「ところで、聖、そろそろ行こうぜ? 遅れるとまずいしな?」
そう亮太が言って来たので、僕は、ノートに
「はい、そうですね、じゃあ、行きましょうか」
と書いて、ノートをしまい、亮太と一緒に、放送室に行く事にした。
うん……改めて思った事は、僕と母さん、本当に似てるんだなあ……と実感
まあ、双子の姉妹として、ナンパもされた事あるし……僕ってやっぱり女顔なんだな……と、ちょっと落ち込んでしまったのでした。お昼の時間になったので、僕と亮太は、今日はお弁当も持って来てないので、購買部に行ってから、放送室に向かう事にした。
購買部でパンを購入した後、放送室の中に入ると、珍しく、顧問の朝崎翠先生がいる。
いっつも、いなかったのに、今日は何故かいる。
しかも、なんか……ピコピコと携帯ゲームを、部長の彩さんと遊んでる……
「翠先生、ヒットポイントやばいよ?、助けて」
「解った、マジックポイントはまだあるからな、助けられるぞ、こいつの弱点は火だ、だから、彩、火の呪文を頼む」
……僕は、亮太にこう言ってみる。
「ねえ、亮太……いいのかな? これって」
「さあな……顧問の先生が率先して遊んでるんだから、いいんじゃないか?って、そのゲーム、ファンタジア・ランドだ!」
「お、赤井は知ってるのか?」
「知ってますよ、俺も持ってますし、今、レベル三十です」
「そうか、こっちはレベルは、まだ四十五だな、彩は、四十ぐらいじゃないか?」
「はい、大体そんな感じかな……あ、亮太君、太一、ラジオの準備よろしく~」
「あ、了解っす、太一先輩、行きましょう」
「ああ、解った」
そう言って、二人は、ブースの方に向かった。
二人がブースに向かった後、洋子先輩が
「二人とも、音源消して、音入っちゃう」
そう言ったので、遊んでる二人は、音を消す。
そして、消した後、洋子先輩が、スイッチを弄って
「これから、お昼の放送を始めます」
そう言って、ブースのマイクのスイッチを入れた。
そして、ラジオが始まったのであった。
「こんにちは~、今日も始まりました、貴方の心に安らぎを、放送戦隊ヤマノレンジャーのブラックです」
「同じくこんにちは、君は正義の心はあるか!の真っ赤な心のレッドです」
「今回はこの二人でお送りします、それにしてもレッドさん」
「ん? 何?」
「確かに戦隊物でレッドと言えば、リーダーだけど……貴方、リーダーって感じは全くしないよ?」
「う……そ、それを言うなあ~俺だって、俺だって~」
「と、なんかレッドが泣きそうになっていますが、そんな事は無視して、最初のコーナーに行きたいと思います、では、音楽をどうぞ~」
そう言って、音楽が流れ出す
なんかアップテンポな曲だった。
でも、全く聞いた事がない曲なんだけど……なんだろ? この曲……
そう思っていると、いつの間にか、ゲームをやめたのか、彩部長と翠先生が、談笑していた。
「翠先生? そう言えば、聞きたい事があるんですけど」
「ん、何だ?」
「翠先生のクラスって、有名人いますよね? 私を、紹介してくれませんか? あと、特別ゲストとして、このラジオに呼んでも構いませんか?」
「そうだな……まあ、とりあえず言ってみるぞ、でも多分断られると思うぞ?」
「そうですか? でも……話してみて下さいね?」
「ああ」
そんな事を話していた。有名人って、一体誰の事なんだろう……と思っていると、洋子先輩がノートpcを持って、ブースの方に行き、音楽が終わって、二人が、マイクで話し出す。
「今流れたテーマは、スカットダンジョンで使われた曲ですね~、うんうん、いい名曲だ」
「というか……知らない人、多いんじゃないか? 今の曲……ゲーソンだし」
「細かい事は気にしな~い」
「細かいか?」
「さて、このヤマノベラジオの反響を見てみるとしましょうか~え~っと何々……「ブラック、イイキャラだな~」「レッド、雑魚っぽい、ウケルw」「ホワイトちゃん、マジ天使」「ブルーお姉さま、いつ出演?」色々来てますね~」
「何で俺だけ、不評なの!? てか、ブルーって、お姉様って呼ばれてる!」
「確か、まだ一回しか出ていないのに、人気すごいですね~」
「お姉様と言ってくれてありがとね? よかった、私、レッドより人気なんだ?」
「レッドよりって酷いって……ブルー、喋っていいの?」
「いいのよ、今回は私、特別ゲストと扱いでいいわよ~え~と何々?「戦隊物なんだから、五人目はいるのか?」はい、ちゃんといるわよ~ちなみに、五人目は、イエローよ?」
「まだラジオには一回も登場していないですけどね」
「っと、もうこんな時間よ? 二人とも」
「あ、本当だ……皆、知ってると思うけど、明日は総合学習の日だから、ラジオはありませんよ」
「で、次のラジオは、来週からって感じになるんだな」
「そう言う事」
「お相手は、毎度お馴染み、ブラックと」
「どうやったら人気が出るのか考え中……のレッドと」
「特別ゲストなクールなお姉さん、ブルーよ?」
「以上でお送りしました~この番組は、放送戦隊ヤマノレンジャーの提供で、お送りしました」
そう言ったので、僕はブースのマイクのスイッチを切る。
そして、三人がルームに戻ってきて、洋子先輩が
「これで、お昼の放送を、終わりにします」
と言ってから、スイッチを切った。
「これでOkよ」
「よし、じゃあ、次は放課後に集まるわよ? では、解散」
部長の彩さんが、そう言ったので、僕と亮太は、教室に戻る事にしたのだった。
午後の授業となり、午後の授業はミニテストだった。
教科は、国語に数学に英語で、問題のレベルは、中学生レベルみたいだったので、これなら、解けるかな……と思い、早速、解答欄を埋めていく。
そして時間が過ぎていき、何とか全ての解答欄を埋める事が出来た。
うん、赤点じゃあないと思うけど……とりあえず、結果待ちかなあ……と思ったのである。
HRの時間になって、担任の碓井先生が
「明日は、総合学習の日だから、いつもと違うぞ。で、来週は、終業式がある、夏休みに入るからって、うかれすぎんようにな……では、さようなら」
そう言って、先生は、教室内から出て行く。
うん、来週から夏休みかあ……ちょっと楽しみかも? と思ってしまった。
放課後になったので、僕は、同じクラスの亮太と一緒に、放送室に向かう事にした。
放送室の中に入ると、既に先輩達がいて、何かを話している。
「あ、二人とも、来たわね? じゃあ、明日の事を教えるわ」
「明日って、人形劇ですよね」
「ええ、そうよ? ちなみに場所は、幼稚園でやる事になっているわ、一度学校に集まってから、幼稚園に向かうのよ、じゃあ、三人とも? 今日の練習お願いね?」
部長の彩さんがそう言ったので、僕は、自分が使う人形を持つ。
「じゃあ、練習しましょうか? 二人とも」
そう言ったのは、先輩の洋子先輩だった。
「了解っす」
「解りました」
そう言って、僕と亮太は洋子先輩と一緒に、ブースで練習する事にした。
時間が過ぎていって、結構な動きと発生練習した後
洋子先輩が
「今日は、ここまでにしましょうか? 明日は、本番だしね?」
「そうですね」
「解りました」
そう言って、ルームの方に戻り、洋子先輩が、マイクのスイッチを入れる。
「下校の時刻となりました、皆様、速やかに下校して下さい、繰り返します、下校の時刻となりました、皆様、速やかに下校して下さい」
そう言ってから、マイクのスイッチ切る。
「これでokよ」
「じゃあ、今日の活動はこれで終わりね? では、解散!」
部長がそう言ったので、僕は、亮太と一緒に帰る事にした。
帰り道、亮太が、こう聞いてくる。
「聖……明日って、自信あるか?」
「う~ん……わかんないかな……そういう亮太は?」
「ミスりそうだけど、まあ、大丈夫だな?って思ってるしな……たぶん、大丈夫だと思うぞ?」
「そっか……なら、大丈夫だね」
「ああ、あ、じゃあ、俺こっちだから、じゃあな?」
「さようなら」
そう言って、僕は、亮太と別れて、家に戻る。
家に戻ると、朱莉母さんが
「お帰りなさい、聖ちゃん? あ、そうだわ……新作のお菓子を作ってみたのだけど、食べてくれないかしら?」
「新作のお菓子? うん、解った、頂くね?」
「じゃあ、もってくるわね?」
そう言って、母さんはキッチンに向かい、数分後
「じゃ~ん、これよ!プリンバナナパンよ?」
見た目は、黄色で結構おいしそうな感じがした。
「じゃ、じゃあ……頂きます」
そう言って僕は、食べてみる。
うん……味的には、プリンとバナナが混じって、変な感じだったが
「まあまあかな……それほど不味いって訳じゃあないかも」
「よかった、じゃあ、これは成功ね?」
「え、これは成功って……」
「実は色々作ったのよ、だから、全部、食べてくれない?」
「え、ええ!?」
そう言って、母さんは、たくさんのお菓子を持ってきた。
僕は、母さんに「食べられる量だけ、頂いていい?」と言ったので、食べられる量分を食べてしまった。
うん、当分は、甘い物食べたくないかも……食いすぎたので、自分の部屋に戻り、うとうととしていると睡魔が襲ってきて、ぐっすりと寝てしまった。
こうして、僕の一日が、こうして終わったのだった。